第3話 少女の願い
少女は噂の代行屋に、ついに出会いました。
「お茶にしますか?僕はコーヒーにしますけど。」
店主はそう言うと椅子を用意した。
「お茶でお願いします。」
少女は椅子に深く腰掛けた。店主は店の奥へと入り、少女は部屋に1人残された。
―――――なんだか怖そうと思ったけど、優しかったり。不気味な感じがするわ。この人は何かしら、、、人では無さそうだけど。
少女は不安と好奇心に揺れています。しばらくすると店主が戻ってきました。
「はい、どうぞ。お熱いのでお気をつけて。緊張せず、ゆっくりしてください。リラックスしてお話をしましょう。」
「そう言われても…貴方は人間ですか?正体を教えてもらえませんか?病院に突然現れた此処も…わからない事だらけです」
「なるほど…。ではご説明しましょう。と言っても、信じてもらえるかわかりませんが。」
店主は語り出した。
「先ず始めに、そちらの確認をさせて頂きたいのです。貴女の自己紹介がまだでしたね。」
「あっ、そうでしたね。ごめんなさい。私は……」
話そうとしたが、言葉が出てこない。少女は少し混乱している。
「あ、あの。私…少し混乱してるみたいで…私は10歳で…此処はクラスメイトが噂をしていて…」
「ゆっくりで構いません。此処へいらしたお客様はいつも記憶が曖昧だと言います。」
「ごめんなさい。思い出せるのはクラスメイトの噂を聞いていて、私にも代行して欲しい事があって…それで……。はじめはただの噂と思っていました。気にしていなかったんです。でも、信じるしかなかった。お願いします、話を詳しく聞かせてください。」
少女は頭を深く下げました。
「顔をあげてください。僕は神ではありません。ただの代行屋の店主です。貴方のお話を聞き、依頼を受けるかどうか決めさせていただきます。」
「そんな!依頼を受けるか決めるって…聞いていただけないこともあるんですか?」
「それはお互いの相違があった場合です。その為にも話し合いをする必要があるのです。」
彼女は静かに頷き、話に耳を傾けました。
「では説明をさせて頂きます。先ず、此処から出ることは可能です。依頼を受けなかった場合、お引き取り頂くのです。依頼を受けないのですから、当然です。」
「噂が流れたのは、依頼を受けてもらえなかった人達が流したのですね?」
「ええ。簡単に言えばそうですね。辞退した方もいますよ。やはり、かえりたいと。特に最近は、噂を確かめたかっただけと言って満足して帰る方が多いです。」
「たしかに多そうですね。」
少女はクラスメイトも確かめようとしていたな、とニヤリ。
「困るんですよ。此処へは代行を願った人だけのはずなんですがね」
「たしかに…」
「次ですが…何故帰れないのか、という話です。」
少女はゴクリと唾を飲み込みました。
「ここは、なんでも代行屋。なんでもと呼ばれるのは、ある程度は代行可能だからです。ですが、代行屋ですからね…お代を頂く訳です。店ですから。」
少女は驚き声を上げました
「お代!?ですか!?」
「はい。お店ですからね。タダという訳にも」
「いくらでしょうか?私はお財布を持っていません!一度外に出て、また此方へ来ることはできますか?!」
少女は焦りを隠しません。
「いいえ。その必要はありません。」
店主は言うのです。
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