第20話 橋の上
カササギたちは怒っていました。悲しんでいました。困っていました。一年に一度の晴れ舞台、織姫と夏彦の逢瀬に架ける橋をつくる大役が、何者とも知れぬ海蛇の闖入によって台無しになってしまったのですから。
カササギの橋に真横から衝突した海蛇は、巨体をくねらせて天ノ川に煌めく星々を両岸に打ち上げ、混乱を意にも介さず、悠然と銀河の向こうへと去りました。
逢瀬が流れてふたりは泣き伏し、天帝もたいへんお怒りになりました。しかしながら天帝の怒りの雷でさえ海蛇を傷つけることは叶わなかったのです。
「私に等しき力を有するなら、やつもまた帝なのやも知れぬ。混じり得ぬよその天の」
川底の星々だけが、変わらぬ静寂を保っていました。
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