07.ウニキャンでの一日を紹介しよう!

 翌朝、朝七時頃にナツに顔を舐められて起きる。もう少し寝ていたいがナツの攻撃は容赦がない。俺は早々に降参するとベッドを片付けてソファに戻して中央にあるキッチンに向かう。


 ちなみにドワーフ国と獣人国とでは時差がある。タイムゾーン的にはエルフ国と獣人国が同じ時間帯でドワーフ国はエルフ国からマイナス一時間三〇分の時差がある。


 冷蔵庫を見て朝の献立を考える。今日はパンでいいかなー。パンを切ってオーブンに入れる。ベーコンと目玉焼きをフライパンで焼く。キャンピングカー内なのでIHのコンロだ。ガスでも良かったのだが防火対策の意味もある。ベーコンは煙が沢山出るけれど換気扇は強力なやつが付けてあるので安心して焼ける。キャベツと玉ねぎとニンジンで簡単なサラダも作る。出来たらキッチン横にある卵型のテーブルに配膳をする。卵型なのは室内が狭いから角にぶつけないようにという配慮でもある。今日の飲み物は現地産のフルーツジュースだ。味はオレンジぽいので俺は気に入っている。


 ナツにはドッグフードを用意してあげて一緒に朝食を食べる。食べ終わったら食洗機で食器などを洗い、俺はキャンピングカー後方にあるシャワールームへと向かう。シャワールームにはシャワーと洗面所とトイレが一部屋に収められてはいるが、シャワーはガラス戸で仕切られて個室になっている。このシャワーヘッドは最近流行り(こちらに来る前の話だが)の雨シャワーヘッドだ。固定式の大型シャワーヘッドから雨が降るように降ってくるやつである。普通のシャワーヘッドも別についているので使い分けができるようになっている。もちろんナツも綺麗に洗ってあげる。


 シャワーでスッキリしたら洗面所で歯を磨いた後に電気シェーバーで髭を剃って身だしなみを整える。飲食系客商売だから身だしなみは重要だ、不潔に見えてはいけない。電気シェーバーの刃も常に元の状態になるので買い替えとか考えなくてもよいのが助かる。バッテリーも劣化する様子もない。


 キッチンやシャワー周りの水は内蔵の水タンクから供給されている。通常のキャンピングカーでは水を使ったら給水出来るところで給水しなければ使うことが出来ない。ウニキャンの場合は深夜に日中に使った分は自動的に回復する。つまり給水作業は実質無い状態だ。そのために以前の古代文明遺跡のような補給困難な場所でも活動できるのであった。


 ちなみに水魔法とかで水を作って飲料水は作れるのではないかと思ったりするが、いくら魔法でも無から作り出すことは出来ない。アイテールと原子を魔力で衝突させることで違う物質を作ることが出来るそうだ。地球での粒子加速装置実験みたいなものだな。魔法でそれを実現しているのも凄いのだが、一度に作れるのは少量らしい。少量の種を使って増殖させることによって水魔法だったり火魔法を実現しているようだ。


 二番目に現実的な方法は空気中から水分を魔法で絞り出す方法があるらしいのだが非効率なのであまり使われないようだ。


 何にしても生活水全部を魔法で賄うのは大量の魔力を使うので非効率的である。この世界でも水は川とか雨水から取水して魔法で浄化して使っているそうだ。


 そんなわけで水を不自由なく使える神器としてのウニキャンは凄い!という話になるのだ。


 洗面台に仕込んである全自動洗濯乾燥機で昨日の汚れ物などを洗濯する。乾燥機付きなので干す手間が省けるのは有り難い。乾燥機がダメな衣類は室内干しになるのが面倒なのだがシャワールーム内に干すためのパイプがあるので、干した後はシャワールームの除湿をすれば大丈夫なように作ってある。


 トイレは……。ここの描写は省こう。シャワー付き便座で快適だとだけ言っておこう。


 トイレの話題が出たのでついでにキャンピングカーの汚水処理について述べておこう。通常のキャンピングカーには汚水を溜めておくタンクがあって満タンになる前に排水する必要がある。海外だとキャンピングカー向けキャンプ場とかにあるダンプステーションで汚水処理が出来たりする。日本だと公衆トイレに流している人が多いみたいだが流さないように言われる場合もあって難しいところである。ウニキャンの場合は超魔法技術によって汚水は全て浄化されてしまうのだな。なんでも光魔法らしい。浄化された汚水は真水と変わらないので毎日適当に排水しているのだが便利すぎるよな!と書いたがこの世界のキャンピングカーや住宅の汚水処理も同じらしいのでウニキャンが特別というわけではないそうだ。


 出かける前に室内を軽く清掃する。スティックタイプの掃除機があるので然程さほど手間はかからない。キャンピングカーは狭いしね。ナツと言うか日本犬は抜け毛が多いのでこまめに清掃しないとキャンピングカー内が毛だらけになってしまうのだ。


 清掃が終わったらナツと散歩に出かける。秋田犬は元々猟犬だったので沢山運動させないといけないらしいので、時間を見つけてはなるべく運動をさせている。


 散歩から帰ったら屋台の準備。ウニキャンにナツと一緒に乗り込む。ウニモグの運転席と後ろのキャンピングカーの室内とは繋がっていないので室内側に移動する時は一度外に出ての移動となるのがウニキャンの欠点なのだが通路を設定しなかったおかげで室内レイアウトに自由度が出るのでトレードオフな感じだ。


 キャンプ場を後にして街へと向かう。ちなみに今回のキャンプ場は街から少し離れた大きめな森のなかにあるキャンプ場だ。キャンプ場の中心にはプール付きのゲストハウスがあってそこから放射状に小道があり小道の両サイドでキャンプ出来るようになっている。森林浴も出来る良い感じのキャンプ場だ。料金は一泊二七五クローナだった。


 ちなみに街なかで適当な場所でキャンプするのは禁止されているので街でキャンプする時はキャンプ場でキャンプしている。異世界だからといってどこでもキャンプ出来るわけではないのだ。


 途中で市場に寄って今日の分の食材を仕入れてから街の中心に近い広場に出店。何時ものように日除けを伸ばして外用のガスレンジとシンクをキャンピングカーの横から引き出す。カウンターを設置して什器を用意すれば設営は完了だ。次は調理の準備だな。本日のメニューはイカ焼きそばだ。市場で新鮮なイカを見つけたのでイカ料理に決めたのだがイカスミパスタとかイカリングとか色々とあったけれど本日はイカ焼きそばの気分だったのだ。


 昼食時になって焼きそばのソースの匂いにつられてお客さんがやってくる。さてここからが勝負だ。今日も一日頑張って働くぞ。


 こんな感じで日々のキャンピングカー生活を過ごしているのだ。

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