第97話ミーティング
シロマドウシ・ソウリョをちらりとにらんで質問する
「お互いが心にも思ってないことを言い合いながら罵り合うシチュエーションを作り出しているみたいですねえ。ところで、ソウリョさんはわたしのことを信仰心なんてこれっぽっちも持ち合わせていないくせに、回復魔法を使う無神論者なんて軽蔑されてたりするんですか?」
ソウリョ・シロマドウシの煽りをスルーする
「いやあ、僕がシロマドウシさんは信仰心を持ち合わせていないとみなしていることは認めますけれどね。だからと言って軽蔑だなんてそんなこと滅相もありませんよ。最近になって、思うところがあって宗旨替えしましてね。主である神に純潔を捧げ続けるなんてことはいかがなものかなんて思い始めたんですよ」
シロマドウシ・ソウリョの発言にわざとらしく思い出した素振りを見せる
「そういえば、ソウリョさんはここレトロゲームセカイのスタッフであるエルフさんと婚約なさったそうで。たいへん喜ばしいことではありませんか。神に仕える僧侶が婚約なんて、聖職者が女色に溺れることをお許しなるだなんて、神様はずいぶん慈悲深くあらせられるんですね。わたし、戒律を破った聖職者はてっきり異端審問にあって、火あぶりにされるかと思っていました」
ソウリョ・シロマドウシの皮肉に顔を引きつらせつつ答える
「そんな中世の魔女狩りじゃあるまいし、今時そんな魔女裁判なんて行われませんよ。シロマドウシさんは、たしか回復魔法を学問として追求していらっしゃるんでしたよね。学問を宗教をごっちゃにするなんてナンセンスとかどうとか。しかし、学問を追求するあまり、世俗のことに少々疎いと見えますねえ。なにせ、このご時世に異端審問なんてものがあるなんで時代錯誤なことをおっしゃられているようですから……いや、僕は全然良いと思うんですけでね。学問に邁進し、俗事にとらわれないその高尚な姿勢。エルフちゃんとの愛に目覚めてしまった僕にはとても真似できないなあ」
シロマドウシ・ソウリョの嫌味にこめかみに血管をピクピク浮きださせながら、冷静を装いつつ返事をする
「そうですよ。学問の道を突き進むことは素晴らしいんですよ。例え人から、『行かず後家』だの、『恋心の機微も知らないくせに、慈愛の白魔法のなんたるかが理解できるの?』なんて嫌味を言われようと、わたしはちっとも気にしていないんですから」
ソウリョとシロマドウシがお互いに目で火花をバチバチと散らし合う。
マホウツカイ・嫌味を言い合うソウリョとシロマドウシを横目に見つつクロマドウシに話しかける
「ソウリョちゃんとシロマドウシさんのあの煽り合いは多分ガチンコやろな。あの二人、前から神学論争にケンケン轟々やったからな。まあ、お芝居にああいうリアルファイトが一個くらいあってもええやろ。ところでクロマドウシちゃん。オタクの言う呪いってのは、サタン的なあれなんか?」
クロマドウシ・マホウツカイの質問に当然だとばかりに答える。
「そうだよ。黒魔術と言えば生贄。その生贄はサタンに捧げるものと相場が来まっているからね。あれ? マホウツカイさんって呪いとか苦手なんじゃなかったっけ?」
マホウツカイ・クロマドウシの問いかけに、なんだかバカバカしくなった様子で答える
「そうなんやけどな。サタンなんて聞いただけで震えが止まらへんかったんやけど……サタンって要はマオウちゃんのことやろ。ここレトロゲームセカイで、アイドルちゃんにキャアキャアマオウちゃんが言っとると考えると、なんやサタンって言葉を怖がるのがアホらしゅうなってな」
クロマドウシ・マホウツカイの言葉に安心した様子で答える
「それは良かった。マホウツカイさんが呪いを怖がっていないのなら、安心して演技ができる。内心では呪いに怯えているマホウツカイにサタンがどうのなんて煽るのは気がひけるからね。じゃあ、わたしが『魔法使いと黒魔道士をいっしょにしてもらったら困るなあ。悪魔の尻尾や邪神の像があっての黒魔術だよ。そういった呪いのアイテムを使わない攻撃魔法なんて、本当にモンスターに攻撃効果があるのかい』なんて言っちゃたら、マホウツカイさんはどう返すのかな」
マホウツカイ・クロマドウシのもしもの問いかけに、仮定の話で答える。
「そやなあ。クロマドウシさんがそんなことゆうてきたら、『面白いこと言うやんけ。なんならその体で試してみるか? しっかし、呪いのアイテムがないと黒魔術は発動せえへんのか。そないなら、その呪いのアイテムがなかったら、クロマドウシさんはただの役に立たない可愛いだけの女の子でしかないんか?』なんて返すやろなあ」
クロマドウシ・マホウツカイの仮定に仮定で答える
「そんなことマホウツカイさんに言われたら、わたしも『やんのかコラ、呪いのアイテムがなかったら何もできないだとコラ、いいだろう、こっちも素手で行くぞコラ、タイマンステゴロだコラ』なんて返すだろうね。いやあ、マホウツカイさんとの会話がこんなに弾むとは思わなかった。もっと前から話していればよかったよ。呪いだなんて怖がらせてごめんなさいね」
マホウツカイ・クロマドウシの謝罪に謝り返す
「いや、うちのほうこそ、むやみに黒魔術を怖がって悪かったわ。やっぱり、お互いに話し合わないとダメやな。それはともかく、そんなコラコラ言われたら、こっちも『何がコラだコラふざけんじゃねえぞコラ』なんて返すだろうね」
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