第12話虎繁と晴幸
『ターゲットが来た。
それでは動いてくれ』
右につけたインカムから晴幸の指示に僕は「了解」と短く返事して廊下を曲がる。
学校の
そして所属せず孤独を選んだ側は
教室を出るかどこ吹く風のスタンスどちらか。そしてターゲットは
教室を出るタイプだ。
入手情報した晴幸によると
最近この時間になれば廊下を進み
階段を降りトイレで誰も見られることなく食事すると。
階段から廊下を曲がり歩く僕はスマホ取り出しながらスマホ。ターゲットの肩に
「えーと、邪魔なんだけど」
典型的な一人よがりな発言すると
彼は・・・
「ぶつかっておいてなんだよ
その態度は、謝れよ」
「スンマセンでした。
たく、
「なんだよ、
お気に入りなんだよ」
このまま、去ろうと足を進む僕は振り返り、その言葉に詰問したい衝動が起きた。腹立たしいがなんとか理性で留める。噂はほとんど根の葉もないのが多い。
「・・・・・ハァー、」
ターゲット佐藤に嫌悪感と怒りを与えることにまずは成功。
佐藤享はながらスマホが原因で孤立無援となった元ヒエラルキーの真ん中あたりにいた。
(名誉回復と抑止力が解決策だからなぁ。その抑止力が同じくやられて嫌悪感と怒りという
佐藤享が問題となったのは、とくに何でもない。友人の信綱の友人にあたる
『お疲れ様。戻って昼食としようか』
「そうだな」
『に、しても赤の他人のために
4限目をボイコットはやりすぎじゃないか虎繁』
「いや、昼タイムですぐトイレに直行する傾向があるからなぁ。
実行するならこれしかなかった。
それに学校の授業を受けなくても本とかタブレットとかあるしなぁ」
この抑止力は一回ほどの程度で十分だろう。後は名誉回復だが・・・
いい所を大言壮語にして広めるという事を考えているが晴幸の情報収集でも難しいと返事があった。
事実がないと大言壮語しても
効果は弱いだろうし。
『一応ダメ元で言うけど、今出川さんが虎繁と食事したそうにしているが、どうする?』
「絶対に呼ばないでくれ。
アイツがいると頭痛がするからなぁ。支離滅裂な会話はしたくない」
『いや、それは・・・逆のような。
ともかく昼食だな』
先に屋上のベンチに着いた僕はベンチに座り読書して待つこと数分。
「ほれ、持ってきたぞ」
「
昨日の残り物と偽り妹の作った食材の余りを入れただけ弁当。
本を懐に戻して弁当を開けるタイミングで隣に座る晴幸。
「次は
「いや、濡れ衣や悪い噂は僕の役目だ。晴幸はいつものように後方で指示すればいい」
お弁当箱を開けた晴幸は箸でウインナーつかみ口に運びすぐに飲み込む。ゆっくり噛まないと消化にわるいと指摘しようかな。
「某が素直に言うことを聞かないのは、そなたがよくご存知ではないか?」
「たっく・・・これだからおまえは。それで具体的には何をするんだ?」
「なーに、実に簡単で手を加えなくても情報を流すだけで解決してくれることを」
作戦内容に僕は、晴幸らしい智謀と改めてそう思った。
そして翌日の放課後。僕と晴幸は準備室の窓から黄昏に染まる校庭のゴミを拾い集める佐藤享を見下ろしていた。
奴はトイレで悲しく食事している所で用を足しに入ってきた晴幸が
大きな独り言を言ったのだ。
「今出川さんが気に入っているぼっち野郎が放課後で校庭で
一生懸命に掃除している所を影で見たからなんてなぁ・・・・・か。
まさか上手く動くとはなぁ」
僕がボソッと言うと隣にいた晴幸は肩を竦める。妙に様になっているから不思議だ。
「これも情報材料で
佐藤享は去り際に言った・・・今出川さんのお気に入りと」
「あー、あれか。それが?」
「声が乱れていたからなぁ。
羨んでいたとすぐに読めた。そこでお気に入り情報を知れば動く。非常に単純なことだ」
「ああ。これで目撃情報を広れば名誉回復になるだろうなぁ」
この誤報と知らず佐藤享の努力は本人が望んだ結果と違う形はすぐに訪れた。一年3組の佐藤享が、放課後でゴミを拾っていたと一年一組で広まっていた。
真田信綱が、僕と晴幸に視線を一瞬だが送りまたトラブル解決していたのかそう瞳に問うものだった。それに僕は顔を横へ振り否定した。時は流れて正午に昨日と同じく晴幸と準備室に入りイスに座り報告して食事するために。
「佐藤享の件は虎繁の頑張ったおかげで無視とか露骨ないじめはなくったようだ」
佐藤享はながらスマホの件で友人と他の生徒からいじめを受けていた。発言力が高い信綱の友人が悪い噂を広めたから。悪い奴だから追い詰めるような行動した軽率な連中に嫌悪感をまた、今回も覚えた。ともかく悪い奴という認識を変えさせたら周りの評価で解決したと晴幸は説明した。
「すごい単純な解決方法だな。
しかし、この案を
「いや、虎繁の方が――」
「いや、いや晴幸の方が・・・って
やめようぜぇ。お互い素晴らしい方で
「だな」
長年の相棒に拳を軽くぶつける。
僕と晴幸と優衣で一緒に遊び他愛のない話しを
してきた。優衣が亡くなってから僕と晴幸は漠然としたされど強い気持ちが燃える人助けをするため立ち上げたアシスト部。
明暗を分ける選択肢は無い。世界はどこにいても曖昧模糊で右往左往させる・・・心を。
だけど必ずそうとは限らないのが
人生で決断。僕は明暗を分けるという分かりやすくハッキリとした答えはしていないし、している。
優衣に約束した人を助けることと
もう二度と立ち直れない悲しみは無くしたい。
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