第14話 ポケット

 魔女のローブにはたくさんのポケットがついていました。どれにも星の欠片がいっぱい入っていて、七色に輝いています。

 彼女が星の欠片を集めるのは、それが魔力の代わりになるからです。彼女は村人に慕われ、頼られていましたが、そうして魔法を分け与えるうちに、いつか自分の魔力が尽きてしまうのではと心配していたのでした。

 星の光を纏うローブに嫉妬したのは、夜空を往く月の女神でした。

「生意気な魔女!」

 女神が銀色の月光で地上を照らすと、星の欠片は恥じらって光るのを止め、魔女のローブは曙光すら届かぬ闇に呑まれました。

 魔女は絶望し、人のための魔法を封じました。村人の心は次第に離れ、魔女はひとり孤独に亡くなったそうです。

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