第10話



………わかっていた。


だってこう考えれば、殆どの出来事に辻褄が合うのだ。


物に触らないこと。いや、触れないこと。ぶつかった時の違和感。人とぶつかることを異様に避けること。


やっと解った。謎の転校生の正体。


これで間違いない。何よりの証拠を見たのだから。


酒井くんがどうなってしまうのかはわからない。


でも、 観察を始めた時から決めていた。


酒井くんの謎が解けたら、それを伝えると。



次の日の朝、私は酒井くんを呼び止めた。


話があるから放課後時間頂戴、と伝えると、俺も。放課後屋上に来て。と返された。いつもの彼とは思えないような黒の深い眼差しだった。



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