第76話ユウシャちゃんエルフクイーンちゃんに詰問される・エルフちゃんの部屋にて0
ひゅいーん
「ふむ、ここがわらわの可愛い娘の部屋か。それで、わらわのいとしい娘をかっさらおうという不届きものはどやつなのだ。貴様か」
「ち、違います」
「ふむ、ならばそのうつけ者を早く連れて参れ。わらわがマージャンで寿命を一秒残さず吸い上げてくれる」
「(うわあ、この人は女王のエルフクイーンさんか。すごい威圧感。マオウちゃん……いや、それ以上。ダイマオウさんくらいのプレッシャーがあるかも)そ、そのお一人なんですか」
「無礼もたいがいにせい、人間ふぜいが。このエルフクイーンをお供がいなければ何もできない無能と思うでない」
「いえ、その、先程マージャンとおっしゃいましたが、マージャンとは四人でやるゲームなんですが……」
「なに言わずもがなのことをいちいち説明するのだ。回りくどいやつだな。そもそも、誰なんだお前は」
「あ、あたしはユウシャです」
「ふん、貴様がユウシャか。うわさくらいは聞いておるぞ。ではユウシャ、とっととわらわのまな娘をたぶらかした泥棒猫を連れてくるが良い」
「あの、それって、エルフクイーンさんと、エルフさんと、ソウリョちゃんとあたしの四人でマージャンをやると言うことなのでしょうか」
「なにたわけたことを言っておるのか。貴様らのような人間ごときがわらわエルフ一族と二対二で戦えると思っているのか?」
「と言うことは、エルフクイーンさんと人間三人で卓を囲むと言うことなんでしょか?」
「だからさっきからそう言ってるじゃろうが。飲み込みの悪いやつじゃのう」
「し、しかしですね、ここは人間界でして、一対三だとどんなイカサマがされるかわからないんですよ。それでもいいんですか、エルフクイーンさん」
「もちろんじゃ。貴様ら人間が三人がかりでどんなイカサマをやってこようと、このエルフクイーンが叩きのめしてみせる」
「その、エルフクイーンさん、マージャン牌はお持ちなんでしょうか」
「たわけ。わらわがそんな面倒なことをすると思っているのか。ここにもマージャン牌ぐらいあるじゃろう。はよう持って参れ」
「ですが、その、ここレトロゲームセカイ備え付けのマージャン牌を使うと、傷で何の牌かわかってしまうんじゃあないでしょうかねえ。ガン牌ってことなんですが、それだとエルフクイーンが不利すぎるんじゃあないでしょうか」
「いいかげんにせい。人間ごときがするようなガンなど、わらわにかかれば一瞬で覚えられる。ユウシャと言ったな。貴様みたいなものが考えつくことなぞわらわにはすべてお見通しなのじゃ。その上で、わらわは娘が結婚したいと言う相手とのマージャンを所望しておるのじゃ」
「そ、そんなにソウリョちゃんの寿命を吸い尽くしたいんですか」
「アホか。貴様のような低俗な発想しかできないものとわらわを同列に語るでない。わらわは娘が選んだ相手がどんな人間なのか見極めたいのじゃ。それにはマージャンが一番じゃからな。仮に、その相手がイカサマをしてでも勝つような人間で、それを娘が知ってなお結婚したいと言うのなら、もうわらわになにも言うことはない。娘の見る目を母親として信じるほかなかろう」
「(あれ、エルフクイーンさんってひょっとして……)あの、エルフクイーンさん。例えば、イカサマが発覚したら暴れ出すなんてことは……」
「だれがそんなことをするか、愚か者。わらわが暴れるその気になれば、大魔王ですらわらわを抑えられるかは怪しいがの。そんな暴力での物事の解決など被害が大きくなるばかりで意味がないとわらわエルフはとうの昔に悟っておる。最近ようやく人間どももそのことに気がついたようじゃがな」
「(つまりこういうことですか、マオウクイーンさん。いきなりかわいい娘さんに結婚するなんて言われてびっくりした。しかも相手が人間で腹ただしいことこの上ない。とりあえず反対した。だけど、とりあえずその相手の人間性をマージャンで確認したい。そのうえでどうしても娘さんがソウリョちゃんと結婚したいと言うのなら、認めるしかないと)その、マオウクイーンさん、寿命を賭けたマージャンをおやりになっているそうですが……」
「なに当たり前のことを言っておる。賭けないマージャンなぞマージャンでないわ。いいからはようメンツを揃えんか。だいたい、賭けるからこそ人間の本性があらわれるのではないか」
「(ひええ、てっきり、『これは人間性をはかるマージャンだから賭けなど不要』なんて言って、寿命が吸い取られる心配がなくなるパターンかと思ったのに……やっぱりエルフクイーンさんってよくわからない)は、はい。ただいま読んで参ります」
「さてさて、エルフ界の雀女帝と呼ばれたわらわの腕をみせる時が久しぶりに来たようじゃわい。くくく、つまらんまねをしたらどうしてくれよう……寿命を吸い取るだけでは飽き足らんからのう」
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