10.エルフ食堂に行ってみよう!

 食堂の前で自転車を止めて、一応ワイヤー錠でロックしておく。実験で自分以外の者が持っていくことは出来ない事は分かってはいるけれど気分の問題である。


 このエルフの村の建築様式はログハウス風なので、この食堂もログハウス風で高原にあるレストランという感じ。高級レストランというよりトラットリアとか大衆食堂という方が近いかも。テラス席もあって良い雰囲気だ。


 入ると空いているテーブル席に案内されてメニューを渡される。メニューは現地語で書かれているのだが転移時に言語野に対してこの世界の言語を書き込まれているので読むことも書くことも出来るのはこの数日の実験で明らかになっている。こんな所からも人為的と言うか神意的な転移なんだろうと推測できる。


 煮込み料理が多め。後は焼いてあるか、オーブン料理といったところだ。日替わりランチメニューがあるのでそれを頼む。


 暫く待つと店員さんがプレートに載せて持ってきた料理を目の前に置いてくれた。


 これはミートボール?日本人的には小さいミートボールを想像していたので、ちょっと吃驚したよ。こぶしぐらいの大きさのミートボールが三つにブラウンソースがかけてある。そこにコケモモのジャムが添えてある。添え物に茹でたジャガイモ、エンドウ豆とニンジンを茹でたものにレタスも添えてある。


 肉にジャムて日本人には馴染みはないけれど地球でも欧米人は肉と甘い物の組み合わせが好きなようでよく見かける。食べてみると分かるが意外と美味しいのでお薦めである。


 値段は一四九クローナであった。そう、今回来たのは値段の確認の為でもある。キッチンカーやるなら相場を知っていないと困るしね。やたら安くしても他の店に対して印象悪いし、高すぎても今度はお客さんが来ない。ちょうど良い値段の見極めに来たのであった。


 味にも大変満足して店を出る。しばらく通いたい感じの店であった。


 腹ごなしに軽く村内を一周してウニキャンに戻ってきた。


 さて、キッチンカーをやるに当たって色々と下調べをした。村や町で屋台をやる時にはその土地の商工会議所に届ければ自由に出来るそうだ。登録時に申請手数料を支払うが大した金額ではなかった。出店出来る場所はその土地によっては規制があるようだ。


 税金の支払いは売上の一割が売上税としてかかるだけで他に税金がかかることはない。複雑な税制度だと徴収するのも面倒なのでこうなっているとか。


 屋台経営だと場所を常に移動するので税金はその日のうちに届け出た商工会議所に払えば良いらしい。固定の店を構えている場合は一ヶ月単位で良いらしい。


 農家とか猟師とか他の職業も税金は売上税のみで同じだとか。酒造りだけは免許制になっていて、その年間免許代が売上税とは別に掛かるようだ。


 本格的な酒造りとかなると酒蔵を作らないといけないし今は考えないでおこう。そもそも酒を造ったこと無いので一から勉強しないと造れないし。地球にいた頃にビール手作りキットを大型雑貨店で見たことあるので少量の酒ならウニキャン内で作れないこともないが狭いウニキャンの中に作った酒の酒瓶で埋まることを想像してたら止めておこうと思った。


 キッチンカーなら各国旅をしながら仕事出来るし良さそうだ。折角の異世界に来たのだから異世界を見て回りたい。地球にいる時は仕事で海外に行った事はあるが、観光だけで海外旅行したことは一切なかったのでウニキャン作った時に各国を周れたらと思ったほどだ。


 と言うわけで翌日からは机や椅子やその他、キッチンカーで要りそうなものを雑貨屋に調達のために出かけるのであった。

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