第24話 蝋燭

 今日は星の日。太陽が谷間に消えゆこうとする時間、町はしんと静まります。

 やがて、暮れなずむ空の下、燭台を手にした子ども達が家々を訪ねて、星型の焼き菓子を集めて回るのです。軽い足音が家に帰り着く頃には、すっかり夜が満ちていることでしょう。

 町明かりはありません。蝋燭の灯りだけでひっそりと一夜を過ごすのが星の日の決まりです。人々は空を仰いで絢爛な星々の饗宴を見つめ、早く眠りに就きました。

 暗いよと泣く子もいます。お父さんが家中の蝋燭を集め、お母さんが優しく語りかけました。

「今日は灯りを消して、空のお星さまがよおく見えるようにするの。でないと空に棲む星のお魚が、眩しい光を妬んで、全部食べちゃうのですって」

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