第8話

 昨日は酷い目に遭わされた。


 あのクソサポーター全くもって信用出来ない。


 出来ないがあいつのサポートがなければ色々ヤバいのも事実。


 仕方がないので今日は歩み寄ってやることにした。


 何時ものルーティンのように水浴びして服を着用しサイハイにガーターベルトを付けた。


 だがショーツがない。


 それを確認するたびに、何かぽっかりと心に穴が開いたような、大事な友人を失ったかのような、悲しく虚しい思いが去来する。


 今日も心と股下に虚しい風が吹く。


「おい!クソサポーター錬成の時間だ!早くしろ」


 素早く仮面を付ける。


〈あれ?建物は良いのですか?〉


「ああ💢?建物なんかどうでもいいんだよ!いいから早くショーツを錬成しろっつってんだよ!」


〈ランダム錬成ですよ?〉


「いいから出るまで黙って錬成しろ!」


〈いやー今日の奈留さん。いつになく恐ろしいですねー〉


「早くしろ」


〈声めっさ低!怖!はいはーい。では行きますよ!ランダム10連錬成!開始!〉


 ウルトラスリムが出来た。


 ウルトラスリムが出来た。


 ウルトラスリムが出来た。


 フェイスタオルが出来た。new


 ショートブーツが出来た。new


 眼鏡が出来た。new


 ダブルベッドが出来た。new


 セブンスピ○ーダブルが出来た。new


 トゥルース○ーパーダブルが出来た。new


 クマさんパンツが出来た。new


「……な」


〈おお!まさかの十分の七でオnewがいらっしやるなんて運がよろしいですねー。しかもパンツ来てますよ、パンツ〉


「く、クマさん……だと」


〈良かったですねー。念願の南瓜風パンツですよ!パンツ!〉


「パンツパンツ喧しいわ!変態か!」


〈いえ、念願叶ったのに、奈留さんの反応が余りにも低かったので盛り上げてみたのですが〉


「いや、まあ、嬉しいよ?うん。は、履いちゃうよ?うん」


〈どうぞ遠慮なさらず〉


「あ、ああうん。そうそう履くよ、うん。履く履く」


〈どうぞどうぞ〉


「そう……だよ。これを履いても誰も見ていない、誰も見ていない、誰も見ていない、誰も見ていない、誰も見ていない、誰も見ていない……」


〈奈留さん。怖いですよ。クマさんパンツ広げながら、目のハイライトが消えているのは。その呪文の様な呟き、真面目に呪われそうです〉


「…………」


 無言でクマさんパンツを履いてみる。


 ガーターベルトに引っ掛かった。


〈まあ、そうですね。ガーターベルトは外さないと履けませんね〉


「わ、わかってるての!」


 サイハイソックス側の止め金を外し、改めてクマさんパンツを履いてみる。


「おお」


 嗚呼、この懐かしいお腹まで覆うフィット感。お久しぶりでございます。


〈パンツ履いて恍惚な表情をされるのは、色んな意味で不味いのではないですか?〉


「ちょっと、今幸せ感じてるのだから、少し黙っててくれないかしら」


〈はいはい。わかりました〉


 しばらく恍惚としていた後、おもむろに他の錬成品も眺める。


「ベッド、マット、枕。何だか狙ったかのように寝具がそろったわね」


〈掛布団はありませんがね〉


「まあ、今までだってバスローブを上掛けにしてたものだし、今回はバスタオルもあるから何とかなるわね。寒くならなければだけど……」


〈まあ、そうですね。〉


「他は、ショートブーツ。今までスニーカーみたいのだったから、今着ている服的には、こっちが合うかな?」


〈まあ、そうですね〉


「後は、眼鏡って仮面被っていたら付けられないじゃない。まさかの不用アイテム?」


〈あー。仮面は頭側でも付けられますよ。危険感知も音声ガイダンスできますし。マップは見れませんけど〉


「あ、そうなの?なら、とりあえずは。うんと、よし」


 お祭りのお面を付けている子供のようにサイドに取り付けてみた。


「これで眼鏡付けられるわね。どれどれ、どんな感じかな」


 近くの水晶に映り込んでみる。


「あら!やだ!可ー愛ーいーい!この子、眼鏡も似合うわー」


 思わず、眼福萌えな姿を見て萌え萌えくねくねしてしまう。


〈いえ、貴女ですけどね。映っているの。どれだけ自画自賛のナルシシストですか〉


「違う違う。だって私、元々こんな可愛い子じゃなかった自覚あるし、そのうち元の持ち主に意識に返してあげなきゃだよ。中身こんなのなんて、この子が可哀想だわ」


〈はあ。そうなんですか〉


「そうなのよ!それにこの子にお姉様とか言われて抱きついてもらいたいし!ふんすー」


〈そうですか?私的にはお姉様とか呼ばれるなら中学生位の少女の方がイメージ的にあっているのですが〉


「ロリコンが何か言ってる」


〈いえ、でも貴女の年齢設定18歳ですよ?大学生の年齢ですよ?〉


「いいのよ!可愛いいは正義なの!」


〈はあ。そうですね〉


「残りは、フェイスタオルにそう言えば、この薄いやつ結構出てきたけど私の青の日って何時なんだろ。突然来られても困るし付けときたいけど、このパンツに付けるの何か負けた気がするのよね」


〈はあ。そうなんですか〉


「と言うか付けられるのかしら?このタイプ」


〈はあ。どうなんでかね〉


「何よ。私にとっては切実な問題なんだからね!何か言いたいことでもあるわけ!」


 パンツを脱ぎ、悪戦苦闘して何とか取り付けに成功する。


〈いえ、そろそろ家建てないと本気で不味いかもなぁーと。後、壁の偽装は特に切実〉


「ああ。そうね、今日家出来るかもはっきりしないもんね。はあ、やれやれだわ」


〈1日の錬成回数限られてますし、特殊錬成はその回数メチャクチャ使いますし、錬成回数は毎日24時にリセットされるのですから、毎回チャレンジした方がいいと思いますよ〉


「え!そうなの!え?じゃあここ数日、毎回無駄にしてたの?」


〈まあ、本来はそうなのですが、奈留さんが寝ている間に使いきっているので、ご安心を〉


「いや、全然安心じゃねーわ!何、勝手に人の身体使ってんねん!」


〈はあ。ですが、ガチャ……おほん!ランダム錬成をしているだけですよ?〉


「お前、今ガチャっていったろ」


〈まあ、いいではないですか。実際ガチャみたいなものでしょ?〉


「まあ、そうだけど。で錬成品は何処にあんの?」


〈ああ、ストレージの中ですよ。そこら辺に放置するのもなんでしたし〉


「あ、そうなんだ。どれどれ確認確認っと」


 カツ「あ」


〈眼鏡付けたままでは仮面は被れませんよ?〉


「忘れてたの。たく、小姑かっての」


〈サポーターです〉


「うっさい」


〈そんなに皺を寄せると可愛い顔が台無しですよ〉


「言われなくても、分かってるわよ。ごめんね、まだ名も知らぬお嬢さん。貴女がいつ帰って来てもいいように出来るだけ笑顔でいるね」


〈なんのお芝居ですか?〉


「お芝居じゃないわよ!っといけないいけない笑顔笑顔」


〈怖!てか、もう既にヤバいですね!〉


「ヤバい言うな!」





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