第24話―セカンドポイント3―

「あぁー、ひどい目にあった」


一年の教室のかばんを取って廊下で隣に歩く政治が、自分の怪我をした頬をさすりながら呟く。


「保健室で治療したとはいえ

少し痛々しいなぁ」


「はっは、それ虎繁が言うのかよ」


そう指摘されたが痛みや怪我は絶えないため慣れている。それで自分の怪我は軽視しているかと、少し考えらされる。政治とは別の左隣からため息が聴こえた。


「本当にそうです。わざわざ怪我を負うようなことしなくても

いいのに」


今出川も僕の行動には不満と非難を向けてくる。


「後ろ向きに検討をする」


「反省してねぇーー」


「怪我をしないようにしてください」


2人から冗談抜きで注意された事に納得出来ない気持ちになる。

何故なら話の腰を折ることに生き甲斐を覚えるような奴らだからだ。


「ねぇ、仁科くん。気になったのだけど目立つ行動しているのに

噂とか無いのは、どうして?」


「ああ、それは晴幸が情報を潰しているんだよ」


今出川の疑問に答えるのは政治。

政治の件で怒りに任せる事はなく武力での解決したのだが、相手を気絶させてしまい助けた女性からは目の前の光景を疑い瞬きをしていた。各格闘技を学んだ技をみせればそんな反応も仕方ないだろうが、僕が成績と運動も出来ないと認識の可能性があるが。


「へぇー、そうなんだ。

山本くんスゴいんだねぇ」


「へっへへ、そうだろ。

もっとめていいんだぜ」


「いや、どうしてお前が自慢げなんだよ」


早速ツッコミをさせられたが

この2人は意気投合するんだよなぁ以外にも。今出川にはスパイの疑いを持たせない話術によるものもあるが、それでも政治の知己ちきとしては気が合う友達が出来るのは歓迎するものだ。


「はは。それでデートはどうだった?」


「デ、デートじゃないよ。

風紀を乱していないか、巡回して決してそんな私情はないんだよ。・・・・・たぶん」


「この反応からして、良かったのかな?で、どうよ虎繁」


「何を言っている。さっきの今出川が説明した通り、楽しむような事じゃない。それに私情を挟むべき無いと心掛けることは大切だ。それを今出川が行動で語ってくれたときは見直した」


政治に訊かれ、今出川の今日の評価と褒める事も忘れずに言葉を並べて言う。


「マジかよ。ここまで、気づかないのか・・・。それに、何か評論みたいなことを始めるし」


政治は僕の返答に引いていた。

まぁ、自分でも褒めなれていないから自覚しているが。

ともかく慣れていない事に、ちょっとした成功でもすぐに褒めるのが当然だ。向いていないと驥服塩車きふくえんしゃだろうと。


「お、尾田くん!?これ以上はやめて。お願いだから」


黒歴史を知られるような慌てぶりな今出川。頬が赤く染まって必死さが伝わる。その必死に隠そうとするのを知らないが。

まるで、恋を隠しているような反応だ。


「虎繁は、かなりの唐変木とうへんぼくだから嫌われていると認識しているし。自己評価は悲しくなる奴で鋭いのに鈍いし」


「褒めるかけなす。どっちなんだよ」


「強いけど弱い虎繁を支えるのは今出川しかいないと思っているんだよ」


「そ、そうかな?仁科くん強いと思うけど」


「俺はいつでもアシストするから、アシスト部だけに」


「う、うん」


最後の言葉に今出川は苦笑して答える。すべったことに羞恥心が込み上げたのだろう、政治は顔を赤くなった。


「そ、それよりも協力はするから。今出川の・・・想いをなぁ」


「えぇーー!?き、気づいていたの」


「いや、いや気づけよ今出川」


なにやら二人が主語がない会話をしている。それなのに通じている長い付き合いなのかツッコミたい。


(それにしても、政治が苦しそうにして激しい憤りが起きるなんて僕にも残っていたんだなぁ。

友情というものを)

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