第四章 仮説
「考えられるだけ考えてちょうだい――この世界は一体何なのか」
実に漠然とした質問である。人生とは何か、みたいな哲学的な響きさえ少し感じられる。
でもそういう風に言わざるを得ないということはこの場の誰もが納得するところだった。我々に差し迫っている最大の問題は、最大級に漠然としていて意味不明なのだ。
この世界は一体何なのか。
「……まず、電気や水のことは抜きにして考えない?」と私は提案する。「突然周りがまったく違う風になっちゃうことにどんなパターンがあるか、それから行こうよ」
「――そうね」
「あと、この際、馬鹿馬鹿しいとか恥ずかしいとか、そういう理由で意見を引っ込めるのは無しで進めるのが良いと思う。それこそ、漫画でこういう話を読みましたとか、そういうのでもいまは大事かなって」
「そういうことなら――」と
「え?」
突然話を振られて、祠が少し動揺する。祠のオタク趣味は屋敷の中ではよく知られたものだ。
性格上、冠奈は普段そのことに呆れていたようだが、ことここに至っては、その趣味は一種の資産になり得る。
冠奈には教養があるが、それらは現在の話題とは少々趣を異にしている。冠奈も馬鹿じゃないので――というか利口な人なので、いまは祠のそれに敬意を表するのが得策だと判断したのだろう。
「ええと――」祠は斜め上を見上げて少し考える。何を話すべきかより、何から話すべきかが難しそうだ。「いちばん単純で、細かくパターンが分かれたりしないのが、このお屋敷だけが残ってあとは無くなってしまった、というのだと思います」
「何が起きて?」
「姉さん、そういうところを考えるのはとりあえず後回しにしよう」私は釘を刺す。
「……そうね。ごめんなさい。続けて」
「この場合、ここは私達のよく知っている元の街です。ただ周りが何らかの事情ですべて無くなってしまって、まるで違う世界のように見えてしまっているだけ、ということになります」
ふむ――と冠奈が考え事をする素振りを見せる。言いたいことは色々あるのだろう。遥か先まで土地の形状がこんな風に平坦になっているのは妙だ、とか。
「……それから?」
「それから、このお屋敷が物理的にどこか別の場所に飛ばされてしまった、という考えがありますが――これは、どこに飛ばされてしまったのか、という点で、幾つものパターンに分かれます」
「色々ありそうだねえ」と私は同情するように言った。
「その中でいちばん現実的――と言いますか、現実的な要素をまだしも残しているのは、私達の知っている現在の地球……」
そこまで言ったところで、祠がちょっと恥ずかしそうに言い淀む。
地球、という単語の登場がいかにも壮大かつ創作的で、自分の趣味を空気も読まずにそのままさらけ出しているような感覚に陥ったのではないかと推察する。
しかしいまはそれこそが求められているのだ。頑張って欲しい。
「……現在の地球の、どこかの荒野に飛ばされてしまったというパターンだと思います。ここまで平坦な荒野がどこまでも続く土地が、果たしてあるのかは知りませんが。ただこの考え方だと、GPSを使えないのはおかしいです。街中だろうと荒野だろうと、世界中どこにいても使えるのがGPSですから」
「空、ちゃんと見えてるしねえ」と私は相槌を打つ。
「それで――」と祠が続けた。「ここからさらに現実味が薄れるのですが……あと飛ばされる先として考えられるのは、時間か、星か、次元が異なる場所です。次元というか、平行世界と言いますか」
へいこうせかい――と
「まず時間ですが、つまり過去か、あるいは未来へタイムスリップしてしまったという可能性です。たとえば何万年か先の未来の地球だったり」
「もう人類はいない未来かしらね?」と冠奈が言う。なかなか柔軟に話に乗ってきているのが興味深い。
「そうかもしれませんし、たまたま放棄されている地区なのかもしれません。あるいは地下に都市があるのかもしれません。人類が生存している場合は、近いうちに何か向こうからの接触があるのかもしれません」
「それに期待すべきなのか、不安に思うべきなのか」私は冗談めかして笑う。「日本語は通じないかもしれないなあ」
「次に、星です」
祠は言い、再び言葉が止まる。気持ちはわかる。
「大丈夫だから、どんどん言っちゃって」と私は背中を押した。
「ありがとうございます。……別の星に来てしまったのかもしれません。つまりその、ワープみたいなことで」
「ワープ」と冠奈が言う。
「さっきタイムスリップが出てきたんだから、いまさらワープに抵抗してもしょうがないよ」
「いえ、抵抗するわけではないのだけど――ワープというのは、自然にしてしまうものではないわよね?」
「そうですね。たまたま自然現象で、空気のある別の星にワープしてしまうというのは奇跡にしてもできすぎていますから、その場合は……その、いわゆる宇宙人のようなものの関与を考えるほうが話がまとまる気がします」
「だとしたら、間違いなく監視されてるよね」私は言った。
「そう――なると思います」
「地球全土の中からうちが選ばれたんだとしたら、光栄に思うべきなのかなあ。ただの無作為抽出かもしれないけど」
「その場合、彼らは何を見たいのかしら」
「慌てぶりか何かじゃないの? 普通の日常生活が見たいんだったら、わざわざこんな風に隔離しないでいつもの場所でいつも通りに暮らしてる私達を観察すればいいんだから」
「――それから、平行世界ですね。英語でパラレルワールドと言ったほうが馴染みがあるかもしれませんが」
「どちらも、言葉を少し聞いたことがある程度だわ」冠奈が言った。彼女の頭の中にある辞書の傾向を考えればそうだろう。
「SF小説や、近頃の漫画やゲーム……あと真面目なところでは量子力学などに出てくる概念です。要は、この世界は一つではなく、少しずつ違う世界が無数に存在するという考え方です。たとえば自分が生まれてこなかった世界とか、私達の世界では負けた戦争に勝っている世界とか、そういう世界がすぐ隣にあるのかもしれない、みたいな」
「それで、そのうちの一つの世界に飛ばされてしまったのではないか、ということね」
「――はい」
誰も何も言わない時間が十何秒か続いた。
祠の他はほとんど冠奈と私しか発言していないので、祠の話に区切りがついたところで私達二人が黙っていると、進行が止まってしまう。
私は何か仕切ろうかとも思ったが、考え直して黙っていた。「議長」はあくまで冠奈である。あまり私が出しゃばると、彼女が機嫌を損ねるかもしれない。
「……ちょっと、これまでの話を整理してみようかしら」としばらくして冠奈が言った。「とりあえずいま話して貰ったのは、屋敷以外が消えてしまった可能性と、屋敷がどこかに飛ばされてしまった可能性。ということでいいのよね?」
「そうです」
「その中で、いまのこの屋敷の状況……つまり、電気やガスや水道がまともに使えて、屋敷としての機能にまったく問題がないという状況に説明がつくのは、どれかしらね」
「ぶっちゃけた話、どれでも成立はすると思う」と私は言った。「聞いてて思ったんだけど、結局どのパターンも、凄い文明を持った存在がやったことなら、未知の技術でいろいろやることはできるよね。宇宙人でも平行世界の人間でもいいけど――この世界が何であれ、そういうのが関わってくるなら説明がついちゃうよ」
「そうね……その想像が許されるのなら、際限がなくなるわね」
「ただ、動機が不明。さっきも話に出たけど、なんでこの屋敷じゃなきゃいけないのか、考え出すとわからなくなる。たまたま選ばれたのか。それとも私達って未来の文明から見て凄く特殊だったりするのか。あと、何がしたいのか。……祠は何かアイディアある?」
「――そうですね」と祠は少し考える。「愛玩用に収集された、とか。あと、先程お嬢様がおっしゃっていたように、こういう状況における私達の行動を観察しているとか……」
私は腕を組んで考え込む。どうもしっくりこない。理由は明らかで、いずれの場合も奇跡的な確率を必要とするからだ。
この際、超文明の存在は肯定しよう。するとしても、そこに物凄い偶然が介在しなければ、私達がターゲットになることはあり得ないのだ。そこに私の感覚は納得ができずにいる。
不思議なことは、現に起きている。だから仮説の中に不思議な力が登場することを否定する余地はない。
ただ、その不思議なことが「この屋敷で起きた」ことに必然性を持たせることのできる理由付けが欲しいのだ。
「……祠」と冠奈が言った。「他のパターンも話してくれる?」
「あ、はい」
祠は言い、頭の中を整理するようにまた少し考える素振りを見せる。ここまで自分の独壇場になるとは予想していなかったに違いない。しかし、確かにこういう話を広げさせるのに祠は適任だった。
「あと考えられるのは――ちょっといまの私達のことを否定するような内容なのですが――私達が作られた存在である可能性です」
「作られた存在?」
「はい。たとえば、コンピュータ的な物による仮想世界。昨日までのお屋敷の状態や、私達の姿や人格をデータとして記録して、何もない空間にセットした、みたいなことです。この場合、私達は正確には今日生まれたことになります。本物の私達とは別に」
「それは――もちろん現代の技術では不可能よね?」
「そうですね。やっぱりまた、その、宇宙人とかを想定しなくてはいけなくなると思います」
「で、何か実験してると」私は言う。「このへん、同じ想像になってくるね」
「同じことを、クローン技術でやっているというのも考えられますが」祠は続ける。「その場合、このお屋敷をそっくりもう一つ、物理的に作ったということになるわけで、個人的にはあんまり――」
「超文明の仕事にしてはクールじゃないと」
「……そんな感じです」
「いやわからないよ、屋敷だけは本物をそのまま持ってきたのかもしれない」
「だとすると、本物の私達は屋敷がなくなった敷地で吹きさらしになっているということかしら」
冠奈が冗談っぽく言う。彼女がそういうことを言うのは割と珍しい。
「かもしれないね」と私は言った。「もしそうなら、あっちもこっちもお互いに大変だわ」
私は屋敷が消え、その中にあった家具も寝具も何もかもが消え、ついでに服まで消え、何もない四角い更地に素っ裸で放置されている「本物の私達」を想像してみた。可哀想なのか滑稽なのかよくわからない光景だ。
誰がどう見たって異変だろうから、周囲の住人達が警察にでも連絡してくれるのだろうが、当人達はさぞ説明に困っていることだろう。ある朝起きたら、身の回りの何もかもが無くなっていた――私達とはちょうど正反対の形に。
「……次のお話をしてもよろしいでしょうか?」と祠が冠奈に伺いを立てる。
「どうぞ」
冠奈が言い、祠は小さくうなずいて皆を見渡した。少しずつ堂に入ってきている気がする。
意外と心のどこかでこういうシチュエーションを夢見ていたのかもしれない。無駄と見なされていた自分のインプットが肯定されているのだから、基本的に悪い時間ではないはずだ。
「これも、私達が作られた存在であるという可能性ですが――ある意味、話はとても小規模になります。ここが誰かの頭の中……意識の世界で、私達はその人物が自分の中に作り上げた、架空のキャラクターであるというパターンです」
「頭の中……」
「それって、超能力みたいな話……じゃないのかな?」
「とりあえず、いまお話させて戴いているのは、誰の頭の中にも起こり得ることです」と祠は説明する。「つまり、人が何かについて考えるとき、その頭の中では常にこのような仮想的な世界が作られては消えているもので、今回の私達もそのありふれた現象の一つに過ぎないのではないか、という……」
「誰かの考え事に付き合わされている――というより、考え事の一部であると?」冠奈は自分の理解を確認するように言った。「その人物が屋敷についての考え事を終えれば、私達は消えてしまうということかしら」
「……わかりませんが、感覚としてはそれが自然な気がします」
「ずいぶんリアルに私達一人一人の造形を用意したものね」と私は言った。「皆、違和感まったく無いよ。この世界の主様は相当私達のことを熟知してるね。まあ、そう感じるのも、私がそう都合良く作られているからかもしれないわけだけど。――でも、それ良い仮説だよ、祠」
「え?」
「さっきまでの仮説だと、この屋敷が選ばれた理由がわからない。でもいまの仮説なら、そこを考える必要がまったく無くなるもの。要は屋敷のことを知り尽くした誰かの考え事だからターゲットがこの屋敷だっていう理屈になるわけでしょ?」
「そう――ですね」
「突飛な話なのは間違いないけど、何というのかな、私達にぐっと近くなったとは言える気がする。水や電気の件も疑問がなくなるしね。ちなみに、超能力パターンはあるの?」
「はい。……これは最近読んだ小説にあった話ですが、超能力によって、現実の存在が意識の世界に引きずり込まれてしまうというものです。これは先程まで話していた、現実的に飛ばされる例になりますね」
「そのケースだと、さっきの話と同じで、現実の屋敷は消えちゃってるわけだ。あ、今度は私達ごと消えちゃってるのか」
「それもあり得ますし、お屋敷は意識によって作られた物で、私達だけが移動させられたということもあるかと思います。小説では乗り物に乗っていた主人公達が乗り物ごと取り込まれて、意識の中の架空の建造物に置き去りにされるという設定でした。ただ、その、あくまで小説のネタなので……」
「そこはいいよ」と私はフォローする。「可能性ね、可能性。何でもありだから」
「……他には、何かある?」冠奈が訊ねた。
祠はまた少し考える。「……超能力を言い出すのであれば、飛ばされるパターンの全部に超能力が加わります。ついでに言ってしまうなら、魔法――呪術とかも。インフラまでそういうので維持できるのかと言われると難しいですが……」
宇宙人、平行世界の人々、超能力者、魔法使い――。私達から見て特異な力を持った存在の種類と、飛ばされた先のパターンの掛け算になるわけか。
「……とっさに思いつくのはこれくらいです。ゆっくり考えれば、細かいところが微妙に違う可能性がまだまだ挙げられると思いますが」
「そう……じゃあ、とりあえず仮説を挙げるのはこのくらいにしておきましょう。祠、ご苦労様。長々と喋らせてごめんなさいね」
「いえ、そんな」と祠は首を振る。しかしどこかやりきったという表情をしている。「いろいろ変なことを言ってしまったかもしれません。こちらこそ申し訳ありませんでした」
「そんなことはないわ。参考になった。――他に何か仮説のある人はいる?」
冠奈は全員の顔を一人ずつ見て回る。誰も反応しない。
「……わかりました」
そう言うと、冠奈は椅子の背に体を預け、静かに目を閉じた。
見たところは平静だし、途中いろいろと祠の話を受けて反応もしていたが、基本的に冠奈にとって、いまの祠の話を受け入れるのは大変な苦労であるはずだ。
これまで彼女が生きてきた世界には、こういった類のものは一切と言っていいくらい存在しなかったと推測される。脳みそを根本から組み替えるような作業が、いま冠奈の中で行われているのだろう。
かく言う私だって、ノリに乗って会話を広げはしたけれども、それは夢物語のようなことを話さざるを得ない祠を独りぼっちにしたくなかったからであって、自然体ですべての話に対応できたと言えば嘘になる。
他の面々も似たり寄ったりだろう。淀みなくすいすいと進んだが、実のところ私達はいま、とんでもない会話を延々と展開していたのだ。
たぶん、長々と話し込んだ祠がいちばん、いつものままの心理でこの場にいられたのではないかと思う。彼女を付き人にしている私だからよく理解しているが、祠
冠奈がゆっくりを目を開ける。それから組んだ両手をテーブルに置いて、言った。
「……皆はどの仮説がいちばんしっくり来る? いちおう、全員の感想を聞きたいわ。皮膚感覚で構わないし、わからなければわからないでいい。……
皆の視線が末席の銀見さんに集まる。彼は結局一言も話には加わらなかったが、それはそうだろうなと納得がいく。彼がいまの話題で饒舌になっていたら、そちらのほうが驚きだ。
「正直、わかりかねます」と銀見さんは言った。「何らかの形で目の前の物事を解釈しなくてはならないことは理解できますが――歳のせいですかな、どの話もうまく腹に収まりません」
「結構です。気持ちはよくわかりますわ。……
「宇宙人にさらわれた、というのがいちばんわかりやすいですね」春沙さんは即答する。少し顔色が悪い。「きっと私達はモルモットなんですよ。皆さんに包丁を渡しましたけど、もしかしたら余計な抵抗はしないほうが安全なのかなと思い始めました。包丁どうしましょう?」
「……各人の判断に任せます」冠奈は言い、それから面倒臭そうに次の人物を見た。「雨傘」
「は、はい」雨傘は冷たい水滴が背中に落ちたみたいに背筋を伸ばす。「申し訳ありません、私にはよくわかりません。どのお話を聞いても、そうなのかもと思ってしまいます。いままで考えたこともないことばかりで――」
「……祠は自分ではどう考えてる?」
冠奈は懸命な雨傘を放置するように祠に対象を移した。さすがにそれは露骨すぎる態度ではないのか。雨傘がしぼむように黙り込む。
「私は――」と入れ替わりに祠が言葉を発する。「いちばんコンパクトで無理の少ないものとして、誰かの思考の中に作られた存在である可能性を推したいです。自分で話しておいてこう言うのもどうかと思うのですが、物理的に人や物が移動するのも、未知の力が登場するのも、できるだけ後の選択肢にしておきたいので」
「そう。
「一つ、疑問があります」と糸氏さんは言った。「仮にここが誰かの意識で、私達のすべてが作られた存在であったとして、その誰か――主とでも言いますか――は、お屋敷のことを相当に知っている人物だと考えるべきなのですよね?」
「それは恐らくそうなのでしょうね。そうでなければこんなに現実そっくりにはならないでしょう」
「その場合、その主はお屋敷に住む誰か、ということになるのでしょうか」
「……そう、なるのかしら」冠奈が考え込む。
「だと思うよ」と私は言った。「逆に、外の人間がこれだけ屋敷のことを隅々までわかってたら気持ち悪いよ、私」
「それで、ここからが疑問なのですが」糸氏さんは続けた。「その場合、主はこの場におられない旦那様か奥様に限られるのでしょうか。それとも――この中の誰かである可能性もあるのでしょうか?」
何か冷たいものがこの場を通り抜けるような感触があった。糸氏さんはごく率直な疑問としてそれを口にしただけのようだったが、何故だろう、私には何か不吉を孕んだ宣告のように感じられたのだ。
「……その場合」と冠奈は言葉を選ぶようにゆっくりと口にする。「この中の誰かが、事情をわからないふりをしている、ということになるのかしら」
「どうなのでしょう」
「祠、あなたはどう思う?」冠奈が再び祠に話を振る。
「……そうなのかもしれませんし、そうでないかもしれません」少し戸惑った様子で祠は言った。「その、先程の小説の話になりますが、そのお話の中では――主は、何も知らずに巻き込まれた一人として、皆の中に紛れ込んでいました。つまり、自分のコピーを作って投げ入れたような形でした」
「それをこの場に当てはめると」と私は続きを引き受ける。「この中の誰かが主だとしても、本人にその自覚はない、ということになるわけね」
「はい」
「そりゃどうしようもない」
「そういった疑問を踏まえた上で」と糸氏さんは言った。「私は祠と同じ意見です。私達が皆、頭の中で作られた存在であるというのが、いちばん無理が少ないように感じます」
「……わかったわ。ありがとう」
冠奈は言い、それから躊躇いがちに隣に目をやった。
羽子はいかにも興味なさそうな顔で、誰とも目を合わせずに佇んでいる。
でも本当に見た目の通りに興味がないのか、内心ではまったく違う風に思っているのか、実際のところはよくわからない。
常識的に考えて、何も動揺していないということはあり得ないと思うのだが――いや、羽子に限っては、どのような心の動きがあっても私には特に驚きはない。
雨傘にだけは多かれ少なかれ羽子の気持ちが読み取れるのかもしれない。何と言っても彼女がいちばん、ここ最近の羽子の近くで時間を過ごしているから。
しかしその雨傘も、屋敷の中では思考が読み取れない部類に属する人物であるというのが実際のところだ。そういう意味では、このペアは二人揃ってかなり難物である。
「――羽子」と冠奈は慎重に言った。些か慎重すぎる気がする。腫れ物扱いのようなニュアンスが出てしまっている。「話は聞いていたわよね?」
「……耳、塞いでなかったからね」と羽子は言い、片足を椅子の上に立てて両腕で抱きかかえる。よくやる仕草だ。
「羽子はどの説が気に入ったかしら?」
「どれでもいい」と冠奈の声を遮るように羽子は短く言った。「宇宙人でも超能力者でもいいけど、ただネットだけ使えるようにして欲しい。それだけ」
「そうね。羽子にはとても不便よね」
言うまでもなく、私も祠も他の皆も、ネットを使えないのは不便である。しかし羽子のそれは少し意味が違ってくる。
それは単に雨傘にメッセージを送信するといった利便性の話に留まらず、彼女の現在の生き様というか、呼吸というか、そういう深さにまで関わる問題なのだ。
それが良いことかどうかはともかく、羽子の情操の何割かはネットでできている。
「じゃあ次、
「ほいきた」と私は景気を少しでも取り戻そうと明るく振る舞う。「私は、本当に個人的な好みの問題として、現実の私達が誰かの意識の中に取り込まれたっていうパターンが気になった。つまり祠が最近読んだ小説のやつね。ただ、もしかしたら単にその小説が私好みなだけかもしれない。純粋に、気になったというだけだから。普通に考えたら、物質が精神の中に入るって、変だよね。まあ変と言ったら何もかも変なんだけど」
「変な世界の中にいるのだから、説明も変でなければおかしいわよね」と冠奈が言う。自分を納得させようとしているように聞こえる。「最後は私ね。――私も誰かの意識の中という考え方が最もしっくり来たわ。でも正直に言うけれども、作られた存在であるか、取り込まれた実体であるか、そのあたりはまったく見当も付かない。何だかふわふわしていて、どれが気に入るというのも無い。私、思っていたより想像力が貧困なのかもしれないわ」
「お嬢様に何か問題があるわけではありません」と糸氏さんが言った。「状況が極めて異常なのです。悪く言ってしまえば、我々はその状況の中で好き勝手にものを言っているだけです」
「ありがとう、糸氏。でも助け船はいいわ。苦手は苦手で素直に認めます」
冠奈が苦笑する。そんな彼女を、隣の羽子が一瞬だけちらっと見た。羽子にとっては姉の意外な一面だったのかもしれない。
「……さて、とりあえず意見は出揃ったわけだけど」
「まあ、多数決的には、人気があるのは意識の中説? 春沙さんはやっぱり宇宙人説を推しますか」
「自信があるわけじゃないですよ」と春沙さんは念を押すように言う。「でも私のアンテナにはいちばん強く引っかかったんです。宇宙人。勝てそうにないですけど」
「抵抗しても無駄ではあるでしょうね」
私は言い、宇宙人の戦い方を少し想像してみた。
私の発想で出てくるのは、何かビームみたいのを発射する銃くらいのものだが、それでも包丁を振り回すしかできない私達との戦力差は圧倒的だ。どう考えても無条件降伏が最適解になるだろう。
「春沙さんの意見を無視するわけではないのですが」と冠奈は言った。「いまのところ、宇宙人については何も検証できることがありません。考えられることから考えたいと思うのです。そういう意味では、注目したいのは意識の中という説の――主の問題ですね。誰の意識の中なのか」
それを聞いたときに、私はさっき感じた冷たい感触の正体に気づいた。
この空気は、犯人捜しの空気だ。
そして、そういう空気になるとすれば――。
私は何でもない風を装って周囲の様子を窺う。
一見すると皆の視線も態度もばらばらに感じられるが、そこにはどこか、先程までには無いよそよそしさがあった。
というより、皆が私と同じように、何でもない風を装って周囲の様子を窺い合っていた。
思うままに任せていたら視線が一ヶ所に集まってしまうであろうことを――そしてその対象となる人物の心情を大いに損ねてしまうであろうことを、皆が気にしているように感じられた。
――しかし当の対象にとっては、そのはっきりさせようとしない皆の姿勢こそが、むしろ不快を増幅させるものであったかもしれない。
「……わかるよ」とテーブルの一点を見つめながら羽子は言った。「私が第一容疑者なんでしょ?」
「お嬢様――」
雨傘はそこまで言って言葉を止めた。咄嗟に、そんなことはありませんと言おうとしたのだろう。
しかし明らかに場の空気は羽子の言う通りなので、それはあまりに上辺だけのフォローになる。だから雨傘は最後まで言い切れなかったのだ。
「当然の考えだと思うよ? 私がいちばん世の中否定してるもん」羽子は言い、足を抱えた腕をぎゅっと締める。それから一段低い声でぼそりと付け加えた。「――ムカツクけど」
何かを言うべきなのだが、何を言うべきなのかがわからず、私達は黙って羽子のことを見つめていた。とてもばつが悪かった。
もちろん私達に他意はなかったのだが、結果的にはいちばん年少の子に、よってたかって重圧をかけてしまったのだ。
「あのね羽子、気を悪くさせてしまったのならごめんなさい、謝るわ」と冠奈は言った。平静を装っているが、かなり慌てている。「誰もあなたのせいにしてしまおうなんて考えているわけじゃないの。それはわかってちょうだい。そもそも私達はいま単なる仮説の話をしているだけなのよ。ただあなたが、つまり……」
そこで言葉が詰まってしまう。結局のところ、取り繕いようもなく羽子の普段の在りようと周囲のいまの在りようは連想で容易に結びついてしまうのだ。それを否定するうまい方法が見当たらない。
「――私が死んでみせたら、全部元通りになるのかな」
視線を動かすことなく羽子は言い――そして薄ら笑いを浮かべた。口元を無理やり引き裂いて作ったような薄ら笑いだ。
「羽子」
「うずまき」と私は耐えかねて言った。「そういうのは無しで行こう。とにかくあんたは何も悪くない。皆そう思ってる。お願いだから信じて」
羽子は小さくため息のようなものを吐く。そして足を降ろすと、静かに椅子を引いて立ち上がった。その名の通り、羽子の動作はどんなときも羽のように軽く、物音というものがほとんどしない。
羽子は黙ってテーブルを離れると、食堂の出入り口へと歩いていく。
「部屋に戻るのね?」と冠奈は訊ねる。
「うん、死んでくる」
「羽子!」
「冗談だよ」と振り返ることもなく羽子は言った。「――たぶん」
冠奈は羽子を追いかけるべく立ち上がろうとして、そこで躊躇する。代わりにその付き人を睨みつけるように見て、「雨傘!」と声を荒げた。
その声が発せられたときにはもう、雨傘は席を立って羽子のもとへ駆け出すところだった。
「失礼します――」
雨傘は我々にそう言い残し、ちょうど食堂の出入り口の手前で羽子に追いつき、その隣に身を寄せる。
それから小声で羽子に何かを語りかけた。内容は聞き取れなかったが、羽子は特に何の反応も見せなかった。その後ろ姿から感じ取れるものは何もない。
――やがて二人の姿が見えなくなると、食堂を支配していた張りつめた空気が急速に緩んでいった。
「あの子は……」
やりきれなさを隠すこともなく冠奈は言い、額に手を当てる。
万が一にも誤解がないように確認しておく必要がある。
冠奈は羽子を嫌ってはいない。むしろ姉として少しでも親密になりたいと考えている。何でもいいから接点を持ち、一つでも多くの物事で妹とポジティブに繋がりたいと思っている。少なくとも私はそう観察している。
しかしそれがなかなかうまくいかないのだ。
そして親密になりたいという思いが強いぶん、羽子に使うエネルギーは疲弊となって冠奈に跳ね返ってくる。そこで羽子に対して一時的に苛立ちと呆れのようなものを抱いてしまうのは――人間ならば仕方ないことではないだろうか。
「申し訳ありません」と糸氏さんが言った。「私達の中の誰かに疑いをかけるような疑問を発したのは私です。軽率でした」
「それを言うなら、私もよ」冠奈は苦笑する。「そんなつもりじゃなかったのだけどね」
「誰も悪くないよ」と私は言った。「ただ、流れが悪かっただけ」
「……気を取り直して、今後のことを話し合いましょうか」
「お嬢様方は、可能な限りいままで通りにお過ごし下さい」糸氏さんがてきぱきと言う。「お屋敷のことは我々使用人がすべて担当します。ただ、旦那様の書斎の掃除はいかがいたしましょう?」
「お父様の書斎、勝手に入ってもいいものかしら……」冠奈は言った。
常日頃から、お父様は基本的に自分の書斎に誰も立ち入らせない。鍵を持っているのはお父様と銀見さんだけだ。
その銀見さんも、お父様が中にいるときにはもちろんノックして許可を得なければ入ることはできないし、誰もいないときには入ることを禁じられている。
結果として、お父様以外の人間が書斎に入る機会は非常に限られている。銀見さんが急な用事を取り次いだときと、使用人達が掃除に来たときくらいではないだろうか。私もこれまでの人生で何度かしか入ったことはないのだ。
徹底されているのは、お父様が書斎にいないときには誰もその中に入れないというルールである。
それの何が驚きかといえば、お父様は書斎の掃除をさせるときにも部屋の中に残っているのだ。
普通なら自分がいないときに掃除をさせるものではないかと思う。私の部屋だって私の留守中に祠が掃除をする。しかしお父様は、たとえ埃を吸い込むことがあっても書斎に残っているのである。
昔からずっとそうだったからそういうものだと馴染んでしまっているが――後々身につけた世間の常識と照らし合わせて理屈で考えると、これもお父様の変わったところの一つであると言わざるを得ないだろう。
「……そういえば」と思い出したように冠奈が言った。「銀見さんは今朝、屋敷の中を一通り調べたと言ってましたね。それは書斎も含めてのことだったのですか?」
「はい」と銀見さんは答える。「失礼を承知で、糸氏と二人で入らせて戴きました」
「糸氏と?」
冠奈が糸氏さんを見る。糸氏さんは神妙な面持ちで、はい――と答えた。
「今朝、寝室の前でお二方を呼ぶ銀見さんの声が何か普通でないように聞こえたので、私は気になって様子を見に行きました。着いたときには銀見さんはすでにマスターキーで部屋を開けて中に入っていたところで、中には誰もいませんでした。その足で奥様のお部屋に向かったのですが、そこも同様でした」
「他にもめぼしいところへ行ってみたのですが、やはりお姿はありません。それで糸氏が、書斎を気にし始めたのです」と銀見さんが話を続ける。「しかしノックをしても返事がありません。二人で話し合った結果、責任は双方が取るということで、鍵を開けて入らせて戴くことにしました。中で倒れられている可能性などもあったからです」
「でも、そこにもいなかった――」
「はい、いらっしゃいませんでした」銀見さんは悔やむような顔を作る。「それで書斎を出たところで雨傘からの報告を聞き、外の状況を把握するに至りました」
「……糸氏?」と冠奈が糸氏さんの顔を覗き込むようにして言った。「勝手に入ったことを気にしているの?」
私は真横にいる糸氏さんの表情を窺う。
普段から引き締まった顔をしているのが糸氏さんなのだが、いまはそれに加えて、繰り返すようだが何か神妙というか、あるいは歯痒そうというか、そういったものが見て取れる。
我が家における書斎への無断侵入は、忠実な使用人にとってはそれほどに禁忌なのだろうか。
「――そうですね」と糸氏さんは冠奈の顔を見ずに短く言った。
「非常事態だったのだから、仕方ないわ」冠奈は励ますように言う。「そして非常事態は未だに続いています。書斎の掃除……お願いできるかしら」
「承知しました。では、この件は私が一人で引き受けることにします。勝手に入る人数は少ないほうがよいでしょうから」
日常と非日常の混ざり具合がとても奇妙だ。私達は普段通りの食事をし、すっかり様変わりしてしまった外界についての突拍子もない話をし、それから屋敷の掃除の話をしている。
「お父様とお母様がどこへ行ってしまったのかは……独立した議論にしても仕方ないでしょうね」と冠奈が言った。「結局、この世界が何なのかにかかっている話でしょうから」
「たぶんね」と私は同意する。「誰よりも早起きして、この荒野の中を二人で旅に出たのでもない限り、二人の居所はきっと世界の回り方がわかって初めてわかるんだと思う」
世界の回り方――と冠奈は呟く。それから出入り口の向こうに顔を向ける。
「羽子は機嫌を直してくれたかしら?」
「雨傘がいれば大丈夫だよ」
私は答えた。その答に込めた想いは二つあった。そこで羽子の話を振るのはどうなの、ということ。それから、冠奈の将来の目標から考えて、雨傘への態度はどうなの、ということだ。
冠奈は悪い人ではない。ただちょっと思い込みが強い。人間、誰しも完璧ではない。
◆
「私のせいでもあると思うんです」と祠は嘆いた。
食堂での会議(らしきもの)が終わったあと、私は祠の部屋に出向き、ベッドに並んで座って彼女と二人であれやこれやと話し込んだ。二人だけの反省会のようなものだ。
祠はあの場で思うように自分の知識を披露できなかったことを酷く悔やんでいた。
「急な話だったのと、少し緊張していたのと――あと話があんまり長くなるのも整理がつかなくなるかなという気持ちとがあって、思うように仮説を並べられなかったんです」
「あれで?」と私は言う。「それなりに出揃っていたと思うけど」
「全然です」と祠は否定する。「たとえば、世界五分前仮説ってご存じですか?」
「知らない」
「簡単に言うと、この世界は五分前にできたかもしれない、それ以上前の記憶だと思っているものも、五分前に植え付けられたものかもしれない――という話なんですけど。それに従うのであれば、私達はそもそも今日から始まった存在ということになるんです。元々の世界があったわけではなくて」
「そうすると――ええと、どうなる?」
「普通に暮らしていたのに突然何かに巻き込まれた、という発想がそもそも間違っていることになります。普通の暮らしなんて無かったんです」
「……それだともう、どうしようもないね」
どうしようありません――と祠は言う。少し興奮気味だ。
「帰る、という発想もあり得ないことになります。ゴールが無くなってしまいます。この説については、だから言えなかったというのもあります」
ここがどんな世界で、私達がどんな存在であれ、私達にとっての当面のゴールは、元の世界に戻ることだ。
いまのところその方法はまったく掴めていないし、掴むためにすべきことも定まらないわけだが、ともあれ目を向けるべきはその方向である。
でもそれがあり得ないのだとしたら――確かに、まともに受け止めたら気が遠くなってしまいそうだ。
「あと、巻き込まれパターンにも、もっといろいろあるんですよ。たとえば、魂の分裂みたいなことが起きて、元の世界の自分は元の世界の自分、こっちの自分はこっちの自分、と別行動のような状態になるという――そんな作品も観たことがあります」
「それもフィクションの話ね」
「はい。ちなみに世界五分前仮説はいちおう哲学の話で、真面目な思考実験なんですよ」
「そうなんだ」
「フィクションで言えば、有名どころでは、複数の人間の夢が合わさって一つの世界を構成している、という話もありますが……あれ、これは以前お嬢様に言いましたっけ?」
「なんか聞かされた気がする」
「ですよね。私はシリーズの中ではあれがいちばん好きなんですよ」
「確かその前のやつも好きとか何とか――いや、祠、ちょっと落ち着こう」
私は宥めるように言う。祠はハッと催眠術が解けたみたいな顔をして、失礼しました――と恥ずかしそうに謝った。
確かにいまの彼女のほうが、さっきまでの彼女より柔軟で饒舌で、知っていることがいくらでも瞬時に出てくるようだ。しかしそれと引き替えに、リラックスしすぎて趣味が暴走してしまうのを抑えるのが難しくなっているようである。
「ともかく、他にも考えようはいくらでもあるんです」と気を取り直して祠は言った。「それをしっかり言っていれば、ああいう話の流れにはならなかったかもしれません。そうすれば羽子お嬢様のご機嫌を損ねることもなかったかもしれないんです。そういう意味で、あれは私のせいでもあると思うんです」
「気にしすぎだよ」と私は慰めた。「祠はちゃんと仕事してたと思うよ。ある意味かっこよかったよ」
「ある意味ですか」祠は苦笑いを浮かべる。
「うん、ある意味ね。……でもね、実際のところ私にも反省点はあるんだ」
「お嬢様にですか?」
「そう。あのとききちんと疑問に思うべきだった。仮にここがうずまきの意識の中だったとしようか。そうすると、外の様子については――確かにイメージが合うのかもしれないけど、ネットに繋がらないというのは、逆にいちばんあの子らしくないんじゃないのかなって」
「……そういえば、そうですね」祠は言い、部屋の中に満ちあふれた彼女のオタクの結晶の数々を見渡す。「私からこれらが奪われたようなものですからね……いや、私もネットできないのはつらいんですけど」
「そのへんを考えるとね、決して何もかもうずまきの個性に合った世界ではないんだよ。それをすぐに考えて言うべきだった」
「……ネットは他人がリアルタイムで更新するコンテンツあってのものなので、模すことができなかった、という可能性もありますが」
「それはまあそうだけど。ただね、私はそこがすごく気になるんだ」私は言い、祠の膝元に頭からぽすんと倒れ込む。たまに昔の名残で祠の膝枕が恋しくなる。「……でね。今回のこととは関係なく、私思ったんだ。これは良い機会――良い機会と言うと語弊があるかもしれないけど――でも良い機会なのかなって」
「何の機会ですか?」
「うずまきとね、よりを戻すというか」私は仰向けになり、祠を見上げる。「昔みたいなコミュニケーションを取ろうとするべきなのかもしれない」
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