第126話 ファッションヤンキー、その眼の力を確かめる
星のシャワー、えぇこのステージと相まってとてもメルヘンチックだと思います。ただそれが流れ星のように燃え尽きるんじゃなくて雨のように降ってこなければの話なんだけどね!?
「鬱陶しいのぉ!」
傘なんて持ってる訳のない私は星の雨に晒されることとなる。ハハッ濡れて気持ち悪い思いをしないだけましだね。その分ダメージはあるけども。ただ、思ったよりは痛くない。星が落ちてくるなんて聞けば危険に聞こえるが、1つ1つのダメージは微々たるもの。勿論食らい続けていい事なんてないので、さっさと攻撃範囲から外れよう。本物の雨のように動いたりしないみたいだからね。それにしてもこの地面!ふかふかすぎ!これ、震脚使えなさそうだなぁ……ズボッていきそう。
さて、やってくれたからにはお礼をしないとね?ってあれ?杖こっちに向けてんね?あれ?普通こっちのターンでは?
「"スターショット"!」
何か杖からでっかい星型の物体飛び出たんだけど!?かなりの速度でこちらへ向かって来る。中々に迫力はあるけれど、避けなくても大丈夫かな?寧ろ――その勘に従い私は、巨大な星に向かって"猪突"を発動させる。移動するときは犀繰に乗るから、久しぶりに発動させるこのスキル。発動させると同時に、私の足は一直線にスターショットへと向かう。
あのー、自分で発動させておいて本当になんなんですけど、このスピードでスピードのあるものと正面衝突するって中々の恐怖体験でありまして。さらにはターンアタックのために防御行動も取れないし――なんて考えているうちに激突しました。逆に恐怖感薄れたねやったね!じゃないんだよ。
ただ、大ダメージを負ったわけではないようだね。スターショットとぶつかったことで"猪突"は効果を失い、同時にスターショット自体も消滅する。視界も開け――正面には何が何やらとでもいいだけな表情をしたぱくあぷさんが立っていた。
「えぇっ!?近づいてないですか!?」
「そりゃ直進したけぇのぉ」
「肝据わり過ぎじゃないですか?」
多分褒められてないな?呆れられてるね?だけどいいのかな?油断しているようだし今度こそ行かせてもらいますよ?本日お披露目"暴龍眼"発動!発動したのはいいけどこれ、発動したらどうなってるんだろうね。あとで犀繰に見てもらおう。さて、ぱくあぷさんはーっと
「えっ何その眼っ――は―えっ――?」
おや?その場から動けないのは、元々の威圧眼の時からそうだったけど何やら口をパクパクさせてない?ぱくあぷさんだけにー?なんて言ってる場合ではないね。動きを止めたんだ、ここで攻撃しなきゃね!私は再度"猪突"を発動!隙だらけのそのお腹に――
「ボディタックルじゃああ!」
「ぶっへぁああ!?」
おぉう、ゴブリン相手に猪突でボディタックルは良くしたけど、プレイヤー相手でも結構吹っ飛ぶんだねぇ……あ、でも落下ダメージはあんまりなさそう。ホテルのベッドに飛び込んだように弾んでるよ。
会心の一撃だったけど対戦終了のアナウンスは流れていないからまだ生きているみたいだ。あーほら、起きた。
「お腹に一撃とかこちとら女の子ですよぉ!?」
「奇遇じゃのぉ、俺もじゃあ!」
「えっ?」
「えっ」
「女顔のヤンキーってRPじゃなくて?」
「男ヤンキーのRPじゃけど」
「えっ」
「えっ」
「何か……すいません」
「謝らんといて?」
変な空気が流れちゃったじゃないか!まぁ男……ヤンキーっぽく振舞ってるから男と間違えられるのは望むところだけどね?
気を取り直してと言わんばかりに咳払いをするぱくあぷさん。私もそれに倣い真面目な顔をしておこう。
「厄介な目を持っているようですね……まさか喋りにくくなるとは思いませんでした」
「ほぉ、言葉が詰まっとったんかあれ」
「ですが、また距離を離させたのが運の尽きですよ!もう一回"スターショット"!」
おっと?またもやスターショット?いやはや、これとスターシャワーしか魔法が無いのかな?まぁそもそも避けれるスピードでも無いしもう一回"猪突"でぶつかり稽古させて貰おう。よし、2回目ともなれば馴れてくるね。んじゃもっかいぱくあぷさんに――あれ、何で壊したはずのスターショッ
「おぶっ!!」
「ふふふ、何も魔法発動中に魔法を発動できないわけじゃないんですよ?」
吹っ飛ばされこそしなかったけど、予想外の一撃に怯んでしまった。まさか、スターショットの後ろにもう一発スターショットを隠していたなんて……そうだよ。何で魔法を複数発動できないなんて思い込んでたんだろ!
「さぁとどめと行かせていきますよ?」
そう言うと、ぱくあぷさんは杖を私の方へ向け不敵に笑う。不味いなぁ、流石にHPも切れかけてきた。ぱくあぷさんもそれは同じだろうけど、距離が離れ……あーそうだ、使おう。MPを消費して……発動!
「うわっ眩しっ!?えっ?オウカさん目光ってません?え?何それ怖い!?どうなってるんですかそれ?人間ですか?」
「一応ヒューマじゃけど」
私の突然の目の発光に一瞬怯んだぱくあぷさん。杖もそれに合わせて降ろしてしまう。その瞬間を、油断を待っていた!私は目を細め光を凝縮させる。そうして出来た光線はぱくあぷさんの胸を貫いた。
「――え?」
驚愕に目を見開くぱくあぷさん。
「悪いのぉ、遠距離攻撃持っとるのはアンタだけじゃなかったって事じゃ」
「最近のヤンキーって……目からビーム出るんです?」
"『オウカ』WIN!!"
「いや、ヤンキーは目からビームは出さん」
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