03.都を満喫しよう!
秘湯にはいい湯過ぎて結局三日ほど滞在してしまった。狩りの途中に汗を流しにやってきたエルフのおっちゃんと一緒に温泉に入って酒を呑んだりして楽しく過ごした。
後ろ髪を引かれる思いで旅支度。今度こそ都に向かうぞ。
山道から一度、街道に戻って都へと進む。街道は綺麗に石畳舗装されているので非常に快調に進む。時折、対向車とすれ違う。
この世界では魔法技術が発達しているので自動車もある。この世界では魔導車と言うらしいが。なのでウニキャンを見てもあまり驚かれなかったんだよね。もちろん石油燃料ではなくアイテールと魔法で動いているようだ。まだ見たことは無いけれど魔法技術で飛ぶ飛行機もあるらしい。日本だと明治とか大正の頃のイメージかも。西暦でいうと一九世紀後半から二〇世紀初頭の文明イメージだろうか?そんな考察をしながら運転していると丘を越えた所で遠くに街が見える。スマフォでオートマッピングされた地図と現地で貰った地図を見比べてみると、あれが都らしい。
「さて、もうちょっとだな」とナツに言うと「わんっ!」と返してくれる。ナツは賢いなーと早くも犬バカ全開である。
休憩を切り上げて一路都へ。一時間ほどで都に到着した。
都は村と比べると高層建築が多い。それでも一〇階建てぐらいが多い感じだ。雰囲気は北欧の都市ぽい感じかもしれない。
とりあえず商工会議所だな。屋台の申請しないといけないしと街の人に道を聞いて商工会議所に向かった。
道すがら行き交う人々を見ているとエルフ以外の種族もちらほら見える。始まりの村では観光地化されているとは言えエルフ以外は見なかったが都の方は他の種族も来ているようだ。同盟が出来て自由に交流できるようになったのが影響しているのであろうか。
都の商工会議所だけあって建物も大きい。木造建築だけれど一〇階建てだ。日本だと考えられないね。地球でも欧米だと五階前後だと結構あるんだよね。最近は一〇階を越える木造建築も建てられているようだけれどね。
商工会議所で手続きして屋台の場所を一週間ほど確保した。これで明日から仕事ができる。手続きは通行手形があったのですんなり通った。ちなみに通行手形は一見すると木製の板に見えるが魔道具になっていて偽造とか盗用が出来ない仕組みになっているらしいので確認も簡単に終わったのだ。
晩飯までにはまだ時間はあるので都を観光することにした。都だけあって混雑しているのでナツを抱っこ紐で抱えて連れて行く。
まずは中央広場。ここには屋台が色々と並んでいるので市場調査だ。
ソーセージやハンバーガーを売る屋台。ニシン料理の屋台。アルコール類やソフトドリンクを売る屋台。ワッフルとかビスケットとかデザートを売るお店。サンドイッチを売るお店。温かいスープ専門店。串焼き肉を売るお店などと色々とあって見ているだけでも楽しい。
食べ物以外だと花屋さん、ぬいぐるみや人形などの店、衣類関係の店、魔道具とかの小物系雑貨屋の店などがあった。漢方薬店ぽい所は魔法関係の材料店だった。
そんな感じで一通り見て、腹も空いてきたので晩飯を屋台で食べ歩きしますか!
まずは鹿肉のハンバーガー。鹿肉は獣肉のなかでは癖がなくてお薦め。ここのハンバーグはかなり肉厚。刻み玉ねぎにトマトとチーズのトッピング。脂身が少ないのでおっさんにも優しい味。
次はソーセージ。シンプルに焼いたものをまず頂く。中はハーブ入りなんだね。ナツにもあげると美味しそうに食べたのでもう一本あげる。俺も今度は味がついているのを買う。見た目はケチャップがかかっているが食べてみるとかなりスパイシーだ。近いのはカレー味。カレー好きな日本人にはピッタリな味だね。こうやってローカルフードを探検するのは楽しいのだよね。
とまぁ、色々と食べたり飲んだりして一人と一匹は満腹になったのでウニキャンに戻るのであった。
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