第10話 ヒロインの名は、エドワード王子。

真っ赤に燃えるような髪をしたエドワード王子の前に、立った私たちに彼らの視線が突き刺さる。


その子どもらしい純粋無垢な瞳たちに、私は何故か罪悪感を覚える。

どうしてか、イケナイことをしているような気分になってしまうのだ。


きっと、彼らが美しすぎることに原因がある。


ボビーお兄様が緊張した面持ちで口を開いた。


「この度は、エドワード王子の誕生祭にお招きいただき、誠にありがとうございます。私、ブラッドレイ公爵家の長男ボビーと申します」


それから、騎士の礼を一つ。


「そして、こちらが妹のセシリアにございます」


ここで私がまだ覚えたてほやほやの拙い淑女の礼を一つ。

笑顔を見せないのは、緊張して顔が強ばっているからだということにしてもらおう。


決して、めんどくさいとかそういうことではない。


私たちの挨拶に、エドワード王子はにかっと人好きのする笑顔を見せて、こう答えた。


「硬っ苦しいのとか俺嫌いだから、普段通りにしてよ。ボビーとセシリアだっけ? 俺のこともエドワードとか呼び捨てでいいからさ」


エドワードの言葉にボビーお兄様があたふたと慌てている。


「い、いえ! そんな滅相もございません」


えー、なんでだよーとほっぺたを膨らませてぶぅたれるエドワード王子に、私は酷く安心感を覚えるのであった。


あぁ、フジョシなる友人から聞いたゲームのキャラクターそのままだ、と。

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