人類悪

 前の記事と一緒に書き込んでしまおうかとも思ったんですが、話の焦点がぶれてしまうと思って別にしました。そんな記事です。

 ぶっちゃけこの記事は私の父に対する愚痴という形になってしまうと思うんですが、それをここに書くことを許していただければ幸いです。

 で。ひとつ前の記事で書いた通り、環境というのはとても大事なものだと思うわけです。そこで、その環境を悪いものにしているのは、まさに人類にとっての悪。人類悪だなと思うわけです。

 もちろん本人にその自覚はないことが多いでしょうけれど、その行為や存在そのものは生まれてくる新たな命を無駄にするという意味で人類悪と言えると思うのです。

 で、私の一番身近である人類悪たるところの父親なんですが。このひとは悪気はないタイプの人類悪です。つまり自分は常に正しいという妄想を持ったうえで下の世代を否定し続ける人なんですよね。

 このひとは完全に自分が上であり、他の人はそれより下であると考えている節があります。それは一種のひがみのようでもあり、つまるところ自分がこんなさえない人生送ってるのにお前が特別な人間だなんて許せない、というような感情を無自覚に持ってるんですね。

 なのでそれを身近な人間に、ぶつけやすい対象にぶつけて気晴らしをする人種なわけです。

 実は私には0歳から3歳くらいまでの普通の人間ならば忘れてしまっているような記憶が一部残っています。

 なぜかというと、それはトラウマになるほどに植え付けられた恐怖だからです。

 私が生まれてすぐ、父親がまずしたことは実の息子をおもちゃにすることでした。

 簡単に言うと父は私に対して自分より下であって欲しいという願いとか、母を奪われて恨めしいとか、そういう思いを持っていたように思います。

 なので、そんな父がとった行動はいわゆるマウントです。簡単に言うといじめ。

 生まれて間もない、まだ喋ることも動くこともままならない私に対して、「お前は俺より下なんだからな」と言い聞かせながら私の口と鼻をふさぐといういじめを繰り返しました。

 それはもう、母が目を離したすきに素早く行われ、私が窒息する寸前でもがくさまを見て楽しむというもので。当然意思表示もできない、抑えられているので鳴き声すら上げられない私はただ死ぬ思いで耐えるだけでした。

 そんな父の行動がある日母に見つかり、しかし母が父を責めても一向にやめようとしないのでついには“私を檻に入れて父の手が届かないようにする”という対策まで取られました。

 ただ、その檻といえども完全なものではなく、そしてすでにその時には恐怖を植え付けられていたので父を見ると死を覚悟するという状況でした。

 その後私が成長しても父のその態度は変わりませんでしたし、今に続く形で常に私の事を否定しながら今日にいたります。

 もうすでに私が四十を目前としたので父も歳ですし、私の方が体が大きくなったこともあって少しおとなしくはなりましたが、歳を取ったことで性格がゆがんだり、酒癖の悪さも度を増してきている状況ではあります。

 ちなみに近年最も記憶に残っている私への中傷発言は「お前は人殺しだ」ってやつがありました。

 そんな人類悪が、じゃあどうしてそもそも人類悪になったのかというのをちょっと私なりに観察して考えてみたことがあります。

 その答えとしては、人類悪である父自身が育った環境が悪かったというのが答えだと思います。

 生きていく上では何不自由なく、否定されることもなく、愛情すらちゃんと注がれて育った父ですが、唯一問題だったのはそんな父が間違った人格に育とうとしても“誰も叱らなかった”ということが問題であると私は考えました。

 父は一人っ子です。その父の母親は箱入り娘で家事をしない、自分の息子の面倒だけを見るような人だったそうです。そして父の父親というのが何でも自分でできてしまう人で、家事から仕事、おさんどんまですべて一人でしてしまう人だったとか。

 その環境で父は誰に叱られるでもなく、愛情だけを注がれて育ったらしいのです。

 つまり否定されるようなことはなかったけれど、間違いを正してくれる人もいなかった。そんな環境だったようです。

 そんな環境で育った父は間違った方向に育ったまま、今まで誰にも否定されずに生きてきたというわけです。

 ちなみにこぼれ話ですが、父は自分の両親が寝たきりになったり、病気になったり、介護が必要になっても一切介護はしませんでした。これは祖父母にとっては因果応報であると同時に、たぶん祖父母はいまわの際で育て方の間違いを感じたのではないかと私は思っています。

 こぼれ話の続きとしては、父は介護をすべて私の母に投げ出して、子育てと仕事と家事と介護の全てをこなしていた母はヒステリーになり、全てのしわ寄せを受けたのは私と姉であったという話ではあります。

 というわけで、結局人類悪を作るのは人類悪そのものであり、環境の悪さというのは世代を超えて続いていくのではないかと思う私です。

 幸いなことに姉は人格者の旦那さんと結婚して家を出ることができ、今は娘をひとり産んで家族で幸せそうに暮らしています。きっとあの家庭なら姪も健全に育つだろうと思います。

 私の方はトラウマ的に家庭を持ちたくないという願望もあり、姉と違って障害を持っていることもありますから独りで気楽に生きていくことで環境の連鎖は閉ざされそうです。

 こんなことを思うのも歳をとったせいだと思わないでもないですが、みなさんは自分が作る環境を考えて人類悪にならない、そして育てない。そんな環境を作って欲しいと思うものです。

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