前のエピソード――08.村を探検しよう！

　ウニキャンに戻って時計を見ると、そろそろ昼飯の時間になる。そろそろ昼飯の準備をしなければと冷蔵庫の中身を確認。昨日使った焼豚が一ブロックが買った状態で置いてある……。

　あれ？昨日使ったよね？買ったままなんですけれど！？どういう事！？

　しばらく混乱の極みにあったけれど落ち着いて考えてみた……。

　ガソリンも復元力で元に戻ったよな……。そうすると、食料も回復するという事！？

　急いで昨日使った袋麺、メンマ、卵、もやし、海苔を調べてみたが、どれも開封前に戻っていた！！

　これは食料問題に今後困らなくなるのか！？

　と言うわけで興奮冷めやらぬなか、七日ほどかけて箱買いして沢山ある袋麺五個入りパックで村長さん達にも手伝ってもらって実験してみた。ちなみに塩、醤油、味噌、豚骨、カレーと一通りある。

　まず、こちらに持ってきた消費財は全て復元する。ただし復元するのは深夜過ぎから明け方までにゆっくり復元する。

　試しに袋麺を半分に割って半分の量で調理して放置したらその単品の袋麺は復元した。その時は五個入りパック内の袋麺の数は増えなかった。常にこちらに来た時の状態を保ち続けるのである。

　誰かにあげて所有権が移ったものは復元しないが、あげて減った分だけ復元する。所有権が移ると袋麺にかけられている加護のようなものも消失するようだ。返してもらうとまた所有権が戻るのか無限増殖とかは無理なようだ。あくまでも異世界に来た時の状態に戻るだけのようだ。

　現地で調達したものは復元しない。貰った猪肉は復活しなかった。

　最後の実験で多少がっかりした。現地のものを無限に復元して売って大儲けとは出来ないようだった。

　異世界で無双とかそんな美味しい話はないよねー。

　しかし持ってきた食材などは全て回復するのでそれを使って屋台とかやるのも良いかもしれない。ラーメンとかカレーとかチャーハンと餃子定食とかそう言った屋台と言うかキッチンカーなら出来るかもしれないな。

　この世界で暮らしていくなら少しは金を稼がないとならない。現地の食材とか使ってレパートリーを増やすのも良いかもしれない。

　料理は一人暮らしが長かったので一通り自炊は出来るしレシピ本も電子書籍の形で何冊も持っているから見ながらアレンジして作れるかもしれない。

　などと今後の先行きについて考えるのであった。

　七日も実験に費やしてしまったので、気分転換に村の中をサイクリングすることにした。周辺移動用に持ってきた自転車の出番ですよ。

　ちなみに積み込んだ自転車はグラベルロードというタイプ。ロードレーサータイプの自転車ではあるがタイヤはブロックパターン付きの太めのタイヤで前後ディスクブレーキ付き。フロントディレイラーは無しでシングルギアのクランク。リア変速は一二段変速。ロードレーサーのような舗装路専用ではなくて未舗装路も大丈夫なマウンテンバイクまではいかないアドベンチャー寄りな自転車と思ってもらいたい。

　服装はカジュアル系のサイクリングウェアとヘルメットを着用。ロードレーサーというとエアロ系のウェアが有名だが普段着には使えないのと荷物にもなるので持ってきてはない。

　そんな格好で村の中を移動。村の中は石畳舗装なのでグラベルロードなら快適に走れる。暫くサイクリングを楽しんでいたら腹が減った……。気がついたらもう昼だ。以前、商店街に来たときに気になっていた食堂に寄ってみることにした。