第25話 クリスティーナ

「ラース、助けてくれて、ありがとう。」

 俺は命の恩人の新しい魔王7将軍の一人、悪魔の怒りのラースにお礼の感謝を伝える。

(な、なによ!? べ、別に私はあなたを助けた訳じゃないわよ!? 私は自分のためにやっただけよ!?)

 他人から感謝されることのなかったラースは少し照れて、照れを隠すように怒った口調で反論する。

「素直じゃない性格だな。」

(僕らもラースを仲間にする時は、すばしっこいし消えるから捕まえるのに疲れたよ。)

「そうなんだ。」

 でも、俺は思った。俺に声をかけてくれたり、俺を助けてくれたり、ラースも一人ではいたくないんだと俺は素直に思った。

「俺はアーサー。ラース、おいで。友達になろう。」

 俺は鬼ごっこでラースの肉体を捕まえるのではなく、ラースの心を捕まえようと考えた。

(と、友達!? ど、どうしてもというのなら、なってあげてもいいわよ。私の友達のエンビが友達だから友達になってあげるのよ。あなたを好きとかじゃないから、勘違いしないでよね!)

「それでいいよ。ラース、これからよろしく。」

(は~い! おっと!? 別に喜んでなんかないからね!?)

 ラースは幽霊で彷徨っているより、友達ができて嬉しそうにファントムのハリウッドに入っていった。

(よう、ラース。久しぶりだね。)

(エンビ! なんであなたが私より先に友達になってるのよ!?)

「うわあ!? 俺の体の中から声が聞こえてくる!?」

 俺は慣れるまで悪魔たちの声が聞こえてくるのを気持ち悪いと感じる。

「アーサー、大丈夫? あなたさっきから一人事ばっかりよ?」

「え?」

 俺はセーラに言われて、幽霊の姿と声が聞こえるのが自分だけだと気づいた。

「ジロー。」

「可哀そうね。若いのにボケたのかしら?」

 自分がかなり危ない奴だと、ヘスティアーやスカーレットからも思われていることを知った。

「もう話は済んだか? 今度こそ、聖剣エクスカリバーのハリウッドを目覚めさせてやる! いくぞ! ソード・プレッシャー・ブレード!」

 ブラピが剣圧の刃を乱射して攻撃してくる。

「いくぞ! ラース!」

(おお!)

「ファントム・イリュージョン!」

 ブラピの剣圧の刃を俺はラースのスキルに助けられ、攻撃に当たらずにかわしていく。

「いける! これならいけるぞ!」

 俺は最強のハリウッドの攻撃を防げていることに自信を持つ。

「キャアアアアアアー!」

 しかし、乱射したブラピの剣圧の刃がセーラ姫を襲う。

「あなた! 孫を殺す気ですか!?」

 その時、剣圧の刃を素手で掴み止める女性が現れた。

「クリスティーナ!?」

 つづく。

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