第十七話 ポテをつくる その1

 オークさんたちの豆煮会のあと、ウニキャンを走らせてついに山の麓にある小高い丘に到着した。


 ウニキャンを降りて、丘の上から広がる平野の眺望を眺めながら伸びをする。そして深呼吸。季節的には秋ということもあって空気がうまいなー。空が青いなー。


 ナツも秋を探しにあちこちの匂いを嗅ぎながら検分しているのをほっこりな気分で眺める。


 しかし、こうして秋を満喫しているとなんだか腹が空いてきたな……。


 ……。


 ……。


 ……。


 よし、ポテを作ろう!!



 オークさんたちの豆煮会に参加してから煮物を作りたい欲求が出てきた。局所的な煮物マイブームが到来中だ。そしてオークさんたちは草食系。オークさんたちの側で肉料理を作るのは、なんとなく後ろめたい。


 先日、仕込んだ塩豚もそろそろよい頃合いなんだよね。


 ポテとはフランスの煮込み料理で豚肉と野菜の煮込みだ。ポトフとの違いはポトフが牛肉でポテが豚肉という違いだ。


 先日の仕込みを塩豚とは言ってはいるが正確にはリオリコ肉の塩漬け。味わいが豚肉に似ているのでポテと言っているけれど、本来はポトフと言った方が正しいのかもしれない。


 いや、俺の中では豚肉だからポテでいいのだ。


 俺はウニキャンの中からテーブルと椅子を取り出してセッティング。日除けのオーニングを引き出せば即席キャンプサイトの出来上がりだ。


 そして、車体の側面からシステムキッチンを引き出す。シンクとガスバーナーを備えたキッチンがあっという間に出来上がる。


 ウニキャン内に戻って材料や鍋などの調理器具を運び出す。トランクカーゴに入れているので纏めて持ち出して地面の上に直接置くだけだ。


 食材は一応クーラーボックスに入れてある。車内の冷蔵庫までいちいち食材を取りに行くのも面倒だからね。


 こうして全ての準備が整った。


「よーし、それでは調理開始!!」


 俺の宣言にナツが「頑張って」とでも言うように「わんっ」と鳴いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る