第19話モンスターマスターちゃんダイマドウシちゃんに形見を突き返す・ダイマドウシちゃんの部屋にて
「まったくもう、大魔導士さんったら。娘さんにあんなことまで言わせちゃうなんて。ユウシャちゃんと小魔道士さんの話をこっそり盗み聞きしていたら、とんでもないことを耳にしちゃいましたわ」
ガチャリ
「おお、バニーちゃんか。ご飯はまだですかのう。それよりも、あいかわらずいいお尻におっぱいじゃのう。ちょっくらお触りをば……と」
「大魔導士さん。これなーんだ。この杖、どこかで見覚えありませんか」
「なんですかのう、バニーちゃん。そんなもの、わしは食べられないですよ」
「そういえば、この部屋少し暑くありませんか、大魔導士さん」
「そう言えばそんな気もするかのう。なあ、バニーちゃんや。ちょっくらうちわであおいでくれないかのう」
「わかりましたよ、大魔導士さん。いくらでもあおいであげますから。それにしても、昔の大魔導士さんだったら、ちょっと部屋が暑いくらい魔法でチョチョイのチョイでしたのにねえ」
「え、なんか言ったかのう、バニーちゃんや。わしゃこの通りすっかり耳が遠くなってしまってのう。ものが聞こえにくくなることもあるんじゃ」
「聞こえないなら聞こえないでいいんですけれどね、大魔導士さん。今から言うことはわたしの独り言みたいなものみたいなものですから、聞き流すなりなんなりしてくださいな」
「バニーちゃんの腰のくびれがもうたまらんわい」
「大魔導士さん。わたしは大魔導士さんが魔法が使えなくなったとしても、少しくらいならおっぱいやお尻くらい触らせてあげますよ」
「バニーちゃんの太ももさんもセクシーじゃのう」
「わたしは戦闘魔法にしろ回復魔法にしろからきしですから、大魔導士さんの魔法を受け継ぐことはできませんけれど……ここには『魔法が使えない大魔導士なんてただのエッチちゃんじゃないの。そんなすけべガールに教わることなんて何もありませんよ』なんて言う人間はいないと思いますよ」
「その、うなじのなまめかしさと言ったら、どうにかなっちゃいそうじゃわい」
「例えばユウシャちゃんですけれど、大魔導士さん。ずいぶんと手取り足取り魔法のしごきをしたそうじゃないですか。ですけれど、ユウシャちゃんはそのことを恨んでたりはしていませんでしたよ。それどころか、まだまだ教えてもらいたそうでしたよ。それはきっと、大魔導士さんが魔法が使えようと使えまいと変わらないと思います」
「バニーちゃんの脇の下の通好みさと言ったら、ちょっとほかにはないんじゃないかのう」
「それから、ここレトロゲームセカイのスタッフさんにうちわであおがせたり、たき火をさせたりするのはいいんですけれど……それならそれでふがふがもごもご言われるよりは、きちんとお礼を言った方がスタッフさんも嬉しいんじゃあないですかねえ。『大魔道士め。これまで人間にいろんな魔法を教え込んで俺たちモンスターの邪魔をしてくれたな。そうか、魔法が使えなくなったのか。たっぷり復讐の嫌がらせをしてやろう』なんてことを言うスタッフのモンスターさんもいないと思いますよ。モンスターさんだって話してみるといい人もいっぱいいるんですから」
「おへそのチャーミングさを忘れるところじゃったわい。いかんいかん」
「とにかく、このお杖はお返しします。価値があろうとなかろうと。伝説の武器だろうとなんだろうとです。まったく、なにが形見ですかバカバカしい。ここはレトロゲームセカイなんですからね。死人がいくらでも生き返るセカイなんですよ。それなのに形見だのなんだのと。それでも大魔導士ですか。もうちょっとシャキッとしなさい」
「わ、わしゃ、モン……バニーちゃんのそんな怒った顔は好きじゃないのう。いつもみたいに聖母みたいに笑いかけてはくれんかのう」
「大魔導士さんが判断直が衰えたふりをし続けるならそれでもいいでしょうが、それもレトロゲームセカイの住人相手の話です。きちんと本当の話をしなければいけない人もいるんじゃあないですか。娘さん、大魔導士さんみたいなすごい魔法の使い手になれなかったことをかなり気にしていましたよ。かわいい娘さんにそんな思いをさせたままにしていいんですか。それだったら、魔法が使える使えない以前に、人間としてわたしは大魔導士さんを嫌いになっちゃいますよ」
「ショウマドウシが来ているのかい。モンスター……バニーちゃんや」
「ああ、それから、わたしのことをバニーちゃんと呼び続けるならそれもいいですけれど……それならわたしも大魔導士さんなんて言う他人行儀な呼び方はやめさせてもらいますよ。いいですね、ダイマドウシちゃん。文句があるなら、その口できっちり説明してくださいね。それではこのくらいで失礼させてもらいますよ。それではまた今度」
ガチャ、スタスタ
「バニーちゃん。おーいバニーちゃん……いってしまったようじゃの。ばれてしまったみたいだなあ。ま、聖母モンスターマスターちゃんの怒り顔が見られただけでもボケたふりをした甲斐があったもんだ。それにしても、ショウマドウシかあ。今更どんな顔をして会えばいいんだか」
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