08.村を探検しよう!

 村長さんと昨日の猪を見るために狩猟会議所に出かけることに。この世界には各産業ごとに会議所があって、事務やら売買とか産業の保護政策を行っているそうだ。他には「商工会議所」「農林会議所」「漁業会議所」「畜産会議所」がこの村にはあるそうだ。日本の協同組合みたいなものかな?


 その流れでファンタジーにありがちな「冒険者ギルド」の様な物は無いのかと尋ねたら、村長さんは眉間にシワを寄せて考えながら「日雇い労働者向けの仕事斡旋課は役場の中にある」と。ファンタジー世界では冒険者て巨大な魔物と戦うヒーロー扱いだけれど現実的には日雇い労働者が関の山なんだよな……。


 ちなみに「冒険家協会」はあるようだ。金持ちが暇潰しに冒険を求めて人跡未踏の地を求めるたぐいの冒険家の交流クラブなんだと。地球での冒険家と立ち位置は一緒なんだね。現実とは厳しいものだね……。


 暫く歩いて村の中心部に到着。村の中心部に村役場や各会議所が集まって行政区画を形成しているようだ。その一角に狩猟会議所があった。


 中に入ると受付カウンターがあって、用件を言うと案内してくれる仕組みだ。日本の役所と変わらない感じである。屠殺解体課に案内されて会議室ぽいところに通された。


 暫くすると職員の人がやってきたので挨拶する。


「私は屠殺解体課の課長をやっているフリードリーンです」

 と課長さんが対応してくれるようだ。

「昨日の大猪ですが、解体費用や売買手数料に売上税を引いて五〇万クローナになります」 と明細書と支払請求書がテーブルの上に置かれた。ちなみに現金はこの支払請求書を持って会計課で受け付けてもらって紙幣で支払われるそうだ。


 この世界では紙幣があるようだ。ファンタジー世界あるあるな金貨とかの金本位制かと思っていたよ。そのあたりを村長さんに聞いたら魔法連合国が成立した時に管理通貨制度に変更されたようだ。


「金額が大きいので驚きました」

 支払請求書の額面から大金そうに思える。現地の物価とか相場もわからないのでなんとも言えないが。


「毛皮がほとんど無傷だったのと肉も死後にすぐに絞めて無かったのですが損傷も少なかったのでこの値段が付きました」


 なるほど、小山のように大きな猪なので毛皮も沢山採れそうだし売値も高いのかもしれない。


「こちらは、サービスで猪肉のブロックです」と猪肉をもらう。一キログラムぐらいはあるのだろうか。鞄持ってきて良かったよとメッセンジャーバッグに詰め込む。


 狩猟会議所を出ると村長さんに「これからどうしますか?」と訊かれた。現金を大量に持っているので銀行があったら預けたい気分だ。銀行はあるのかと村長さんに訊いてみたらあるとのこと。さっそく行ってみることにした。


 銀行もすぐ近くにあった。各国に支店がある銀行なのでどこに行っても資金の出し入れができるということだ。村長さんが身元保証してくれたので口座はあっさり作れた。一万クローナだけ残して後は全部貯金に回した。


 ここで村長さんは公務があるとのことで、ここからは別行動することに。一旦、ウニキャンに戻って猪肉を冷蔵庫にしまってから村を見てみようということで商店街に向かうことにした。


 商店街に着いたので端から覗いてみるかと考えていた所「ヒロシさん!」と後ろから俺を呼ぶ声が、振り返ってみれば村長の娘のミリィさんであった。何をしているのかと訊かれたので商店街を見て歩こうと思っていると言ったら案内してくれるそうだ。


 ミリィさんの案内でお勧めの店を案内してもらう事になって八百屋に行ってみることに。店内には色とりどりの野菜が並んでいた。大根や蕪のような根菜類。キャベツや青菜のような葉物野菜。ひよこ豆とかの豆類。雑穀類。山菜にきのこ類に果物類と種類も豊富だ。


 値段も二〇クローナぐらいから高いもので四〇クローナぐらいまでと色々ある。これなら貰ったお金でこの世界でも食べていけそうな感じである。


 次は肉屋に行ってみる冷蔵の魔道具があるので見た目は日本の肉売り場とそうは変わらない。生肉の切り身が多数おいてある。猪肉が置いてあったので値段を見てみた。同じぐらいの重さのブロックで三九九クローナだった。なるほど、これが小売値か。


 雑貨屋も覗いてみてみるが見たこともない雑貨もあり、日本の百円ショップを覗いているような楽しさで時間が過ぎるので今回は早めに撤収した。


 商店街も一通り覗いたのでミリィとは別れてウニキャンに戻った。

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