第93話実践と殺陣

アイドル

「へえ、モンスターマスターさんはこんなふうに台本を書かれているんですか。実践の稽古の台本を書こうとするとこんなふうになるんですか。なるほどねえ。こんな台本初めて見ました」


ユウシャ

「うわっ、アイドルちゃんじゃない! なんでここにいるの? ここ、あたしの部屋だよ!」


アイドル

「ベンチャーさんから、『ユウシャさんがテレビに出たいそうなんです。アイドルさん、一つアドバイスをしてもらえませんか』なんて言われましてね。で、こうして転移魔法で参上したわけです」


ユウシャ

「(ベンチャーさんがそんなことを。デシユウシャちゃんの一件ではあんなひどいことを言っちゃったうえに、エルフクイーンさんとの中継ではあんなにお世話になったのに……さらにアイドルちゃんに手伝いを頼んでくれたなんて。ベンチャーさんもテレビの普及に忙しくしているのに)」


モンスターマスター

「あの、アイドルさん、『こんな台本初めて見ました』って、どういうことですの? アイドルさんは舞台で台本を読んだりしていらっしゃるんじゃありませんか?」


アイドル

「わたしの舞台はお客さんに見せるためのものですからねえ。実戦稽古用の台本とは全然違いますよ」


モンスターマスター

「そうなんですの。では、アイドルさんは普段どのような台本をお使いになっていらっしゃるんですの?」


アイドル

「わたしのですか? そうですねえ。では、このモンスターマスターさんの台本をお客さんに見せるための演劇用の台本に書き換えてみましょうか。モンスターマスターさん、台本の形式を変えちゃっても構いませんか?」


モンスターマスター

「ええ、ぜひお願いするわ」


アイドル

「それでは……こんなふうになるんですよ」




スライムナイト役、スライムナイト。スライム役、スライム。魔導士役、魔導士。


ゾンビ役、くさったしたい。スケルトン役、ガイコツ戦士。ケルベロス役、キッズドラゴン。


日中、草原、スライムナイト、スライム、魔導士の順に隊列を組んで歩いている。


ゾンビ、スケルトン、ケルベロスの順番の隊列で、味方モンスターに襲いかかる。


ゾンビ

「きさまらが人間に従うモンスターの面汚しか」


スケルトン

「そんな裏切り者は我々が成敗してくれる」


ケルベロス

「覚悟するがいい」


スライムナイト

「同じモンスターと戦うことは心苦しい。しかし、自分達にも譲れない理由があるんだ」


スライム

「僕たちだって、ただやられるわけにはいかないんだ」


魔導士

「やるからには本気でやらせてもらう!」


スライム・ブーメランを投げつける

「くらえ! 僕のご主人様が買ってくださったブーメランだ!」


ブーメランが敵のモンスターに飛んでいく


ゾンビ・ブーメランに当たる

「なに、スライムが全体攻撃だと! そんなこと聞いたことがないぞ」


スケルトン・ブーメランに当たる

「くそっ、ゾンビにしか攻撃が来ないと思って油断した。痛いじゃないか」


ケルベロス・ひらりと身をかわす

「あぶねえ、おい、そこのスライム、味なマネをするじゃねえか」


ゾンビ・毒の息を味方モンスターに吹きかける

「今度はこちらの番だ。わが毒の息を食らうがいい」


スライムナイト・息をはねのける

「なんの、状態異常特技は成功確率が低いと相場が決まっているんだ」


スライム・息をはねのける

「そういうことだ。そんなもの効かないんだからな」


魔導士・毒に侵される

「ぐうっ、しまった。毒になってしまった。しかし、毒は戦闘中はダメージにならない。わたしは気にせずに、敵モンスターの攻撃に集中してくれ」


スライムナイト・ゾンビに斬りかかる

「了解だ、魔導士。ここは厄介な状態異常攻撃をしてくるゾンビを先に倒すが定石。ていやっ」


ゾンビ・スライムナイトに倒される

「ぐふっ。さらに強烈な猛毒の息が吐ければ。無念」


スケルトン・スライムナイトに殴りかかる

「ああっ、貴様。よくもやってくれたな。ゾンビのかたきだ」


スライムナイト・スケルトンに殴られる

「くっ、筋肉がないのにこれほどのパワーが……」


魔導士・スケルトンに火炎呪文を放つ

「とっとと火葬してやる。もっともすでに骨だけのようだがな」


スケルトン・魔導士に火炎呪文を放たれる

「熱い! 俺は土葬されてたのに……口惜しや」


ケルベロス・スライムナイトに噛み付く

「くそっ、仲間の仇だ。俺一匹になっても一つの頭で貴様ら一人ずつ殺せば丁度いいぜ」


スライムナイト・ケルベロスに噛みつかれる

「むむっ、三つの頭が同時に襲いかかってくるぞ。これは侮れん」


スライム・ブーメランを投げる

「さっきはかわしてくれたが、今度は一体だけだからな外さないぞ」


ケルベロス・ブーメランに当たる

「ぐわっ、さっきはゾンビとスケルトンに当たったせいで威力が弱まっていたのか。今回は避けられねえ」


スライムナイト・ケルベロスに斬りかかる

「わたしのダメージも相当だが、このまま押し切ってやる」


ケルベロス・スライムナイトに斬りつけられる

「まずい、もうこの頭一つしか動きやしねえ。このままじゃ」


魔導士・ケルベロスに杖で攻撃する

「もう通常攻撃で倒せそうだな。ここはマジックパワーを温存してと」


ケルベロス・魔導士に倒される

「なぜだ。魔王様への忠誠心が裏切り者の貴様らに通用しないとは」

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