07.異世界について勉強しよう!

 二の二時(七時三〇分)に村長宅に出向き朝食を食べながらの会食となった。


 朝食はパンとチーズとサラミやピクルスといった火を使わない料理が中心だった。なんでも魔道具が普及する前は火を熾すのに手間がかかるので朝は火を使わなくても出せる料理を食べるようになったのだとか、日本だと朝は味噌汁に炊きたての御飯というイメージだったので驚いたが所変われば習慣も変わる。パンもサラミもうまいので問題ないしね。


 この世界の国々ついて村長さんに訊いてみた。


「この世界には種族ごとに幾つかの国がありますが、大雑把に分けると魔法を使える種族と魔法を使わない種族とで別れています。西側の大陸には我々のエルフ国を含んだ魔法連合国。海峡を挟んだ東側の大陸には魔法を使わない種族である人類帝国があります」


「魔法連合国は先の人類帝国との戦争の後に出来た連合国家です。三〇年ほど前に人類帝国がエルフの国やその他の国に略奪と侵略にやってきて返り討ちにしたのですが、その時に各国で足並みをそろえて人類帝国に対処したほうが良いという事になりまして連合軍を作ったのですが、それが発展して連合国家になったのです」


「一方の人類帝国ですが元々、人族の山賊や海賊や盗賊と言ったならず者達が我々とは暮らせないと離反してできた国家なのですよ。そんなわけでやたらと好戦的です。武力を尊ぶ国柄となっています。我々、魔法連合のことを逆恨みしていて非常に厄介な隣国ですよ」


 犯罪者集団が独立した国か……。なるべくかかわらないようにしておこうと心のメモに記した。


「同じ人族?として聞いておきたいのですが、彼らはどういった生活をしているのですか?」


「最初は部族間で抗争しあっていて戦火の絶えない状態でしたが、ある部族が国を統一して今は軍事国家として発達しています。科学技術を発達させて我々に対抗しようとしていますが元々海賊や盗賊の成上がりなので指導者層に知識層はいませんので知識のあるものは強制的に兵器開発に従事させられているという話です」


 地球でいうと部族間抗争の内戦みたいなイメージかな?


「我々とは反発はしていますが魔法文明に憧れを持っていて魔道具を欲しがりますね、商人もよくやって来ては魔道具を買い漁っていますよ。もっとも戦争に使われると困るので使い捨ての安全なものしか売りませんが……」

「ウニキャンのような強力な神器を持っていくとすぐに帝国に目を付けられて接収されるかもしれません」


 実に面倒そうな国だ、絶対に近寄らないでおこう。


「魔法連合国のことについても教えてください」


「魔法連合国は、先程も話したように約三〇年前に成立しました。種族ごとの諸国連合という形式です。統治は各国の裁量となっていますが連合国全体の外交や交易や法律などが制定されていて各国持ち回りで議長国を務めています」


 地球だとEUみたいなイメージだろうか?


「エルフ以外にはどんな種族がいるのですか?」


「議長国を務めている国で言えばエルフ族を入れて竜族、ドワーフ族、オーク族、ゴブリン族、獣人族、フェアリー族の七種族ですね」


 いずれ全ての種族に会ってみたいし各国を訪れる旅に出るのもいいかも。と思いながら楽しい朝食会は終わったのであった。

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