第8話―――黄昏会議その2―――
「おはよう仁科くん」
朝のホームルーム。
今出川は机の前に挨拶を仕掛けてきた。スパイ疑惑がある奴に僕の回答は―――
「・・・・・」
「・・・あ、あの。仁科くん?
私の声、聞こえますか」
シカトで答える。無視をするにしても
視線はスマホのソシャゲ(グラブルファンタジー)。音量が高すぎるとヘッドホン難聴になるので低くしているため今出川の声は本当はしっかり聴こえている。
(グラブルは、二年ぶりにやるが変わったところがけっこうあるなぁ)
最愛の
関係が自分から断つようで、ただアイコンだけ残っていた。
それを今日はスパイの話を聴こえないためにプレイするというくだらない理由でしていることに罪の意識を感じる。
(優衣が残っていると改めて再認識した。データだけでも込められた想いや熱意には優衣らしさがあって・・・もう動かないだろう記録と、その痕跡はあるんだ)
戦闘画面に他のプレイヤーから
迷いなく選ぶのは妹の優衣から設定した星晶獣のみ。
レベルが40ほどの星晶獣で強いわけではないが優衣がいたんだと
実感ができて見ているようで――
「くっ・・・うぅ」
「に、仁科くん!?」
涙を抑えられず流れると、堤防が壊れ声まで出てしまう。嗚咽なんてすれば目立ってしまうのに。
「だ、大丈夫、仁科くん!」
今出川は背中をゆっくりさすり優しいトーンで言葉をする。
2年が経っても優衣を強く想いを抱いてる自分に誇りに思う一方、
あふれる感情にある僕はどうすれば収まるか分からない。
「だ、大丈夫だよ今出川さん」
僕はヘッドホンを机に置いて
椅子から立ち上がる。
「よく分からないけど保健室についていくよ」
「構う・・・ないです今出川さん」
危うく構うな!っと叫ぶ所だった。ここは教室だ。僕は最弱でいじめの対象に見られないといけないのだから。
「ごめん」
僕は心にもない謝罪して、ここから早急に離れ心を整えないといけない。僕は走った。
教室から廊下に走る。無駄話する者、徘徊する人は走る僕に道を開けていく。階段を全力で駆け上がっていく。屋上に繋がるドアを乱暴に開ける。
「・・・バカだな僕は」
強くなったと思ったが泣き止まないし今でも勝手に流れる。
屋上の奥に歩を進み防護柵の上に両腕を置き下を見回す。
朝練するものや駄弁るリア充。
正直、癒やしにもならないが何も考えず眺めると整えていく。
「優衣の事でも思い出したのか?」
振り返ずとも分かる少しダミ声の
眼帯した親友だ。
「・・・見苦しい所を見せたなぁ
言葉にすると自虐的になってかなり恥ずかしいが落ち着いていく。
晴幸は僕と優衣を知る理解者。
もちろん僕が優衣が強く抱く想いにも。
「そうか。・・・優衣はいつも虎繁の中にいる」
「・・・・・」
僕は晴幸がいる後ろへ振り返り
なにか伝えようとしているのを長い付き合いで察する。
「そんな月並みは言わん。
虎繁が優衣を告白することも永遠に失った。・・・だが!」
晴幸は足は前へ歩み、僕の前で止まると指を突きつける。
「言えることは想いは死なないだ!後ろ向きになることはある。けど前へ進まないと優衣は、
どう思うか」
「・・・・・悲しい顔をするだろうなぁ」
僕は優衣の死に大きく変わった。
けど、想いは変わらず否!前よりも強く抱いてると自負している。
それでも前へ行けるのは優衣が
望んでいないからという
「・・・ありがとう。立ち直れないほど弱い僕だが、行くぜ前に」
「ああ!」
拳と拳をぶつければ友情の証。
再度、前へ進むと決意して予鈴が鳴り響く。もう教室に戻らないといけない。涙を拭い教室に向かい入ると軽くざわめいていた。
まぁ、目立ったから仕方あるまいが。
「大丈夫か?」
リア充で仲間の信綱が、見下すことを忘れ近づき声を掛ける。
「あ、ありがとう真田さん。
ご心配をおかけしました」
「それならいいんだけど」
僕は、演じないといけない事に言いたげな信綱はこれ以上はかけずにリア充の輪に戻っていく。
「もう大丈夫。仁科くん」
あと、もう一人今出川が不安げに訊いてきた。晴幸は静かに席に戻っていく。まるで、お邪魔ですねと言わんばかりに。お前も知っているだろ!スパイで疑っているんだぞ。
「詳しくは聞かないけど・・・
なにかあったらいつでも相談してね。じゃあ」
軽く手を振り自分の席に向かっていく今出川の背中を見る。友好的になろうと積極的に動くから油断ならない
とくに目立つ動きもなく放課後。
今出川に声を掛ける前に一目散に教室を出る。定例会議となる屋上に先に着きベンチに座って読書して待つこと数分。晴幸、信綱の順で来たが最後の普通の政治がまだ。また、トラブルでも抱えてくるんじゃあと不安になっていると
ドアが開く。
「やぁ、お待たせ。今出川さんを呼んできたよ」
「あはは、来ました」
「「あちゃー」」
晴幸と信綱は片手で顔を覆うようにして失態を嘆く。
「そうか・・・・・政治。キサマには鉄のフィンガーを受けてもらう」
「は、はい?な、なんか怖いのだけど・・・・・」
政治に近づく。政治は一歩と引いていく。今出川は首を傾げる。
「俺のこの手が真っ赤に燃える。勝利をつかめと
僕は右手の拳を顔のすぐ前に構える唱える。
「な、なにそれ?」
僕は走る離れていく距離を一気に縮めるために。
「爆熱ゴッド・・・フィンガーァァァァ!!」
僕は右手を奴の顔を握る。
アイアンクローを。
「ギ、ギッイヤァァァァァーー!!?」
「へっ?な、なにやっているの仁科くん!?」
右腕を強く引かれたので解放。
政治は痛ぇ!と声をこぼすがそんなに痛そうにしていないはず。
て、手加減はしたんだからね!
「いくら私が嫌いだからってそういうのは良くないよ暴力は」
「そ、その通りだが・・・これは遊びで同意での事で」
「それイジメの
指摘されてその通りだなと
「・・・」
「あぁー痛えぇぇよ!
今出川さん助けてぇぇ」
「はぁ、おま・・・そんな冗談を――」
やっている場合ではないと言葉に出る前に今出川が敵視とは違う目で睨まれる。
「仁科くん。暴力は立派な犯罪なんだよ。そこは理解しているの」
「それぐらいは分かっているよ」
「なら、ごめんなさいって言わなきゃ」
「そうだ!そうだ!」
今出川の説教に
名前のまさはるの漢字して政治だけに。
「はい、そこまで。政治もそろそろからかうのやめろ」
仲裁――ではないが混乱となってきた流れを止めるは晴幸。
「えっ。なに?どういうこと」
「はは、ごめんね。今出川さん。
ちょっと虎繁を困らせたくてね」
「そ、それじゃあ。いじめは」
「いじめ
「えぇぇーーー!!?」
ザ普通の政治は楽しそうに笑い、真実を伝えるとスパイ今出川は
手を口に触れ驚きの声を上げる。
・・・・・定例の会議をしたいんだがなぁ。
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