第2話

 とにかく安全と衣食住を確保しなければ。


「とりあえず水はある。ちゃんと飲めるよね、この水」


 掬って舐めてみた。


 ほんのり甘い。


 思わず、がぶ飲みしてしまった。


 すると大分、空腹感がなくなった。


「私、お腹空いてたのね。余りの状況にそれすら気が付かないとか」


 空腹感が満たされると心に余裕が出来てきた。


「着るもの着ないと風邪ひくよね?流石に裸族でいるのは外観も内面もダメージデカ過ぎだし」


 そんな事を呟きつつ、砕けた水晶を見た。


 あれ?何でだろう。何か出来るような気がする。


 水晶を指先で触れてみると水晶が糸の様に伸びた。


 近くの鉱石に触りそこからも糸を紡ぎ、水晶の糸と合わせいく。


 糸はどんどんと伸び、まるで意思があるように形を成していく。


 出来上がったのは蒼生地に白っぽいラインが外枠に入っているシャツだった。


「うえ!シャツになったんですけど、余りの出来事に頭が追い付かない。どうしてこうなった!」


 恐る恐るシャツを拾ってみる。


「あれ?以外と軽い?」


 鉱石と水晶で出来たとは思えないほど軽い。


 しかも肌触りがとても良い。


 とりあえず着てみた。


 うん。裸族からの脱出成功。


 だが、服を着たことで股下がスースーする。


 結果、下着を着ていないのでエロいお姉さんにジョブチェンジしただけだった。


 うん。下着必要。絶対!


 下着も作れないか試してみる。


 結果、同じ柄の上着が出来た。


 リトライしてみる。


 靴下が出来た。


 更にリトライしてみる。


 帽子が出来た。


 更にリトライしてみる。


 長袖の手袋が出来た。


 更にリトライしてみる。


 何故か靴が出来た。


 更にリトライ……。


 仮面が出来た。


「……」


 ぷるぷる💢


 更にリ……。


 シュシュが出来た。


「狙ってんのかい!ど阿呆!せめてスカート位出さんかい!」


 更にリ。


 ようやくスカートが出来た。


 マイクロミニだけども。


 マイクロミニだけども!


「いや、確か言うたよ。せめてスカートとは。けど、ちゃうねん!こんなん屈んだら丸見えやん!せやから下着やねん!服はこの一張羅でもしゃーないけど、下着は予備も欲しいねん!わかるやろ!このままやと色々と危ないお姉さんになんねん!ほんま頼むわー」


 再度トライ。


 吸収性抜群のウルトラスリムなあいつが出来た。


「なんでやねん!いや!必要やけども!そうやない!そうやないやろ!つーか、なんでやねん!大事な事だから敢えて二回言わせてもろーたわ!だいたい、それだけじゃ使えへんやん!相方が欲しいねん!相方が!」


 バンバンと地面を叩きながら叫んでしまった。


 再びトライ。


 マントが出来た。


「いや!隠せるけど!これちゃうって何べん言わせんの?何やこれ?ガチャかなんかなん?下着ってそんな確率低いん?何?SSRとかURなん?物欲センサーかなんか働いてんの?」


 どうしよう涙が止まらないよ。


 マジ、トライしてもエラーしか出ない感じになってるやん!


 はあ。


 もう、疲れたよ。


 私、頑張ったよね。もうゴールしてもいいかな?最後に海、一緒に見たかったな。観鈴ちん今そっちに逝くからね。


「て!逝かんわ!でももう寝よ。ガチャなら時間帯替われば当たり引く可能性あるだろうし、探すのをやめた時、見つかる事は良くある話ねって、陽水さんも言ってた。うんうん。あれ?斉○由貴だっけ?って斉藤○貴って誰だっけ?まあ、いいや。寝よ」


 とりあえずお休みなさい。


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