第八十七札 ふぃあすふぁいと!! =激闘=

まえがき

鵺との戦闘が続く緊迫した状況。

トドメを刺すのは果たして……!?







「グォォォォオオオオ!!!!」


 かばねの呪術で動きを封じられていたぬえが憤怒の雄叫びを上げてから突進してくる。

 それでも咲紀さきこずえさんの攻撃のお陰で動きが最初に遭遇した時より落ちているように見えた。


「咲紀、すまぬがっっ!!」

「げ、玄武げんぶっ!!」


 咲紀が再び玄武障壁を展開し、鵺の突進に備える。


「目に当てられればっ……!」


 美夜みやさんが袖箭ちゅうせんを構え、鵺の目めがけて射出した。

 お、俺もボウガンで!!

 そう思って美夜さんに少し遅れて鵺の目に向かって矢を放った。

 が。


「グォオオオ!!!!」


 迫って来る矢を視認したのか本能で察したのか分からないが首を大きく左右に振り、二本の矢を払い落とした。

 そして口を大きく開けて何度目かになる炎を勢いよく吐き出した。


 ゴォォォォ!!!!


 炎が俺達を包むが、玄武のお陰で熱が遮られて火傷には至らずに終わる。

 炎が終わったタイミングで鵺が玄武の目の前まで迫り、両の腕を何度も叩きつけて障壁を壊そうと試み始める。

 と、静流しずるが鵺の側面へと飛び出した。


「静流っっ!!」

「屍さんは正面から攻撃をお願いします!」

「くっ……心得た!」


 静流の心配をした屍だったが逆に指示を出され、それが最善と判断して仕方なく頷く。

 お、俺だって!!


「うおおおおおおっ!!」


 静流とは反対側、鵺の左手の方へ飛び出した。


「なっ……! よせ! 戻るのじゃ!!」

「悪い屍! 無理はしないようにする!!」

「馬鹿! お主が飛び出す事自体無理なのじゃ!!」

紫牙崎しがさきさん、術を合わせて!!」

「す、すまぬ!!」


 俺のせいで屍が集中を乱して梢さんに怒られている。

 ほんとゴメン。

 鵺は虎の腕を何度も振り下ろし、それを咲紀が歯を食いしばって耐えている。

 ここで静流の方へ尾の蛇が向かえば俺は鵺の傷口に模造刀を差し込めば少しは状況が良くなるはず。

 そう思っていたんだが。


「シャアアアアア!!!!」

「あれっ、蛇っ、あれっ、俺!?」


 運の悪い事に尾蛇が鎌首をもたげて俺を睨み付けていた。


「ちょっと予想が……な」


 都合のいい予想に反して大蛇が俺を丸呑みせんと大口を開けて迫って来たので、模造刀を構えつつも回避の体勢を取る。


「シャアアアア!!」

「うーーーわぁっっっとぉぉ!!」


 動体視力がやや向上していたので俺は真横に飛んで大蛇の突進を躱す。


 ドウッ!!!!


「ぐあぁっっ!!!!」


 はずだったのだが、体をしならせてぶつけて来たんだろう。

 その勢いで俺の身体は軽々と弾き飛ばされる。


 ズザザザァァァ!!!!


「ぐうううぁぁっっ!!!!」


 すっげぇっ、地面っ、転が……ってるっっ!!

 何度も打ち付けられて全身に痛みが走った。

 だが止まってなんかいられない!!


「んなろぉぉぉぉ!!」


 痛みを堪えて顔を上げると、目の前に蛇の皮が……あ、これ胴体っ――


 バシィッッ!!!!


 二度目の蛇の体当たりで俺の身体がふわりと宙に舞った。

 空が見えて――木が見えた。


 ゴッッ!!!!


 頭に激痛が走って、俺の意識はそこで途絶えてしまった。







 あとがき

 ここまでお読み下さり本当にありがとうございました。

 今日は予想不可能な事態が色々あり、途中までしか……。

 楽しみにして下さった方、本当にごめんなさい!

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