第六十七札 ぷろぽーさる!! =提案=
まえがき
寿司タイム!
寿司タイム!
皆さんはどのネタが好きですか?
セビィはネギトロとビントロが好きです。
あ、トロも鮪も好きです。
※本編とは全く関係ありません。
「以上が今回の
「なるほどねぇ……」
握りたての寿司に
脂の乗った中トロのこってり感と清涼感溢れる
「いやぁ、有難うね。お陰で
「いえいえ」
結局俺は自分の事は極力話さないまま
「しかし野島
「あっ、それでな、葵のオッチャン。実はお願いがあるんやけど……」
千夏さんの事を悲しんでしょんぼりと肩をすぼめる葵さんを見て、今が好機と言わんばかりに
「う、うん? 何だい?」
「実は
「会議で? そりゃあもちろん報告するつもりでいたというか報告をしないといけないんだけど……、改まってどうしたんだい?」
不思議そうに尋ねて来る葵さんに、俺と椎佳と咲紀は互いの顔を見合わせた。
誰が話すか?
意図を話してもいいのか?
少しの間の後、椎佳と咲紀が俺をジッと凝視する。
……結局俺な訳ね。
「実は咲紀の両親は事故死ではなく、何者かが意図的に起こしたものだと思っています」
「……葉ノ上さんか?」
先ほどまでの
何だろう……威圧感?
一瞬で空気が重くなったのを感じ、俺の背筋がピンと伸びる。
「い、いえ。……これは僕や咲紀達で話し合って出した結論です……」
「ふむ。僕を介して犯人に情報が入るようにして、行動を起こすように仕向けるっていう
「そ、そうですね……」
「その事を葉ノ上さんは知っていての提案なのかな?」
「う、ううん……。でも、母さんには賛同を得とるから後は父さんにそれを伝えるだけ……」
「ふうむ……」
葵さんはポリポリと頭を掻いてから腕を組んで渋い顔をする。
さっきまでの威圧感が嘘の様に消え、いつもの……と言っていいのかは分からないが目の前の葵さんは会ったときから
「僕は本音を言うとその案には反対なんだけどね……。でも他の管轄長に報告しないと余計にややこしくなるというか、情報を開示しないといけない事案なんだよね……」
「オッチャンには迷惑をかけへんようにするから!」
「勘違いしないでよ。僕に迷惑がかかるから反対してるんじゃないんだ。まだ将来のある若者達が自ら命を奪われるかもしれない危険に飛び込むって言っている事に反対しているんだよ」
「でも咲紀はそれでも――」
「ストップ! まぁ、その話は一旦おいておこう。今日は二人がどんな子達か顔を見て話をしてみたかったというのが僕の目的だったし。報告会で話す内容や犯人への対策云々は僕と葉ノ上さんでしっかりと話し合って然るべき処置を取るよ」
「葵さん、どうかよろしくお願い致します」
「うん。だけど僕や葉ノ上さんが色々策を講じたとしても麒麟や白虎、朱雀の管轄長達から訪問があったり招かれたりした場合は手の施しようがないのが難点だねぇ……」
「もし呼ばれるなら……咲紀は行きますっ!」
「うーん、その際は必ず玄武の野島さんと僕に相談と報告をするんだよ? 僕はまだまだだけど、野島さんは管轄長をして長いから色々知っていると思うからね」
「はいっ! 必ず頼らせて頂きます……!」
「うん。そうしてね」
咲紀の返事を聞いた葵さんが満足そうに頷いて、ゆっくりと席を立った。
「長々と引き留めてしまってごめんね。僕はこれから出なくちゃいけないから、ゆっくりしていくといいよ」
「こちらこそ、お寿司ご馳走様でした」
「ご馳走様でした!」
「おっちゃん、ごっそさん!」
「それにしても……」
葵さんが口の端を上げてフフンと笑う。
「今回はこれで葉ノ上さんに貸し一つ、かな? 次の管轄長試合が楽しみだよ」
「それはどうなんやろ……? 父さん、地味に借りを返して無理やり貸しを作りそうな気がするんやけど……」
「そ、そうならない事を願うばかりだよ……」
椎佳の返しに、あり得ると言う表情を浮かべて不安そうに呟いてから葵さんは退室して行った。
「……さて、俺達もこれで失礼するか」
「せやな」
そんな会話をしていた時、タイミング良くお姉さんが食器を下げに来たのでお寿司のお礼と帰る旨を伝え、俺達も青龍管轄所を後にした。
・ ・ ・ ・ ・
「ふわぁ……」
蝉達がミンミンと大合唱をしている中、縁側で
「平和だのー……」
流れる汗を拭いもせず遠くの青空を眺める漣。
「あら、水分はしっかりと取って下さいよ? 最近は中高年の熱中症が多いみたいですから」
「はっはっは! 彩乃、儂がそのようにヤワに見えるか? 暑さなどにやられはせんよ!」
「あら、暑さに負けないとおっしゃるのでしたら、今からあつぅーいお茶をたくさんお淹れしますからしっかり全部飲んで下さいね?」
ニコリと笑ってとんでもない事を口走る彩乃の雰囲気に漣が少したじろぐ。
「あ、彩乃、それとこれとは話が違わんか……?」
「武術の強さと病状に対する耐性を混同したのは貴方ですよ?」
「…………冷たい麦茶が飲みたいなぁ」
「はいっ♪ それではただいまお淹れしますね」
「あ、ああ……」
武でその名を轟かせた葉ノ上漣も、妻である彩乃には頭が上がらないのであった。
ピリリリ……ピリリリ……
「んお? ……葵さんからか。……もしもし」
(やぁ、葉ノ上さん。今大丈夫かい?)
「ああ、空を見ている以外は彩乃に怒られているだけだから大丈夫だよ」
(相変わらず仲が良い事だね。今日、野島咲紀君と逢沢利剣君と会ったよ)
「ほぉ。どうだった?」
(
「そ、そうか……」
利剣君は本当に法力がないからなぁ……と思いつつも漣は利剣の名誉の為にその事には触れないでおいた。
(それはそうと、あの子達は独自に犯人を追うつもりのようだけど……葉ノ上さんは知っているのかい?)
「……それについてはさっき彩乃から聞いたんだが……」
(はっきりいって僕は反対だよ。それはあの子達にも伝えたんだけど危険過ぎる)
「それについては儂も懸念してはいるが……。頭ごなしに反対をするだけでは咲紀君が独断で動いたり等して危険な目にあいかねない」
(そうなんだよね……。何かいい手はないかな?)
「ふぅむ……そうだな……」
何かいい案が無いかと考えを巡らせている時、彩乃が麦茶の入ったグラスを傍にコトリと置いた。
「彩乃、利剣君達にそれとなく無謀な真似をやめさせる方法等はないかね?」
突如話を振られた彩乃だったが、葵との会話の内容が大体読めていたので特に狼狽する様子もなく人差し指をちょこんと
三人の子を持つ母とは到底思えない若々しい容姿も相まってその仕草もどこか
「あ、こういうのはどうでしょう?」
「ん?」
彩乃の口から出た「提案」は、漣をニヤリと笑わせて葵を驚かせるような意外性のある提案だった。
あとがき
ここまでお読み下さり、ありがとうございました。
果たして彩乃さんは何を提案したのか?
次回にご期待下さい。
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