反骨心

 ツイッターで「小説の書き方を言う」的なタグがあってちょっとやったんですよ。そこで書いたツイートの中でちょっと思い出したことがあったので記事にします。

 そのタグに答えた中で、「適当な作品を見たり読んだりして影響を受けたら俺だっていいもん作ってやるわボケエ! という対抗心を起こす」ってなことを回答したんですよ。これはまあ、良い物を見てそれにいい意味で影響されて良い物を作りたくなるっていう意味合いであるんですが。実はそれは半分ほど嘘です。本当は本気で「お前が作れるなら俺だって!」みたいな対抗心、反骨精神を燃やすのが半分ほどあります。

 企画交流物とかだと割と多いんですが、参加者として同じ土俵に立っている中ですごい作品を出す方がいるじゃないですか。で、企画交流だとツイッターとかで書いてるご本人がなんとなくどういう人かわかるような状況も多いわけです。そんな中で、普段自分とあまり変わらないようなことを呟いてたり、あるいは何か変なツイートばっかしてるなこの人みたいな感想を持ってしまったりするような人たちが、同じ企画という土俵で凄く面白い作品とかを出してくると「くそう! 俺だってやってやってやる!」というような感情に突き動かされて作品を書ききることが結構あるわけです。

 で、これがまあ良いか悪いかで言うとどちらかと言うと世間一般的には良いイメージじゃないですよね。でも私はこの衝動を否定したくなくて。立派な創作の動機だと思うし、とても強いエネルギーを生み出しているのも確かだと思うわけです。

 そんなところで。カクヨムに掲載している拙作の『始まる途上の冒険者』なんですが。これが要するにその反骨精神で書いた作品だったりします。

 この作品を書き始める前、丁度当時の仕事場で暇をつぶすために一冊ライトノベルを買いまして。もうその時点で小説そのものを読むことからだいぶ離れていまして、とりあえずタイトル買いしたんですよ。それがVRMMOを題材とした作品で、ネットから書籍化とか書かれていたわけです。そしてそれを読んだのが『始まる途上の冒険者』を書く動機となったのです。

 要するに、ありていに言ってしまうとそのライトノベルに対抗心を燃やしたんですよね。

 実はそのライトノベル、ここまでタイトルを伏せているのでお分かりかと思うのですが。私としてはすっごくつまらなかったんですよ。で、そのつまらないと感じたものが書籍化したのかーって思ったわけです。そこで思っちゃったんですね、このくらい私にできないわけはないと(笑)。より正確にはこれよりましなものならかけるぞっていう確信くらいのものだったんですが。

 まあともあれそうやって書かれてしまったわけです。『始まる途上の冒険者』。

 書きあがりを自分で見た結論から言えばぶっちゃけ「面白い駄作」です。

 自分で書いたものである以上どう言おうが自由ではあるわけですが、私は自分の作品を面白いと思って作っているので面白いという評価は前提条件で付いてきます(笑)。で、それはそれとして。書いた本人としてはやはり駄作の部類だなとは思うわけです。

 理由としてはとても簡単で。書きたいことだけをダイレクトに勢いで書いているので中核以外は曖昧なんですよね。主に設定とか。

 つまるところ当てつけに書いた感じが強いわけです。作者としては(笑)。

 ただこれはこれで書きたいことを書いているので好きなんですが。冷静に評価したら駄作ではあるわけです。

 そんな駄作ですが、これも立派にちゃんとした作品ではあるわけで。少なくとも書いた本人は作品として作り上げられていると主張します。

 なのでこの対抗心とか反骨精神というのはそれはそれで否定すべきでないものだと思うわけですね。駄作ではありますが、面白いと思う作品を作っている動機ですので。

 世の中全部駄作じゃだめってわけじゃないと思うんですよ。このように作られた作品である以上高尚とは決して言えないものですが、目的をもって面白く作られるならそれはなんだっていいと思うわけです。

 そんな感じで、私は結構この反骨精神で動くのが嫌いじゃなかったりするわけです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る