第27話 カトリーヌ
「私はおまえの曾祖母だよ。」
現れたのはセーラ姫の曾祖母だった。
「セーラ、カトリーヌおばあ様よ。」
「カトリーヌおばあ様!? おばあ様というには、若すぎるような?」
確かにカトリーヌおばあ様は、若くてピンピンしており、祖母のクリスティーナよりも若そうに見えた。
「それはそうよ。だってカトリーヌおばあ様は生きているもの。」
「ええー!?」
なんとクリスティーナとアンジーは死んでいるのに、曾祖母のカトリーヌは生きているというのだ。
「ど、どういうことなの!?」
「カトリーヌおばあ様は、若い頃、勇者をやっていたの。そして世界を救うために魔界にやってきて魔王と戦った。そしたら戦いの中で、おばあ様と魔王に愛が芽生えたの。」
これが世界から魔物が消えて人間界が平和になり、世界を救った勇者カトリーヌは魔界から帰ってこなかったという伝説の真相であった。
「うそ!? ほんとう!?」
セーラ姫は、勇者と魔王の禁断の愛が信じられなかった。
「魔王様がモフモフしていて可愛かったの。キャハッー!」
モフモフ魔王ネロは勇者カトリーヌのタイプだったみたいだ。
「それでカトリーヌおばあ様は、魔王様から永遠の若さを授けてもらったの。だから年を取らずにいつまでも若いままなのよ。」
「羨ましい。」
永遠の若さは、女性の永遠の憧れである。
「でも、こうして家族が揃うと爽快ね。気持ちがいいわ。」
「そうですね。勇者から魔王、死人に不老不死に人間。いろいろいるからね。」
「私たちは、いったいどんな家族ですか?」
「ハリウッド4姉妹でいいんじゃないですか?」
「いいわね。ハリウッド4姉妹! スピンオフで劇場版ができそうね。」
女性が4人も揃うと話が尽きることはない。
「あの盛り上がっている所を恐縮ですが、さっき魔王の城が大変だとか言ってませんでしたっけ?」
「あ! 忘れてた!」
ついつい楽しいと本線から脱線するものである。
「魔王の城が危ないのよ! 真に新しい魔王7将軍の軍勢が魔王の城を襲っているのよ!」
「なんだって!?」
「今、魔王の城には二日酔いの元祖、魔王7将軍しかいないわ!?」
「酔ってないのって、アロアだけだわ!?」
水龍様をやっていた嫉妬のレヴィアタンの帰還を祝って、魔王サタンたちは盛大に飲み明かし、本日は二日酔いで定休日だった。
「急いで魔王城に戻ろう!」
俺たちは来た道を必死に戻ることになった。
つづく。
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