第101話 冒険者の弟、少女と出会う 〜side ジャック〜
「おはよう」
「「「おはよう、ジャック」」」
「今日さー、冒険者ギルド行ってくるから」
「「「えっ」」」
何だよみんなして驚いちゃって……
「もう元気だし、そろそろ復帰しようかと思って」
「いや、元気なら俺の屋台手伝ってくれてもいいんだぞ?」
「そうだね、わたしもまだ少し心配だよ」
「とーさん、かーさん……」
「別に今日からすぐ復帰しようとは思ってないよ?教会とギルドに挨拶だけでもしとこうかなって……結構迷惑かけたんでしょ」
「「「たしかに……」」」
みんな考え込んじゃったよ……そういえば元気になったとはいえ1人ではまだ出歩いてないな……
「じゃあ、俺が一緒に行くよ」
「えー……」
「それはいいな」
「そうね」
「はぁ……わかったよ」
朝ごはんを食べて出かける準備……
「行くか」
「うん。じゃ、行ってきまーす」
「「行ってらっしゃい」」
まずは教会に行って司祭様たちにお礼を言い、女神様の像の前で祈っておこう。女神様にもたくさん助けていただいたってとーさんやかーさんも言ってたし……
メルディーナ様、この前はありがとうございました。すっかり元気になりました。降臨された時にまたお礼を言いにきます。
なぜか、気にしなくていーわよーって聞こえた気がして周囲を見回したけど……誰もいない。兄ちゃんは司祭様と話し込んでいるし気のせいかな。
「お、終わったか?」
「うん」
「では、失礼します」
「お気をつけて……」
冒険者ギルドに行くといろいろな知り合いが声をかけてくれる。見習いだけど、仲間扱いをしてくれて優しい人たちだ。どうやら心配かけてしまったみたい。ギルドの職員さんたちにもお礼を言っておく。みんな笑顔で元気になったことを喜んでくれて嬉しかった。
中には鑑定屋さんが復帰祝いだといってステータスを見てくれた。うん、ありがたい。しばらく囲まれていたら、カーラ姉さんが奥から出てきた。誰か探しているみたいでキョロキョロしてる。うん、おじさん達そんなデレっとした顔して……ルカ兄ちゃんが怒るぞ?
「あっ、ちょうどよかった!エナが来てるから会ってくかと思って待ってもらってるんだけど……どうする?」
「おー、そうだな。元気になったところ見せてやれよ」
「うん」
「あ、一緒にリディと従魔もいるから……気をつけてね」
「りょーかい」
どうやらカーラ姉さんは俺たちを探してたみたい。
今度エナさんと一緒にいたあの子に話しかけてみよう。
そう思っていたけど、こんなに早く機会が来るとは思ってなかった……あー、ちょっと緊張してきたっ。
エナさん……命の恩人だもんな。ちゃんとお礼言わないと。
カーラ姉さんについて部屋に入るとそこには遠目からしか見たことのない女の子がいた。従魔ってのはその白い鳥のことかな?
「エナ、リディおまたせー。受付に行ったらみんなに捕まってたんだよ」
「みんな心配してくれてたからな。仕方ないさ」
そうだ、まずはちゃんとお礼。
「エナさん、この間はありがとうございました」
「いーえ、元気になったみたいで安心したよ」
エナさんは相変わらず綺麗な人だ……街を歩くだけで噂になってるんだけど、本人は知ってるのかな?最近は公認さんて密かに呼ばれてるらしい。
そして、エナさんのそばにはフードをかぶった女の子がいる。
話しかけるのにかなり勇気が必要だけど、あの経験で死んでしまったら元も子もないって気づいたんだ。だから……
「あの、俺ジャックって言うんだ。よろしくな」
話しかけられたことにびっくりしたみたいでエナさんの後ろに隠れてしまったけどエナさんに促されて
「……私はリディア、こっちはブラン……よろしく?」
「おぉ、リディに初めての同世代の人間のお友達がっ」
……エナさん喋ったら中身のギャップがすごいんだね。びっくりした。それにさ、ブラン?って紹介された鳥めっちゃ睨んできて怖いんだけど。
でも少しずつ仲良くなれたらいいな……
「リディアは今日は何してたんだ?」
「ん……見習い解除?」
「えっ、リディア13歳なの!?……俺と同じくらいかと思ってた……すごいなー!俺も早く見習い卒業したいな」
「ん、ジャックいくつ?」
「俺?まだ11歳なんだー……あと2年もあるんだぜ……それに今はみんなが心配してひとりで出歩かせてくれないしなぁ」
「ん、エナに聞いた……もう元気?」
「うん。エナさんと兄ちゃんたちのおかげで元気になったんだ」
俺がたくさん話しても嫌な顔せず聞いてくれて嬉しくなってついつい話しすぎた。
「そういえばさっき鑑定屋さんが復帰祝いだといってステータスみてくれてさ……確実じゃないらしいんだけど、多分状態異常耐性がついてるんだって!冒険者としてはいいことだよな?」
毒とか麻痺とか……この間みたいなことの耐性だもんな?確実じゃないってのは鑑定屋さんのレベルが高くないかららしい。今日はいないマルガスさんなら確実にわかるみたい……マルガスさんに頼めるほどお金はないんだけどなー。
嬉しくて早速自慢しちまった……そう伝えたらリディアがほんの少しびっくりした後、雰囲気が柔らかくなった気がする。
でも、同時に従魔のブランの殺気が増した気もする……大丈夫だよな?俺、従魔に殺されたりしないよな?
「ん、すごいね」
「ありがとう……」
リディアと話しているとあっという間に時間が過ぎていた。3人に生暖かい目で見られていたのに気付き、居心地が悪くなった。
「じゃあ、またな!」
「ん、またね」
帰り道何度も後ろを振り返ったのは仕方ないと思う……兄ちゃんがあの
俺だって
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