第2話バグ注意!お箸アプリ。

アクマでもマジ!シャン!物語2


これは人の運命すら左右させる一人の魔法使いの恋の物語……


❇︎❇︎❇︎


第十四章 お箸の持ち方。


それは夏が少し見えた7月上旬の日だった。

アクマでもマジ!シャン!が毎日職場に通勤してる時、不意にスマホに着信がなった。スマホを見やると、祈愛だった。

渋々応答する。

「もしもし、祈愛です。」

「もしもしアクマでもマジ!シャン!」

「最近失恋しませんでしたか?」

この女は耳が早い、まああの会社の人間ってか、魔法業界はどこも耳が早い。というか耳が痛いフレーズである。失恋ね。

「耳が痛いな、ああ、そうかもな。んで何の用だ?」

「アナタに祈愛の箱舟!全ての魔法を使えると豪語しているアナタには失礼かもしれないですが、新しい魔法道具をプレゼントします。いかがです?」

「いや、要らない。拒否。ゴミ。」

この女の会社は魔法道具を売り付けたりする悪徳業者だ。この手には乗らない。

「そうですか、残念です。では捨てておきますね。ではまた。」

「……」

いやにあっさり引き下がられたが、まあいいか。ゴミなんて要らないし。どうせ捨てるだけだ。

スマホの画面を閉じてジーンズのポケットに仕舞おうとしたら、インストールした覚えの無いアプリが起動した。


ーお箸アプリー


なんぞ?謎のアプリが起動して、画面にはログイン中の文字と2D絵の女キャラが表示されている。

お箸「おは」「し!」

謎のキャラクターがチャットしだした。これってあれだろ?あの会社だろ?

画面メニューを見るとサンタクロースと出てる。祈愛の会社だ。してやられた。一旦アプリを閉じ……れないぞこれ?

どうしようかね?電源切ってみるか?案の定電源も切れないし、更にタチ悪い事に俺のスマホは魔法で永久的にバッテリーが持つ。これに魔法掛けてもいいけど、多分魔法にプロテクトもかかってるアプリ……ウィルスだろう。

仕方無い。今回は使ってやるか、どんなアプリなんだろうか?

名無し「こんにちは」「これなんのアプリ?」

お箸「おはよう!これはチャットアプリだよ!アナタのお名前教えてね?私はお箸」

ゲスト「アクマ だよ。」

お箸「アクマさんね。お箸をお買い上げありがとうございます(土下座」

アクマ「え?お買い上げ!?」

お箸「チャットご利用時間1時間につき1000円になります」

アクマ「これきついな、1時間だけ利用するから解除してくれる?」

お箸「かしこまりました。ご主人様(土下座」

これは一体何の冗談だろうって思ったが、サンタクロースは魔法業界では大手で、流石の俺も戦争するのは面倒くさい相手だから、千円で済むなら安いものだ。ところで気になって仕方無いのが……

アクマ「お箸は祈愛?」

お箸「いいえ、お箸はチャットAIみたいなものです」

アクマ「マジ?」

お箸「マジです」

アクマ「じゃあ祈愛の事教えて」

お箸「企業秘密です。申し訳ございません(土下座」

マジもんなんかコレ?怪しいが、人件費削減とも言えるし、1時間千円ならバイトも有り得そうなライン。さてどうしたものか?

アクマ「お箸の事祈愛って呼んでいい?」

お箸「お箸はお箸です」

アクマ「そっか、じゃあ時間短縮で安くは出来ない?早目に切り上げたい」

お箸「お箸をお買い上げ頂いたので、1時間ご利用ください。短縮は不可能です」

アクマ「短縮のみは可能?」

お箸「無理です」

ん?なんか融通が効かない。

アクマ「それは理由あるのか?」

お箸「正式な解法を解かないとご利用のスマホが爆発します。電源を切ったり、電波の届かない場所に行ったらその場で爆発します。お気をつけください」

は?はあ?はあああ?

アクマ「おい、このスマホ破壊したら爆発しないか?」

お箸「ご想像にお任せします」


聞くなり俺はスマホを空中真上に投げて、衝撃波の呪文を唱えた!

「本当に最低……なう!」

スマホは塵になった。爆発はしなかった。

さて、どうすっかな?スマホに撮り貯めたエロ画像とかパーになったが、爆発するスマホなら要らない。ハッキング済みだからどうせ買い替えだし、破壊して正解。

「スマホ買い替えに行くか……」


❇︎❇︎❇︎


こうしてスマホをケータイショップに買い替えに行った直後に着信があった。

「祈愛の箱舟!新作アプリのお箸アプリは楽しめましたか?」

「スマホぶっ壊れたから弁償しろ!」

「あー、ご利用料金は回収しに行きますね、アクマさん。」

「……お前さんさ?テレパシー強攻撃で脳味噌焼いていい?」

「では後程お会いしましょう。」

「……」

なんも話聞かないコイツ。やべえ、俺が振り回される奴ってリアルだとコイツくらいなんだよなーどうなるんかな?


第十五章 リア充爆ぜろ。


しょうもない事に散財してしまいイラついてる俺の前方にリアル充実系っぽい二人?が現れた。正確には人間二人と幽霊一人だ。なんだろ?変な三角関係だな?様子を遠くから見ると……どうやら少年と幽霊はテレパシーで会話してる様で、少女と幽霊はテレパシー出来ないみたいだ。

「アスはちょっと食い過ぎだよ太るよ?」

「いーのわたしは運動してるから!」

ここまでは普通なんよ?

(キョウちゃんの、う・わ・き・者!怒るよー?)

これなんてえろげ?

(うー?変なおじさんがいる!!)

いやいや、おじさんはね?童貞魔法使いなんだよ?

(うん?魔法使い?魔法使えてるからそうだねー)

幽霊と会話しながら、人間二人の方のキョウちゃんと思わしき男子の方は困惑してる。

さっきからスマホを弄りながらアスと思わしき女子とながらしながら会話してる。

「アスは沢山食べたら幸せ?」

「え、う、うん。」

どうやらアスはキョウが好きで、恐らくキョウは幽霊ちゃんが好きなんだろうな。

(そうだよー?おじさんは見る目あるね、それと、わたしは幽霊ちゃんじゃなくてレンちゃんだよー)

レンと名乗った幽霊は、キョウの顔辺りに顔を近づけたり離れたりしてる。

(キョウちゃんが浮気しない様に定期的に良い事してあげるからね?浮気しちゃダメだからねー?)

なんかタイミング狙ってる。相槌合わせる様に待ち構えてたみたいというか、多分いつもなんだろなー

「う、うん、そうだよね!美味しいモノ食べたら幸せだよね!」

「そうよね!わたし新しいクレープ屋さんに行きたいんだけど付き合って?」

アスの方も負けてない、付き合ってとか強気に返した。上手いカウンターだ。美味しいモノ食べたら幸せと言った分引っ込みが付かなくなってるだろうし、食べに行くと今度はレンの気分を損ねてしまうキョウがちと可哀想に見えた。

(キョウちゃんお家帰ろう?)

「アスごめんスマホの充電切れそうだから家帰るわ。」

「えー、またなの?充電器かバッテリー持ち歩いてよ?」

「ごめん!」

(キョウちゃん良い子!)

これはアスの方は不満溜まるだろなー


公園に向かったキョウとレンと帰り道が同じな俺。なんか、ベンチに二人座ってイチャイチャしだした。見ててムカついたので、攻撃呪文を唱える火炎系最強呪文……

「リア充爆ぜろ!」

俺を中心に半径12メートルの球体状のエリアの俺以外の生物の体内の酸素が一瞬で燃え尽きた。キョウは一瞬で肺の酸素が燃え尽き即死した。レンは幽霊なので体内の酸素が燃え尽きる事は無く生きて?はいるものの、目の前で恋人が灰になって泣き崩れてる。

「うわぁーん!キョウちゃーん!」

鋭い眼光でこちらを睨め付けるレン。


これはバトルになるかと思ったが、キョウが死んだ直後に幽霊になり、レンは大喜びしだして、俺はこれ良いんかねー?って思いながら踵を返した。

(待っておじさん。魔法使いなら生き返らせる事も出来るよね?)

「まあ、うん。あー、しゃーないな。」

(ありがとう!じゃあついでに私も蘇えらせて!)

「蘇生呪文には高価な魔法道具がいる。ちょっと今金欠でな、お金持ってないだろお前ら?」

(レンちゃんお金無くて三途の川も渡れなかった!)

(あの俺が手持ちのカメラ売り捌けば結構な額はありますってか、あなたのせいだからここは蘇らすのが筋じゃないか?)

「いぇすだね。ちょっとコンビニに売ってあるから買ってくるわ。」


❇︎❇︎❇︎


俺は幽霊達を連れてコンビニに向かった。するとばったりユルシちゃんに出会った。あ、母親も一緒だ。ユルシちゃんが駆け寄って来た。

「おじさん……チョコ食べなかったの?」

「食べたよ、美味しかったよ……」

ユルシちゃんが、泣き出した。俺は何も出来ないまま呆然としてる。

母親がやってきて、「またアナタか。しつこい!」といい、「申し訳無い。」と項垂れる俺。ユルシちゃんが泣き止まないのを見兼ねてコンビニの店員がこっちに来た。「何かあったん?」店員なのにタメ口で話す変な女子高生な見た目の女子が来た。このままでは収集が付かないので、ユルシちゃんの母親に訳を話してみる事にした。

「実は13個のチョコを貰ったのだけど、それがユルシちゃんが泣いてる理由の一つになってて……」

「はあ?意味分からないって訳じゃ無くて……わたしが教えた事だからチョコ13個。ユルシちゃんにはもう近づかないでくださいね!」

「それは幼い子供には余りにも残酷だ。アンタそれでも母親か?」

「はあ?幼い子供に対して、おっさんがデレデレしてるんじゃねーよ!」

そこにコンビニ店員が割って入る。

「なんか、知らんが女の子泣いてるのは見過ごせない。俺が泣き止ませてやんよ?」

女子高生風なのに一人称が俺だ。ゴッ殿と名乗って、仲裁役を買ってでてきた。

事情をひとしきり聞いたゴッ殿は、「ふむふむ、ロリコンはあかんよ?おっさん!」

喧嘩を売って来たみたい。なんでも、「俺が勝ったら手を引く事。俺が負けたら俺は許す。」

俺に損しか無い条件だった。しかも火炎系最強呪文を使った後だからMPが残り少ない。ゴッ殿とかいう女子高生は何か自信有り気だし、見た感じ強そうに見える。

「俺は喧嘩するところをユルシちゃんに見せたく無い。」

「チキンなロリコン野郎は喧嘩出来ないん?」

そこにユルシちゃんが一言。

「おじちゃんは勝ってカッコいいところ見せて!」


やべぇ、これ逃げられないぞ?

(わたし的にはおじさんの圧勝だと思うけどー?)

(レンちゃんこいつ、ゴッ殿だ。この街を仕切ってる札付きの不良だよ。ゴッ殿が勝つと思う。)

(キョウちゃん、この人強いの?普通の人間なら魔法使いに勝てないと思うよ?)

(ゴッ殿には切札の鎧がある。あの鎧今着てないけど。)

幽霊が話してる間にコンビニの裏に来た俺とゴッ殿。ユルシちゃんと母親は危ないからコンビニの中のままだ。


決闘が始まる前に、ゴッ殿は野良猫に餌を与えている。野良猫が餌を食べ終わったら決闘開始だ。

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