第87話ユウシャちゃんマホウツカイちゃんに割り込まれる・マージャン卓にて
「(あ、マージャン卓の近くにセンシちゃんもソウリョちゃんもマホウツカイちゃんもいる。ソウリョちゃんとマホウツカイちゃんがお互いの様子をチラチラうかがっている。でも、何も言い出せないでいる。またみんなでマージャンやりたいのに、そう言えないんだ。これなら……)さあ、モンスターマスターちゃん、マージャンを試しにやってみたいんですってね。じゃあ、とりあえず牌を並べるところから始めてみましょうか。初心者のモンスターマスターちゃんなら、まずは牌を並べるところから始めないとね」
もたもた
「あー、モンスターマスターちゃん。だめだよお、そんな手つきじゃあ。そんなモタモタしてたら、いっしょにやってる人をいらだたせちゃうよ。これは、モンスターマスターちゃんがマージャンできるようになるまで時間がかかりそうだなあ」
ノロノロ
「サイコロの振り方を練習してみようか。あー、だめだめ。サイコロの降りかたにもエチケットってものがあるんだよ。そんなモンスターマスターちゃんの振り方じゃあ、イカサマだって言いがかりをつけられるかもしれないんだよ」
グズグズ
「ドラのめくりかたも練習しないとね。この牌を裏返してみて……ちょっと、なにやってるの、モンスターマスターちゃん。そんなふうにつかんじゃダメなの。指一本だけでひっくり返すのが作法なの。そうしないとすり替えだってゴチャゴチャ言われちゃうんだから」
「あー、もう! さっきからなにをグズグズしとんねん。見とってじれったいわ。モンスターマスターちゃん、ちょっとどいてや。うちらが見本見したるさかいに。モンスターマスターちゃんは初心者なんやな。ほなら、とりあえずうちらがやっとるところを黙って見物しとり。マージャン試しにやってみたいっちゅうなら、まずはそこからや」
「ええっ、マホウツカイちゃんが見本見せてくれるの? でも、マージャンって二人じゃできないんだよ」
「そんなことは百も承知や。ほれ、ソウリョちゃんにセンシちゃん。モンスターマスターちゃんがマージャン覚えたいんやと。そないなこと言われたら、うちらが見本見せないわけにはいかへんからな」
「(あ、ソウリョちゃんも苦笑いしながらこっちの卓の方に来た。ソウリョちゃんもこの茶番に乗っかってくれたんだ。よかった。センシちゃんもこっちに来るし、これでまた昔みたいに四人でマージャンができる)」
「よっしゃ。いつもの四人がそろうたな。それじゃあ、お手本見せたるさかいに、モンスターマスターちゃん、しっかり見とるんやで。マージャンなんて、見とれば自然にルールも覚えるわ」
「(モンスターマスターちゃんがあっさり卓を離れた。やっぱりそういうことだったんだ。モンスターマスターちゃんがおぼつかない牌の運びをしてれば、みかねたマホウツカイちゃんが割って入る。そうすればマホウツカイちゃんがソウリョちゃんにセンシちゃんを誘う、か。すごいなあ、モンスターマスターちゃん。よくこんなこと思いつくよなあ。しかも、自分から言いださずに、あくまで自分はただマージャンをやってみたかったってていのままでいるんだから)」
「モンスターマスターちゃん、サイコロはこう振るんやで。牌に一回ぶつけるんや。こうすれば、まず出目の操作なんてできへんからな」
「(で、結果モンスターマスターちゃんが思った通りに昔みたいに四人でマージャンができるようになったよ。センシちゃんもソウリョちゃんもマホウツカイちゃんもなんだか嬉しそうだし。本当に良かった。モンスターマスターちゃんは向こうで相変わらずニコニコ笑ってるけど、あの笑顔の裏ですごい策略めぐらしたりしてるのかな。そうでもないと、あんなにたくさんのモンスターを仲間にできなかったりするのかな)」
「で、サイコロの出た目で決まった場所から牌を四っつずつ取っていってな……」
「(それにしても、演技とは言えあんな風にモンスターマスターちゃんを悪くいっちゃったけれど怒ってないかなあ。自分でも、あんなすらすらモンスターマスターちゃんをけなす言葉が出るとは思わなかった。てっきりすごい棒読みになると思ってたのに。そういえば、前にアイドルちゃんが言ってたっけ。『自分と正反対のキャラクターの方が演じやすい』って。だから、モンスターマスターちゃんの悪口をああも達者に言えたのかな)」
「ドラはこうめくるんやで。指一本でかちゃりとな。こうすることで、隠し持った他の牌とのすりかえを防ぐことができるんや。ほら、ユウシャちゃん、なにぼさっとしとるんや。ちゃっちゃと始めるで」
「えっ、ああ、そうか。マージャンをするんだったね。昔みたいに。よし、負けないぞ」
「せっかくだから何か賭けへんか……そやなあ、脱衣マージャンはさんざんやったし、さっきみたいに寿命なんてうちら人間には過ぎた賭けのチップやし……」
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