第105話 ファッションヤンキー、嫌な予感がする
「全く、やり辛いな」
「そりゃこっちの台詞じゃあ!」
不動嚙行と土蜘蛛の大剣がぶつかり合う。これで何度目だろうね。幾度となく攻撃をしようとしてもその全てを防がれる。不動嚙行がただの木刀だったらすでにぶっ壊れてるよ!?
それにしても何ともイライラする状況だ。対する土蜘蛛は至って平静を保っているからなお私のイライラを加速させる。
さてと、どうこの状況を変えましょうかねと思ったところで土蜘蛛が話しかけてきた。
「どうすれば引く?」
ははっ何聞いてんだこいつ。殴っておいて復讐も果たせず帰れって笑わせんぜ!
「後ろで伸びとるやつ殴らせてくれたら引いちゃるわ」
「それは困る。こいつは作戦に必要だ」
ハイ交渉決裂ぅ!決裂代わりにゴブリン棍棒をぶん投げてあげたけど片手で払われちゃったよ。流石に前衛っぽい奴に不意打ちなしにゴブリン棍棒は効かんよね。私なら多分払わなくてもダメージ無さそう。
そこで土蜘蛛が脱力するように大きくため息をついた。おん?黒ずくめ君を守るのを諦めてくれたのかな?
「これ以上は無駄に時間を労するな……仕方ない。とっととケリを付ける」
「あン?」
何言いだしてんの?なんて思っていたら眼前の土蜘蛛の姿が消え腹に衝撃が走った。視線を落とすとそこには低い体勢で私の腹に大剣を突き刺す土蜘蛛の姿があった。
これ、踏ん張り所の効果が無ければ吹っ飛んでたよね!?それ程の衝撃だったよ。んでもって土蜘蛛が突っ込んできたことに驚いた私同様に吹っ飛ばなかった私に土蜘蛛の方も驚いたようで――
「……なんだお前」
「自己紹介しとらんかったのぉ、オウカじゃ。夜露死苦ぅ!」
呟くだけで隙だらけだったんですもん、私だけダメージ食らったの癪だったんですもん。なので固まってる土蜘蛛の脳天を叩き落としてあげましたとも!あっはは!ようやく一撃入った!代償はデカいけれどね!ケリをつけるとか言っておいてつけられてザマァだよ!
にしても我ながら良い一撃放っちゃいましたねぇ。土蜘蛛の頭、地面に減り込んじゃってるよ。それでも消滅しないってことはまだ生存はしているんだろうね。私同様丈夫なんだろうね。だとしても大ダメージには間違いないけど。
「嘘っ、リーダー!?」
おーおー、帰蝶もリーダーの惨状に気付いたのか焦った声を出しなさる。だけれどあなたは犀繰に集中しなきゃダメだと思うよ?ほら轢かれ……チッ避けたか。
帰蝶の方はこのまま犀繰に任せても大丈夫かな。こちらはこちらでさっさとケリを付けさせてもらおうかな。土蜘蛛倒してその後は黒ずくめ君ね。
ただ、私何となく分かるんだ。こうやって勝ちを確信した時次なる困難が待ち受けていることを……!むむっ、何者かの気配ってか音!新手か!?
"ファンキースパイダー"
oh……君かぁ。あぁでもベビーファンキースパイダーじゃなくてノーマルなファンキースパイダーなのね。よく見ればちょっと大きいわ。いや本当に最近蜘蛛に縁があり過ぎだよね。笑っちゃうくらいだよ。しかし、この程度だったらプチっと――
"ファンキースパイダー""ファンキースパイダー"
あれ?増えた?しかし、許容範囲ではあるよねこれなら――
"ファンキースパイダー""ファンキースパイダー""ファンキースパイダー""ファンキースパイダー""ファンキーポイズンスパイダー""ファンキースパイダー"
少し落ち着かせてほしい。状況を見させて欲しい。え?この近くにマザーファンキースパイダーでもいるの?何でこんなに急に蜘蛛が沸いてるの?
ちょっとこれは犀繰の力を借りなければ私単体ではキツイ……うん?今なんか文字数多い蜘蛛いなかった?ちょっと嫌な予感が沸々と沸いてきたんですけど?ああん!また何かザッザッ聞こえてきたぁ!
"ファンキースパイダー""ファンキーヘビースパイダー""ファンキースパイダー""ファンキースパイダー""ファンキーパラライズスパイダー""ファンキースパイダー""ファンキースリープスパイダー""ファンキースパイダー""ファンキースパイダー""ファンキーポイズンスパイダー""ファンキースパイダー""ファンキースパイダー""ベビーファンキースパイダー""ファンキーパラサイトスパイダー""ファンキースパイダー""ファンキースパイダー""ファンキースパイダー""ファンキースパイダー""ファンキースパイダー""ファンキースパイダー""ファンキースパイダー""ファンキーフレイムスパイダー""ファンキーファンキースパイダー""ファンキーメデューサスパイダー""ファンキーフライスパイダー""ファンキースパイダー""ファンキースパイダー""ファンキースパイダー""ファンキースパイダー""ファンキースパイダー"
あきまへんわこれ、悪い予想当たっちゃったよぉ。いや待て!こんな事態、土蜘蛛たちにとってもピンチなはず!今だってほら、倒れている黒ずくめ君を襲い……何で避けてんの!?いやいや、もしかしたら弱い奴は後で叩く主義なのかもしれない大群でも油断しないんだね蜘蛛たちは。であれば土蜘蛛のことは無視できないよねアイツ強いもんほら――
何で土蜘蛛も無視して私に向かってきてるの!!!???
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