第96話ブックづくり
モンク・ナイトに文句を言いつづける
「仮にもわたしは、ナイトちゃんの本をベストセラーにした張本人なんだからさ。その台本作りになんでわたしを参加させないのさ」
シロマドウシ・ナイトをたしなめる
「そうよ、ナイトちゃん。いつもわたしたちパーティーメンバーをかばって傷ついたナイトちゃんを回復させてるのは誰だと思ってるのよ。それなのに……わたしだって、そのお芝居に参加するんだったら、お話作りに混ざる権利くらいはあるんじゃないの?」
クロマドウシ・モンクにぶつぶつ文句を言う
「だいたい、わたしたちのことがモンクちゃんプロデュースのナイトちゃんのベストセラーにちっとも出ていないのも不公平だよ。わたしだってナイトちゃんパーティーの一員なのにさ。それなのに、わたしやシロマドウシちゃんがちっとも本に出てこない。モンクちゃんはなんでナイトちゃんのことばかり本にするのさ」
モンク・クロマドウシの言葉にうろたえる
「あ、あれはわたしが本にしたわけじゃなくて、わたしの話が勝手に本にされたわけで……だから、わたしがシロマドウシちゃんやクロマドウシちゃんよりもナイトちゃんを特別に思っているなんてことはけしてなくて……それよりも、台本作りだよ。ナイトちゃん、ナイトちゃんの部屋に散らばっている書きかけの台本を読ませてもらったよ。ナイトちゃんとユウシャさんが互いに罵り合うストーリーだったじゃないか。となると、わたしはセンシさんと罵り合うのがパーティーでの役割的に筋だろうね。さあ、センシさん。わたしを罵ってみてくれ。センシさんがわたしを良く評価してるところを逆に言えばいいんだよ」
センシ・モンクの言葉に戸惑いつつも、とりあえずモンクを褒める
「モンクさんの良いところですか? それはもう何と言っても、素手でモンスターを殴り倒しているところですかねえ。わたしは武器代でユウシャちゃんに金策で頭を悩まさしていますし、ブトウカちゃんも鉄の爪とか装備してますからね。武器を買わずに済むモンクさんは素敵だと思います」
モンク・センシの褒め言葉に照れながらも、それを悪口に変換する
「いやあ、そんなふうに正面切って褒められるとなんだかこそばゆいなあ。でも、素手か……なら、こんな悪口はどうかな?『あら、モンクさん。武器とか、お使いになさらないんですか? ひょっとして、使わないんじゃなくて、使えないんじゃないんですか? その首の上に乗っかっているものは飾りですか? モンクさんは、なんでも寺院で日夜修行に励んでいるそうなのに、頭の中身は鍛えていらっしゃらないんですかねえ』」
センシ・モンクの自虐にうろたえる
「そんな、わたし、モンクさんのことをそんなふうにはちっとも……ちなみに、モンクさんはわたしのことをどう思っていらっしゃるんですか?」
モンク・センシの質問に答える
「それはもう、その物理攻撃に尽きますよ。ナイトちゃんもカッコいい両手持ちでの剣を振り回しますけどね、センシさんは斧だろうと槍だろうと装備しちゃって物理攻撃しちゃってるじゃないですか。どうしてそんなにいっぱいの種類の武器を装備できるんですか? わたしの周りには、剣も斧も槍も装備できる人なんていませんでしたよ」
センシ・モンクの評価に謙遜する
「いやそんな、わたしは田舎の村育ちでしたから……斧は子供の頃から薪割りに使っていましたし、槍は狩猟で動物を狩っていましたから」
モンク・センシの言葉を曲解させる
「じゃあ、わたしはこうセンシさんを煽っていいですか? 『斧ですか。戦闘にしか頭を使わないような戦闘狂がいかにも使いそうな武器ですこと。何をどうすればそんな武器が使えるようになるんですかね? 田舎村での薪割りですか。プッ。道理で。ちなみに槍もお使いになられるそうですが……槍はですね、わたしたちの世界では誇り高い竜騎士しか使えないんですよ。それを使っちゃうなんて、エチケットとか、仁義とかご存知ないんですか? 狩猟? 道理で。センシさんみたいな野蛮人らしいですね』」
センシ・モンクの煽り文句に感心する
「よくもまあ、褒め言葉をそこまで悪し様に変換できますね。怒るより先に感心しちゃいますよ。それだけの言語能力があるんでしたら、ナイトさんのご活躍の本が文句さんのおかげでベストセラーになったのも納得です」
モンク・センシの賞賛にうろたえる
「いや、そんな。わたしはナイトちゃんのすごいところを思ったままに話しただけで、それがたまたま本になって世の中に届いただけで、すごいとしたら、それはナイトちゃんがすごいんであって……そういえば、先ほどのそちらのパーティーの様子を見ましたら、センシさんもずいぶんとユウシャさんを慕っているじゃありませんか。ひょっとしたら、センシさんがユウシャさんをほめちぎれば、それがベストセラーになるかもしれませんよ」
センシ。モンクの言葉を慌てて否定する
「わたしがユウシャちゃんを褒めるのなんて、誰も興味を持ちませんよ。わたしがどうこう言っても、ユウシャちゃん本人の魅力の何万分の一も伝わらないんですから」
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