第5話 この世界について。

まず初めに、ベンが教えてくれたのは、貴族の在り方だった。


貴族の子息や令嬢たちは、五歳から十二歳の間、それぞれの家で家庭教師や教育係からこの世界の常識や貴族としての立ち振る舞いなどを学ぶ。


その後、子息は十三歳から十八歳の間、城にある貴族専門の学園に通うことになる。

一方、令嬢が学園に通うのは十三歳から十六歳の間であり、卒業後は社交界デビューを果たし、どこぞの誰かさんと結婚するのが当たり前となっている模様。


学園は、貴族専門となってはいるものの、秀でた平民の子どもがいれば卒業後、王城で働くことを前提に学園へと通うことが許される。

また貴族の令嬢であっても、本人が望み、かつ家族が同意し、優秀な何かしらの特技を持っていれば子息同様、十八歳まで学園に留まることが出来る。


なお、話を聞いている限り、残念ながらこの世界には魔法というものはないらしい。

ただ、前の世界における不思議な生き物にあたる種族は存在しているようで。


ケモミミの獣人族や、麗しき森のエルフ族、さらには屈強なドワーフ族までこの世界にはいるらしい。


ここに、ヒト族を含めた四種族がこのラングアニスの大陸を神から分け与えられているとか。


鉱山の守り手であり、身体の頑丈なドワーフ族には、豊富な鉱脈のある北の大地を。

力も強く、戦闘に長けた獣人族には、外敵から大陸を守れる南の大地を。

森に愛されし種族、エルフ族には、土壌の貧しい西の大地を。


そして、どの種族よりも一番愚かで欲深く、また貧弱な身体を持つヒト族には、実り豊かな東の大地を。


……神様ってのも、なかなかに大変だ。

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