第98話共闘
マオウ・ユウシャたち八人の話をさも最初からきいていましたよと言うていで現れて話し始める
「面白い話をしているねえ、ユウシャちゃんたち。じゃあ、ユウシャちゃんたち八人の煽り合いが一通り終わったら、わたしたちも混ぜてもらいたいな」
ユウシャ・マオウの言葉に戸惑いながら返事をする
「あ、マオウちゃん。話を聞いていたんですか? でも、『混ざる』ってどういうことですか? それに、『わたし”たち“』って?」
マッドドクター・ユウシャの疑問に待ってましたとばかりに答える
「それは、僕もそのお芝居に混ざりたいからだよ。もちろんマオウちゃんと二人でね。人間であるナイトちゃんたち八人が人間同士で仲間割れして疲れきったところに、僕とマオウちゃんのボスが二人組みで襲いかかるって寸法さ」
ナイト・マッドドクターの言葉にに呆れながら話す
「『人間同士が仲間割れ』って……それ、人間のマッドドクターちゃんが言う話ですかね。でも、お芝居とは言え、仲間割れして疲れているわたしたち八人がマッドドクターちゃんにマオウちゃんをいっぺんに相手するなんて不自然じゃないですかねえ。ユウシャさんたち四人パーティーが、マオウちゃんにワンターンキルされたんでしょう? わたしたち四人パーティーもマッドドクターちゃんに太刀打ちできそうにありませんし……」
アソビニン・まったく空気を読まずに登場して能天気に話す
「あれー、みんな何してるのー? あたしも混ぜてよー」
マオウ・アソビニンの登場を嬉しそうに出迎えて話し出す
「おや、アソビニンちゃんじゃないか。いいよ。いっしょに遊ぼうじゃないか。つまり、こういうことだよ、ナイトちゃん。君たち八人だけでわたしとマッドドクターちゃんを相手にすることはないんだ。これはお芝居なんだから、パーティーメンバーの上限なんて気にする必要はないんだからね。アソビニンちゃんの後ろにいる女の子もお芝居に参加してくれるかな。ヒットポイントもマジックパワーも残り僅かなユウシャちゃんたち八人を有り余る財力で買い揃えたアイテムで回復させる役柄なんてどうかな」
ショウニン・マオウのフリにオズオズと登場して話し出す
「わたしも混ざっていいんですか? しかもそんな仲間のピンチに駆け付けて解決させちゃう美味しい役所をやらせてもらっていいんですか?」
マッドドクター・ショウニンにこころよく許可する
「どうぞどうぞ。ショウニンちゃんは、リュウキシさんの賭けの一件でいい感情の曇り具合を楽しませてもらったからね。やはりギャンブルはいいね。人間の欲深さをまざまざと見せつけられる。実に僕の研究に役立った。なかでも、本来ならば得しかしないはずの胴元であるショウニンちゃんがあんなふうに落ち込むとは……たいへん興味深いものを見せてもらいました」
マオウ・ひとり手持ち無沙汰にしているブトウカに話しかける
「で、こう言った舞台のお芝居だと、客席で場外乱闘が始まったりするんだよねえ。舞台の遠くの席で役者を遠くからしか見ることができないお客さんへのサービスってことでさ。それに、今までユウシャちゃんたち八人でやっていたところから、急に役者の数が増えちゃうから、舞台のセットを入れ替える必要がある。その間の幕間劇をブトウカちゃん、君がやってくれるかな」
ブトウカ・いきなりマオウに話を振られて慌てる
「わたしがですか? でも、わたしひとりで幕間劇なんて、何をすればいいのか……」
マッドドクター・ブトウカに幕間劇の筋書きを提案する。
「そうだね、なんでもブトウカちゃんはユウシャちゃんたち四人パーティーをたびたびそれとなく手助けしていたらしいじゃないか。だったら、マオウちゃんと僕のボス二人組を応援しようと戦闘に参加しようとする敵モンスターを食い止める幕間劇なんてどうかな。人知れず孤軍奮闘するブトウカちゃん。泣かせる話じゃないですか」
ブトウカ・マッドドクターの筋書きに新しく提案する
「なら、その幕間劇の最後に胸元からユウシャちゃんの肖像画を取り出して、『あとは任せたわよ』って言うシーンやりたいです。見ているお客さんに『ブトウカちゃんって、胸元にユウシャちゃんの肖像画を忍ばせてたんだ。やっぱりソロプレイって切ないよね』って思わせるようなシーン」
マオウ・ブトウカの提案にユウシャの意見を求める
「とのブトウカちゃんのご希望なんだけど……肖像画のヌシであるユウシャちゃんとしてはどうかな?」
ユウシャ・マオウの問いかけに一も二もなく賛成する
「そんなの、ぜんぜん構わないですよ……と言うよりも、ブトウカちゃんのそのシーン、すっごく見たいです。ブトウカちゃんがひとり先にふるさとの村を出てっちゃってからもうずいぶん長かったけど、これで久しぶりに五人で遊べるね……五人じゃないか。今度は他にもたくさん仲間がいるもんね」
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