第99話小道具

ユウシャ・ふと気がついたようにマオウに話しかける

「でも、マオウちゃんと演技とは言え戦うのかあ。マオウちゃん、初めて戦った時みたいにあたしたちを全滅させないでね」


マオウ・ユウシャの頼みに困り果てる

「そう言われても……どうせならアクションは派手にやりたいしなあ」


ダイマドウシ・話は聞かせてもらったと言った雰囲気で

「それなら、この『大魔導士の杖』を使うがいい」


ユウシャ・突然のダイマドウシの登場に驚く

「ダイマドウシさん! ボケていたんじゃあなかったんですか? それに、大魔導士の杖を使うってどうやって?」


マオウ・ユウシャが気づかなかったダイマドウシの言葉の意味に気づく

「なるほど。あの霧の特殊効果か。あれは確か魔法のエフェクトが出現はするが、ダメージが全くなくなるというものだったな。まさに舞台の特殊効果にはぴったりのアイテムとしての特殊効果だな」


ダイマドウシ・察しがいいマオウに気分を良くする

「そういうことじゃ。なに老人を差し置いて面白そうなことやっとるんじゃ。これではおちおちボケたフリもしていられんわい」


ユウシャ・ダイマドウシの言葉尻をとらえる

「ダイマドウシさん、ボケたフリってどういうことなんですか……」


マオウ・ユウシャの言葉を途中でさえぎって

「まあまあユウシャちゃん、ダイマドウシちゃんみたいなビッグネームが参加するんだからそれでいいじゃないか。しかし、ダイマドウシさん。この杖の効果は呪文にしか発揮されませんよねえ。わたしとしては、せっかくだからブレスなんかも披露したいんですが……」


ブキヤ・待ってましたとばかりに登場する

「そんなマオウさんのためにいいものがある。この百万ゴールドの剣がそうだよ」


ユウシャ・ブキヤの登場に驚く

「あ、ブキヤちゃんじゃない。それにその剣って、あたしが物欲しそうに見てた百万ゴールドの剣じゃない。なんでその剣がマオウちゃんにとっての『いいもの』なの?」


ブキヤ・ユウシャの質問に喜んで解答する

「ああ、やっとこのセリフを言える時が来たよ。『なんということだ。魔王を倒したと言うのに、更にその上の大魔王がいたなんて。ユウシャちゃん、ぜひこの百万ゴールドの剣を使って』……違うな。別にユウシャちゃんがマオウさんを倒したわけじゃないもんな。よし、ならこのセリフだ。『この百万ゴールドの剣を特別に貸してやる。あげるんじゃないぞ、貸すだけだからな。そもそも、ユウシャちゃんに百万ゴールドなんて大金払えると思えないし。もし仮に、ユウシャちゃんが冒険中に百万ゴールドに相当する何かのアイテムを見つけたら、それと交換してあげてもいいけどね』」


ユウシャ・ブキヤのセリフにポカンとする

「ブキヤちゃん。じゃあ、この百万ゴールドの剣あたしが使ってもいいの? でも、この剣がマオウちゃんにとっていいものになっちゅうの?」


ブキヤ・ユウシャに念願のセリフを言う

「『この武器は戦闘中に道具として使っても効果があるぜ』……このセリフも初めて言えたよ。なにせ、うちみたいな初心者向けの武器屋は基本的な棍棒とか銅の剣とかしか扱ってなかったからね。そんな武器には特殊効果なんて付与されてないから、このセリフを言いたくても言えなかったんだ」


ユウシャ・ブキヤに言われるがままに百万ゴールドの剣を道具として使う。あたりが白い霧で覆われるがすぐに晴れる

「わ、本当だ。なんか霧が出てきた」


ブキヤ・白い霧が出たことを確かめるとマオウに依頼する

「それじゃあ、マオウさん。ブレス攻撃をしてもらえますか」


マオウ・ブキヤに言われるがままにブレスを吐く

「そうかい。それじゃあいくよ。それっ」


ユウシャ・マオウのブレスにさらされて驚きはするが、ダメージは受けない

「わっ、マオウちゃん。そんな……いきなり……あれ、ちっともダメージがないみたい」


ブキヤ・ユウシャが不思議がっている様子を満足げに見る

「ユウシャちゃん。この百万ゴールドの剣はね、ブレス攻撃を無効化する特殊効果があるんだ。エフェクトはそのままだけどね。これで、舞台が華々しくなるね」


ユウシャ・ブキヤの説明を聞いて納得しかけるも新しく疑問を感じる

「なるほどお。それならマオウちゃんの全体魔法も全体ブレスも舞台で死亡の心配なく使えるね。でも、それで、どうあたしやナイトちゃん八人がマオウちゃんとマッドドクターちゃんと戦闘を演じればいいのかな?」


ダイマオウ・満を持して登場する

「そして、ラスボスであるわしの登場になるのじゃな。なにをやっておるのじゃ、マオウちゃん。こんな面白そうなものになぜわしを呼ばんのじゃ? マオウちゃんは昔からそう言うところがあるよな」


マオウ・ダイマオウの登場に怯える

「これはダイマオウ様。そんな、別にダイマオウ様を呼ばなかったとかそう言うわけでは……なにせ、話がトントン拍子に進みましたので」

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