06.村長の家族と晩飯を食べよう!

 ミリィがリビングにやってきて夕食の用意が出来たと告げに来た。どうやら村長の奥さんの手伝いをしていたようだ。リビングからダイニングへと向かうと大皿料理や取り皿が並んでいた。


 奥さんが料理の説明をしてくれる。

「こちらが骨付き豚肉のオーブン焼き、鹿肉とキャベツのシチュー、川魚のスープです」

「どれも美味そうですね〜」


 他にはピタパンやナンに似た平たいパンやサラダやデザートやなども用意されていた。

「では取り分けましょう」と村長さん。これは一家の主がみんなの分を取り分ける風習かな?


「いただきます」と銘々が食事に感謝を捧げて食べ始める。もっともエルフの皆さんは「いただきます」とは言わなかったが。


 村長に箸を使ったりとか、その辺りの事情を聞いてみたが、なんでも各世界から彷徨い人が来るために色々な世界の文化が混ざった結果だそうである。


 そんな話をしながら食べ始めるが、どれも美味しい。豚肉のオーブン焼きなんて皮がパリパリで肉汁がジュワッと口の中に広がって美味しい。鹿肉も日本だと癖があって嫌いな人も多いがこれは全く臭くない。肉が柔らかくてとても熱々で美味しい。異世界料理は不味いから日本料理で無双する話を読んだことあるけれど、これでは無双する隙もないですね。村長さん良い奥さんを射止めたなと心の中でグッジョブしておいた。


 食事の後はお酒を飲みながらまったり。お酒は蜂蜜酒だそうだ。蜂蜜酒初めて呑んだが美味しいな。蜂蜜酒は水で薄めて放置するだけで出来る原始的な酒なんだけれど日本で作ったら密造酒になるから作ったことはなかったんだよね。


 楽しいひと時を過ごしたので御礼を言ってお暇しようとしたら「泊まっていったらどうですか?」と言われたが、せっかくのキャンピングカーで初キャンプなのと回復効果を試してみたいのでウニキャンに戻りますと言って辞退した。


 ウニキャンに戻って、運転席にスマフォをタイムラプスモードで放置。これで燃料計の動きを見るのだ。現在は一メモリほど減っている。


 シャワーを浴びてスッキリするとベッドを用意してそのまま眠りについたのであった……。


 翌朝、日の出と共に起きるとスッキリと爽やかに目が覚めた。二日酔いもない。運転席へ行ってスマフォのタイムラプスを確認。深夜頃から徐々に燃料計の残量が満タン側に振れているのが確認できた。もう少し検証してみないとわからないけれど燃料が回復するならガソリンを気にしなくても良いので非常に助かる。


 時間については村長さんに尋ねた所、だいたい地球と同じのようだ。二四時間制では無くて一日を四分割した時間が基本となるようだ。仮にクオータータイム制とでも名付けよう。四分割した時間をさらに四分割してそれが一時間となる。正確には一の一時間とか三の四時間とかいう感じ。地球時間換算だと現地の一時間が地球の一時間三〇分相当だ。


 村長宅にあった異世界製の魔道具時計と地球から持ち込んだ腕時計と見比べて現地時間から地球時間に換算して修正。


 この世界に転移した直前は夕方だったけれど、この世界では昼だったので時差が出来ていたのだ。量子テレポーテーションなら瞬時なので日数は経ってないはずである。全くの想像だが。


 この世界は四八〇日で一年だそうなので地球より長い。双子星なので軌道周期が長いのかもしれない。一年を四分割してさらに四分割したのが一ヶ月。一年は一六ヶ月。つまり三〇日が一ヶ月なので地球感覚的にはありがたい。地球から持ち込んだカレンダーは使えないけれど時計だけは目安として使えそうだ。


 さて本日はどうしようか。とりあえず村長さんに朝食に呼ばれているので村長宅に行ってから考えよう。

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