第3話 裏の仕事
とあるアパートの1室
「あ、テレビを付けっぱなしでうたた寝してたのか・・・」
眼前にあるテレビはいつの間にか砂嵐になっていた
そしてテレビを消そうとリモコンを手にしたときに
砂嵐から何かが聞こえてくる
「・・・・けて・・・」
「!」
「たすけて・・・」
その声はスピーカーではなくテレビの中から聞こえていた
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配属から1か月が経過していた
「あれ~、うち電気屋でも始めるんですか?」
「どうしようかね、このテレビの山」
「とりあえず事務所の中では邪魔になるので一旦倉庫へ移動しましょう」
「ところで、どうしたんですかこのテレビの山?」
「なんでも、夜中に声が聞こえてきて気味が悪いってことでここに運ばれてきたんだけど」
「それが不思議なことに大北区に集中していて、病院関係の人から気味が悪いから引き取って欲しいってことで運ばれてきてるのよ」
「テレビに問題はなさそうなんだけどね」
テレビを移動させていると1本の直通電話の呼び出し音が事務所に響く
その瞬間その場にいる全員の動きが止まった
この会社の会長は霊的な物を収集している、初めはそういう趣味の持ち主なのかと思っていたが、その執念が尋常ではない、なぜそういう物が必要なのか、なぜその場所が分かるのか、知る由もない
事務所には会社の上層部から直通回線が引かれており、そこから電話がかかってくると皆の空気が変わる
電話の内容は待ち合わせ場所の指定と物の回収のみ
失敗は許されない
今回から自分が同僚と2人で行く事となった、初めての仕事である
指定の時間は夜の9時場所は会社の裏通りだった
指定の場所に同僚の小池さんと向かう、小池さんは自分より少し年下の32歳、この部署に来てから半年らしい
それまでに何人か居たようだが、すべて怪我などでリタイアしている
初めの頃は危険な状況が続いていたが最近では護衛の人たちがすべてやってくれるので簡単らしい
指定の場所には黒塗りのワゴン車が止まっていた
護衛は4人、アルファ、ベータ、ガンマ、デルタとしか小池さんもこの名前知らない
小池さん情報ではアルファはリーダー的な存在で、ガンマは主に偵察係、デルタは唯一の女性だ
車のドアが開き2人は車に乗り込む
「これから大北区の公園へ向かう、2人は車から降りずに待機していてくれ」
「物を回収してきたら渡して会社まで送る、それが今回の任務だ」
小池さんは、簡単だろって感じの目で合図を送ってきた
やがて車は公園へ到着し、ガンマが車から降り偵察に向かう
しばらくするとガンマから連絡がる
「アルファへ、標的はそちらへ移動中、あと10秒くらいで目視の距離に到着するはずだ」
英二郎はこれからいったい何が起こるのか緊張していた
「目撃者がいるとやっかいだ、車の影に入った瞬間に奪うぞ」
3人は車から降り、男からは見えない車の影に隠れた
10秒後、トレンチコートで何かを隠すようにこちらへ歩いてくる1人の男が現れる
トレンチコートを来た男が車と重なった瞬間、男の前にベータが飛び出した
男の表情が狂気へと変わる、男はコートに下に古びた小刀を手にしており
下段からベータに素早く切りかかった、事前情報を知らさえれていたベータは寸での所で躱し、小刀は空を切る
手が上がっりきったところをアルファが背後から小刀の持つ手を持ち捻り上げようとした
通常なら190センチはあろうかと思うアルファの力を160センチ程度の男が抵抗できるはずがない
しかし男は何かに取り付かれている様な異常な力で抵抗している
アルファは後ろへ倒そうと顎を掴み後ろへ倒そうとするが男は根が生えているかのようにびくともしない
男は振り上げた刀を逆手に持ち変える、自分もろともアルファを刺そうとしている
とっさにベータも加勢し小刀を奪おうとするが握力が強すぎて手から離れない
異様な力比べの緊張感の中、デルタが車のバックドアを開け棒を取り出し
「ベータどいて!」
ベータが離れた瞬間、バチっと火花の様な物が見えた
アルファも咄嗟に後ろへ逃げていた
電気ショックを受けた男は動きが止まった
ベータは警棒を取り出し、小刀を力の限り殴りはじき飛ばした
男は手から小刀が離れた瞬間その場に崩れ落ちた
デルタが男に駆け寄り状態を確認する
どうやら問題ないらしい
ガンマが落ちた小刀を回収し、木の箱に入れ持ってきた
自分以外ここにいる誰もが気付いている様子はない
英二郎にはこの小刀に禍々しい黒い靄の様な物が纏わり付いているのが薄っすら見えていた
こんな物を集めていったい何を考えているのか、この時、英二郎は嫌な予感を感じていた
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