06.フードコートを食べ歩こう!

 生鮮市場の次はフードコートに行ってみよう。市場側と同じくらいの巨大な空間にフードコートが広がっている。同じ型の建物が二つ並んで建っているので二階建ての建物が全体に吹き抜けになっているのも市場と同じであるが、市場側はコンクリートの打ちっ放しの床面だったのに対してフードコートはヘリボーンに組んだフローリングで床面は覆い尽くされている。ペンダント型の魔導照明器具が幾つも垂れ下がっており場内はとても明るい。


 店舗は壁側に並んでいてフロア一面が客席となっており五〇〇席ぐらいはありそうだ。シーフード系、肉系、燻製系、揚げ物系、パン類、デザート系、バーなど酒類を扱っている店もあるな。まだ昼前なので座席は空いている。ちょうど良かったな。


 まずはシーフード系から覗いてみようか。白身魚系フライや蛸や烏賊の揚げたものや酢漬け。海老を使ったスープ。どれも美味しそうだ。


 まず実食するのは白身魚のフライと豚肉の煮込みと焼きアスパラガスを一つの皿に合わせた料理。俺的には何故合わせたと思ったが食べてみると意外と美味しい。三つの食感を味わえて、それを纏め上げる酸味のあるソースが良い味を引き出している。


 肉系は店頭に吊るされた沢山のハム。チョリソー、コロッケの専門店もあるのか。ハムとチーズとパンだけのセットとかあるのね。アンチョビとクリームチーズをパンに乗せたのも美味しそうだ。


 次に食べたのはグリルチキンのチリソース和え。鶏皮がパリパリで中身はジューシー。チリソースがこれまた良い感じにチキンの油を緩和して美味しい。酒が呑みたくなってくるがウニキャンに乗ってきたので、今回は我慢だ。いや本当に酒が呑みたい……。


 次に行ってみたのは市内にある有名レストランの出店なんだとか。有名レストランだけれどフードコートではリーズナブルな値段で提供しているようだ。


 頼んだのは本日のスープとタラの天ぷら。異世界にも天ぷらですよ!日本の天ぷらも海外から来た物だしコロッケがある時点で異世界にあっても不思議ではないか。スープは豆のスープ。レンズ豆や、ひよこ豆に似ている。スープは野菜を煮込んだものらしくてドロッとしているがなかなか美味い。


 タラの天ぷらは一口大のタラの切り身を衣で包んで揚げたものだ、衣にハーブのみじん切りが混ぜてある。これは塩で食べるみたいだ。塩を付けながら食べるが、中のタラは熱々でほろほろ口の中で崩れていく感じで凄く美味い。これなら何個も食べられそうだと思うぐらいに美味しかった……。


 暫く腹ごなしにフードコート内をブラブラと散策。ビール売り場が大きくてビールサーバーが沢山並んでいる。全部違う銘柄のようでセルフで注げるようだ。ウニキャンで来ていなければ呑めたのにと恨めしげに見ながら通り過ぎる。周りをよく見るとドワーフは酒を呑みながら食べているのがほとんどだ。ドワーフが酒好きと言うのはこの世界でも同じの様である。フードコート内で料理教室をやっていたりするのか。意外と男性の生徒が多い。周りからよく見えるので調理実習風景を眺めているだけでも楽しい。料理作るときの参考になりそうだ。


 なんか色々と食べすぎた気がするけれど美味しいから仕方ない。晩に食べようかと思ってコロッケ屋さんでコロッケを幾つか買って持ち帰りして今日のキャンプ地を探そう。


 俺はナツが待っているウニキャンにのんびり戻ったのだ。ちなみにナツはナツ専用ベッドでぐっすり寝ていましたよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る