第23話―セカンドポイント2―

「また、お前か!」


2日後。悪質ナンパを止めストレス発散と抵抗をせず殴られる日々。


(おとなしい僕が聞けば顔面蒼白は間違いないなぁ)


作戦決行まで山本晴幸と、欠点やリスキーなどを生じると帰宅後にスマホで案を出していくが偽りの告白を絶対に成功できると判断できないのが現状。

黄昏会議でも案を出し続いた結果は折衷案せっちゅうあんとなったこと。


「受け身をそれなりに心得ているとはいえ平日ずっと殴られるのは痛いものだな」


悪質ナンパが生徒会に睨まれてから減少傾向とはいえ、常習犯みたいな者はいる。そして――


「首謀者。ほくそ笑むのは今の内だと覚悟することだ」


誰もいないので、こうしてどこかでほくそ笑む相手に宣戦布告が出来る。土で汚れた制服をはたき落とす。同行していた今出川はナンパされた女子を連れて密かに生徒会室などに避難させたことだろう。校庭から校内に入ろうと進むと怒号が耳に入った。すぐに目的地に向かうとさっきまで僕を殴っていた男達3人が、一年の女子を囲みナンパをしていた。


「・・・今出川がいないのと、ここまでだと実力行使をやらせてもらうしかないか」


ボソッ、と小さく音を発していないほど呟き全力疾走でひ弱な高校生が勇気を振り絞り立ち向かうのを形に作る。


「離れろーー!!」


数分後。無駄で攻撃方向が容易に読める攻撃を受けてその方向へ流す。受け身はスポーツをする人から必須的なスキル。転んだり、衝突など想定外のケガをするのを防ぐための技術。3人目の男が息を荒くして「何度も立ちやがってゾンビかよテメェは」と悪態をつかれ去っていた。ゾンビか・・・今の僕には相応しい呼び方だ。


「いつまで長引かせるのよタイガー」


腰を当てジト目を向ける恩を仇で返すのは、師走呉羽しわすくれは。同じ一年だというのに生徒会で会計担当なんだから不思議なことだ。そして、僕を知る数少ない一人である。


「変に目立ちなくないだけだ」


「ほーん。すみれと隣に侍っているくせなよく言うよ」


「侍らせてなんかいない。何を考えて・・・待って、呉羽。

僕はそんな事を伝えたことないと思うんだが」


「フッ、ぼくの立場は生徒会。

権力の前にはあらゆる事が出来るんだよ」


腕を仰々しく差し出しカッコよくポーズを決める。


「今回はどのゲームにはまったんだゲーマーさんよ」


「最近は忙しくてなかなかゲームが出来ないんだよね。

ほら、ぼく生徒会だから。タイガーと違って忙しいの」


「さっきまでナンパを止めようとした奴が無策で挑まれると迷惑なんだが」


まずいなぁ。コイツの頭のネジを3本ほど飛んだ発言には頭痛が起きる。僕は頭を抑えため息をする。


「た、たまたまなんだよ。

そんなことより早く保健室に行こう!」


袖を引っ張られ返事をする耳を持たずと廊下に入り保健室に向かう。空回りをよくする呉羽は、そんな自分を恥いていた時期もあったが成長したものだ。・・・いや、後々と考えれば空回りしている。


「っと、それより閑話休題。

僕が今出川といると、どうして思う?」


「だから、ぼく生徒会だよ」


「だから!」


「だから生徒会なら執行員と情報を教えてくれたり、動いてくれたりするのよ。それでタイガーを尾行して解ったことよ」


「・・・だから、お前はバカなんだ」


嘆息してから、言葉が浮かばず静寂に訪れた。保健室ドアを開けるとここも静寂が漂う空間で保険の先生もいない。


「いないわね」


「そうだな。なら僕はこれで」


「まだよタイガー」


後ろ姿と僕の袖を離さないと主張しているようだ。


「ほら、やってやるから座ってよ」


頬を赤らめて呉羽はそっぽを向き恥ずかしそうにそう言った。

消毒して絆創膏ばんそうこうを飛び出して前のイスにタンタンと蹴って早く座れと促す。


「蹴るな。まったく」


「素直でよろしい」


僕は傍若無人の呉羽に従い座る。

そしてすり傷の消毒してペタッと貼っていく。今さらだが先生に使用の許可を訊かずに無断で使ってよかったのか。


「大丈夫。そうなったら、ぼくがこう言うよ。ケガをしているのに許可を取る時間を惜しいって逆ギレするから」


「そうなったら先生が、困惑リアクションは決定だよ。まったく」


取り留めのない話をしている中でも呉羽は手を止めずに目は真剣で口は微笑みのアンバランス。


「よし、終わった。あまり無茶はしないでよタイガー」


「ああ、約束はすぐに破ると思うが」


「ダメだよ!」と突っ込むが勢いは無いのは必ず無茶をすると理解しているからか。

僕と呉羽は腰を上げ保健室を後にして廊下を並んで歩く。


「それで、問題視されている悪質ナンパの件だが呉羽の方は尻尾をつかんだか?」


「ううん、まったく。

疑わしい人なら副生徒会長さんや土方さんは何か知っているみたいだったけど」


「そうか」


副生徒会長の松平忠長まつだいらただながは実質のポジションは生徒会長よりも以上である。

あの人なら相談してもいいだろう。慧眼けいがんな意見を聞こうと呉羽と一緒に生徒会室に向かう。すると、ポケットから着信音と振動が発生。取り出し画面を見ると政治からだった。


「はっははは!タイガー露骨に嫌な顔をするなんて珍しいね」


「はい、もしもし」


「スルー!?」


一々、呉羽のツッコミをする義務はないからなぁ。


『準備室に悪質な告白を発見した。スカートをめくろうとしているから行ってくるぜ』


「待って!大声を出せば相手は逃げるから・・・切ったか」


スマホをポケットに戻して準備室に急いで行かないといけなくなった。


「忙しそうだし、またタイガー」


「ああ」


すぐに理解した呉羽は、肩ほどの高さで手を振る。僕は会釈して

政治がいる場所へ全力疾走。

到着すると政治が一方的に体格のいい茶髪の大人しそうなイケメンが嗜虐的しぎゃくてきな笑みをして堪忍袋の緒が切れる。

倒れていた政治が僕を見て驚く。


「落ち着けよ虎繁」


「あぁ?」


腹部に何度も蹴りを入れる乱暴者は僕を見て睨んできた。

怒っているのはこっちなんだが。

そして激しい怒りに支配される前に政治が止めた。


「・・・手加減はする。だけど、

ほとんど本気で行く」


顔面たけは避けてロシアの軍隊格闘術システマで色んな物を吐くだけに留めた。そのあと生徒会執行部の人に目撃して僕をこっぴどく怒られる事になった。

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