第62話 ファッションヤンキー、最後の箱を開ける
私としたことが失念していた!……いや、私なら失念いくらでもするよね。じゃなくて!プレゼントボックス探す作業より他の出来事が楽しくてイベントの事をすっかり忘れてたよ。
とりあえずプレゼントボックスを探して開けよう。スルーしても別にマイナスになるようなことは無いけど、開けることで何かしらのアイテムをもらえるのは間違いないのだからね。
私の絶叫に驚き肩を竦めているメゾフォルテさんに解散を告げる。……ちなみにメゾフォルテさんは3つ全部開封済みだった。偉い。
「うおおおおおおおおおおお!!!」
私が駆けるはポートガス街道の少し外れたところ。前にリヒカルドに聞いたけど、整備された道ではモンスターの出現率が下がるらしい。だから外れを猪突で爆走してその勢いのままモンスターをバッタバッタと倒している。ゴブリンに一本角を生やした兎、グレイウルフなど……時にはプレゼントボックス持っている個体もいたけど出来れば……!出来ればもうちょっと強いやつが持っているプレゼントボックスがいい……!ということでスルーしています。
どこじゃあ、私の追い求めるプレゼントボックスは!残り時間は1時間45分!うおおおおおおおおお!女の子らしさなど知るかぁ!私は今ヤンキーじゃああああ!!
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「なぁにこれぇ」
全力で走ってる最中に遠目に見つけた池。もしかしたら魚系のモンスターでもいるのかなと思って近づいてみたんだけど……あまりの衝撃に思わず自分のキャラ忘れちゃったよ。だって池だと持ったこれ、ぷるぷるしているんだけど。ゼリー?ゼリーにしては自分からプルプルしてるよね?不思議……いや、うんスライムだよこれ!
池に擬態しているわけではない、よね?なんてことを考えていると池スライムが波打つように動き始めた。ま、まさかこんなでかいスライムを相手しなければいけないの?うん?
PON!
あ、池から通常サイズのスライムが出てきた。飛び掛かってきた。え?とりあえず右ストレート。爆発四散。あ、スライムの核ドロップした。……うん?
POPON!
今度は2匹スライムが池から出てきた。飛び掛かってきた。対して速い速度で来た訳じゃないから片方をむんずと掴み、もう片方に投擲。ぶつかり合った2匹は爆発四散。やっぱりスライムの核をドロップ。……この流れは
POPOPON!
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!これどんどん増えていくやつだ!予想通り今度は3匹のスライムが現れたよ!問題なく倒せるけど面倒極まりないなこれ!うん?待って?……あぁっ!やっぱりそうだ!この池スライムの底、プレゼントボックス沈んでるじゃん!よく見ると池スライムのかさが減っているっぽい。これはこのままスライムと戦い続ければいずれ池スライムは干からび、プレゼントボックスを取れるようになるということ?時間は……1時間。うん。
「やっちゃろうじゃねぇか!!」
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精神摩耗しそうです、オウカです。スライムの強さは大したことないです。とても弱いです。体力にも余裕があります。でも同じモンスターをぷちぷちと潰していく作業は……飽き飽きだよ!はい50匹目ぇ!
次のスライムの団体様は……51匹!あーもう、時間は!?あと30分!後で数えるけどこれ結構私倒してるよね!スライムキラーだよやったね!
はい、まずは震脚。転ぶことの無いスライムだけど、震脚を使うとボールのように大きく跳ね上がる。すかさず猪突を使用し、スライムの群れに突っ込む。ふふふ、この一連の行動、一気にスライムを狩ることが出来るのは良いんだけど、スライムは倒されると一定確率で水のように弾けるから……今の私びしょびしょ。ま、透けないんですけどね?
はい、スライムたち集まってー。はい、震脚。はい、猪突。これ少なくとも広範囲に影響及ぼすスキル持ってないソロプレイヤーは時間滅茶苦茶かかるよね。
さて、最後の1匹を踏みつぶして終了っと。次に52匹のスライムが現れることは……無かった。最初から最後まで特に能力のないスライムばっかりだったなぁ。いや、そこに救われたというべきかな?下手に状態異常振りまくような強いスライムが紛れていたらそれこそ私では倒しきることは出来なかっただろう。
おっと、イベント終了まであと25分か。さっさとプレゼントボックスを開けちゃおう。
スライムがいなくなりすっかりただの穴と化してしまった池。いや、元の姿に戻ったというべきなのかな?それでもただの穴なんだけど。転ばないようにゆっくりと底に向かう。おっとと、危ない。
「しっかし、スライムの中にあったのにプレゼントボックスは全然濡れとらんのぉ。」
ぐしょぐしょでも嫌だけどね?さて中身はーごまだれーっと……こ、これはぁ!?
"スライムの髪留め"
普通に可愛い髪留めが出てきちゃったよ……駄目だよこんなの出ちゃあ……ヤンキーの私には外れアイテムだよ……何このオチぃ。
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