第11話 私の知っていること。
ゲーム内でのエドワード王子は、大層男前な性格の持ち主であった。
さっぱりとした性格の彼にとって、王族という血筋や権力、名誉などは大した意味を持たなかった。
誰にでも分け隔てなく接し、例えどんな身分のものであろうとも、良いことをしたらそれを認め、悪いことをしたらそれを罰する。
そんな正義感に満ち溢れた少年なのだ。
城下町にもよく顔を出すエドワード王子は、民からも慕われ愛されていた。
また、誰にも物怖じしない性格は、気難しい老齢の貴族たちからも可愛がられるという、まさに世界に愛されたヒロインなのである。
そして、その内面の魅力とは裏腹に、外見はどことなく子犬を彷彿させるような可愛らしい容姿をしていた。
長いまつ毛に彩られた大きな瞳や興奮するとすぐに蒸気する柔らかな頬は、見る者を魅了した。
結局のところ、内面と外見のそのアンバランスさこそが、エドワード王子最大の魅力なのであった。
……と、こんな風に言ってみれば私がゲームのことをよく知っているみたいに思えるが。
実際、私がこのゲームをプレイしたことはない。
もっと言うなら、私はフジョシではなかった。
多少、いやかなり男の子同士の友情や青春にたぎる何かを感じていたとしても、びーのえるという底なし沼などに足を踏み入れてはいなかった。
ただ一方的に、フジョシなる友人からの勧誘という名の道連れをくらっていただけなのである。
故に、私のゲーム知識はここまでである。
エドワード王子の性格とパッケージに描かれたキャラクターたちのビジュアルしか知らない私は、攻略対象者の性格はもちろん、シナリオすら分からない。
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