第85話ユウシャちゃんマホウツカイちゃんに白状される・マホウツカイちゃんの部屋にて
「(ソウリョちゃんの言うこころよく思ってない人って、マホウツカイちゃんのことなんだろうな。いっつもソウリョちゃんとマホウツカイちゃんがトップ争いしてたし。それが実はソウリョちゃんが手加減してたなんてわかったんだから、マホウツカイちゃんはいい気分じゃないのかも。ああ、やっぱり、マホウツカイちゃんが部屋で落ち込んでる)マホウツカイちゃん、平気?」
「なんや、ユウシャちゃんか。平気っちゅうわけでもあらへんけど、少しは落ち着いてきたつもりや。なにせごっつい勝負やったからなあ。今思い出しても震えが止まらへんで。脇役やったうちが言うことやあらへんけどな。なんやアホらしゅうなってきたわ。変な小細工までして、ユウシャちゃんのキスをエサにトップ争いする四人を演出したつもりやったけれど、結局ソウリョちゃんとエルフクイーンの二人が別格でうちとセンシちゃんは蚊帳の外やったんやもんなあ」
「その……ソウリョちゃんのことなんだけど」
「その前にな、うち、ユウシャちゃんに説明しときたいことがあるんや」
「うん、なに、マホウツカイちゃん」
「うちがエルフちゃんに『ユウシャちゃん一行は行く先々の町の賭場をマージャンで荒らしまわっとる。出禁になって困っとるんや』なんてゆうたこと知っとるか?」
「エルフさんに聞いたよ。『ユウシャさんはマージャンがお強いんですねえ』なんて言われて困っちゃったよ」
「それは堪忍。でも、半分本当で半分嘘なんやな」
「どういうこと、マホウツカイちゃん」
「行く先々の町でマージャンで荒稼ぎしとったのは、ウチとソウリョちゃんなんや。せやから、ユウシャちゃんがマージャンが強いというわけやあらへんけど、ユウシャちゃん一行がマージャンでブイブイ言わせとるっちゅうのはまるっきりの嘘でもあらへんのや。正確にはユウシャちゃん一行の中の二人やけどな」
「ソウリョちゃんと二人でそんなことしてたんだ」
「基本、荒稼ぎしとったのはウチやけどな。けっこう自分なりに自信あったんやで。『うちはマージャンが強いな』って。ソウリョちゃんは、後ろで見とるか、ウチのアシスト役に徹するかやったわ。せやけど、エルフクイーンはんとのラストのアレがソウリョちゃんの積み込みやとしたら……多分そうなんやろな。うちにはなんとなくわかるわ。ソウリョちゃんはウチなんかよりもずっとマージャンが強くって、それを隠しとったことになるな。多分、うちが賭場でかなわん相手にでおうたらソウリョちゃんが相手するつもりやったんやろな」
「マホウツカイちゃん……」
「ああ、勘違いせえへんといてえな。別に、ソウリョちゃんを恨むとか、憎らしいとか思うとるわけやないんや。むしろ感謝しとる。仲間内のマージャンではウチを楽しませてくれたし、町の賭場ではもしもの時に備えてくれとったわけやしな。今にして思えば、井の中の蛙のウチをよう見守っとってくれてたと思うで、ホンマ」
「そうなんだ……、マホウツカイちゃん」
「今までソウリョちゃんがその凄腕を隠し通して、うちら四人のマージャンでなかようさせてもらったことはほんま痛み入るは。できれば、ソウリョちゃんがあんな積み込みをした記憶をなくしてもう一回あの頃に戻りたいくらいや。せやけど、そうもいかへんのやなあ」
「(ソウリョちゃんもマホウツカイちゃんももっと四人でマージャンをしたがってるんだ。なんとかしなきゃ。でも、どうしたら……)」
「なにせ、ソウリョちゃんの腕前を見せつけられてしもうたからなあ。これが、最初から格上やとわかっとったらそれはそれでええんや。『ぜひ卓を囲ませてください。勉強させてください』ちゅうことになるさかいな。せやけど、今まで同格やと思うとったソウリョちゃんが別格やと思い知らされてしもうたからなあ。わかっとるで。これがくだらない嫉妬やちゅうことは」
「そんな、くだらないなんて、マホウツカイちゃん」
「ええんや。今さらあの頃には戻れへんのや。またソウリョちゃんと卓を囲んでも、なんやむなしいと言うか、冷めた気持ちになってしまうんやなあ。ユウシャちゃん、とりあえず、ユウシャちゃんからソウリョちゃんに謝ってもらってくれへんか。『うちの勝手な都合でマージャンがやられへんようになってごめんな』って。今はうち、ソウリョちゃんに合わす顔があらへんわ」
「(ソウリョちゃんとマホウツカイちゃんのどっちが悪いって話でもないし、もちろん両方とも悪いなんてことでもないのに、なんでこんなことになっちゃうんだろう。ナイトちゃんが『あたしはあたしで立派なリーダーだ』なんて言ってたけど、ちっともそんなことないよ。だって、こんな時どうしたらいいかさっぱりわからないんだもん)うん、わかった。ソウリョちゃんにそう伝えておくね、マホウツカイちゃんが謝ってたよって」
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