第2話 1か月が経過した

配属から早1か月が経過しようとしていた


課長の所に案件の電話が掛かってきた元居た営業部の課長かららしく不可解なことで困っているらしい


病室のナースコールブザーが誰もいないのに鳴るから気味が悪いと連絡があり、原因も分からずとりあえず機材を一式交換したのだが、交換しても同じ症状が起きるため頭を痛めているらしい


課長曰く、”困っている人がいるのであれば手を差し伸べるのが当たり前!”と元居た部門だということもあり白羽の矢が立った。


今回は雪音さんが同行することとなった


雪音さんとは普段会社でも会話は特にない、見ていると生きている人間にあまり興味がなさそうな感じだ、物に向かってよくブツブツ言っている、はたから見るとかなりやばそうな人にしか見えない


病院までの道のりも一切口を開かない、初対面の人なら無言の方だと機嫌が悪いのかと気を使いそうだ


やがて病院へ到着する


病院は郊外にある総合病院で、郊外型の為か比較的ご高齢の方が多く、入院患者も8割強がご高齢の方である


その為か院内で亡くなる方も多く、霊的な現象が起きても不思議ではない

休診時間帯のため病院の1階の廊下には患者はいない


どこの総合病院でも見かける霊たちが、薄っすらとした煙のような状態であちらこちらでユラユラしている


こういった霊のほとんどは人が歩くと後ろを付いていき、人が病院を出ようとすると、また元の場所に戻ってくるを繰り返している。


おそらく1週間以内に亡くなった人の霊だろう、こういった霊は特に害もなく自然消滅していく、特に触れてもその人の薄っすらとした記憶が流れ込んでくる、家に帰りたいなどの残思が伝わってくる。


初めて来た場所なのにデジャブを感じることがあるが、敏感な人はそういった残思の影響を受けたせいであろう。


雪音さんにはこのことは黙っておくとしよう


問題の病室は3階である、上に登るときはいつも階段を使っている、エレベーターの狭い室内では残思からの逃げ場がないので使わないことにしている。


問題の病室はナースセンターの前にあり、部屋には患者が誰もいない状態となっていた。


さてさて、問題の場所だが、予想通りというかやはりというか・・・

ここで亡くなられた方の残思が霊的なエネルギーを生みいくつも重なり合って非常に濃くなっている状態だ


その濃くなった残思がナースコールに絡みつき必死にボタンを押そうとしているのだろう、おそらく何百、何千という回数を押すことで機械の電気的な部分に影響を与えてしまっているに違いない、これでは何度機械を交換したところで同じ現象が続くだろう。


ただ不思議と恐怖は感じない、人の行きつく先なのだろうか、と考えてしまう。


雪音さんにこのことを伝えると、雪音さんはなにやらカバンをゴソゴソして消臭剤のスプレーを取り出しベッドへ吹き出す、そうしてなにやら鐘のような物を取り出し

キーンと鳴らしだした、さすがに病院で鐘の音はまずいだろう


「雪音さん、病院でその音は怒られるのでやめた方がいいですよ」


雪音の手が止まる


「霊はどうなってますか?」


「んー、見た感じは少し薄くはなっては来ていますね」


すると雪音はキンキン鳴らしだした


流石に音を聞きつけた看護婦長さんに案の定怒られた


ただ一定の効果はあったのだろうか少し霊の数が減ってきているように思えた


「雪音さん、もう霊は消えたので大丈夫です、帰りましょうか」


雪音は不満げに部屋から出ていった


雪音が部屋から出ていったのを確認し、とっておきの石を取り出しベットへと近づける、すると石はベッドの上の霊をすべて吸い尽くした


何を考えているのかわからない雪音にこの石だけは絶対見られないようにしようと思いその場を離れた。






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