第5話 ヘスティアー

「何~!? 冥界に行くだと!?」

 話を聞いてデミ教皇が絶叫している。

「ダメ~! あなたは正当なハリウッド王家の血を引いたプリンセスなのよ! 冥界に行ったら生きて帰ってこれないわよ! 冥界は恐ろしい所なのよ!」

 セーラ姫はアンジーの娘であり、祖母はクリスティーナである。クリスティーナの両親は勇者カトリーヌと魔王ネロである。カトリーヌはハリウッド国王のウイリアムス王の娘である。

「行くわ! 私が行かないと、アーサーが元に戻れないもの!」

 頑固なセーラ姫は譲らない。

「困ったわね。私たちもついていってあげたいけど、地上で魔物を倒さないといけないし。」

 話は平行線で進まなかった。

「そうだ! ヘスティアーを連れていきなさい! 彼女なら軍務をしていないから連れていっていいわよ!」

 ヘスティアーは炉の女神で、家庭生活の守護神である。

「いらない! あんな引きこもり! 家でゴロゴロしてるだけじゃない! なんでヘスティアーなのよ!」

 セーラはヘスティアーの同行は断る。

「ヘスティアーなら、魔物が攻撃して来たら盾にできるわよ。」

 アテーナーはヘスティアーを盾代わりにしようと提案する。

「それはいいかも。キラーン。」

 セーラは冥界に行くことを許してもらうために、10司教の一人、元の女神のヘスティアー司教の動向を認めた。


「え? ええー!? なんで私が冥界なんかに行かないといけないんですか!?」

 もちろんヘスティアーは断固拒否する。

「ヘスティアー! あなたが一緒に来ないと、デミ様が私が冥界に行くことを許してくれないのよ!」

 セーラはヘスティアーを引きずってでも冥界に連れていくつもりである。

「嫌だー! 殺される! もっとお家でゴロゴロしていたい!」

 抵抗するヘスティアーは家の柱にしがみつく。

「とほほ。」

 ついにヘスティアーは観念した。

「行くわよ! レッツ・冥界!」

「おお!」

 俺とセーラ姫は冥界にいる死神リッパーの元を目指す。俺の魂を体に戻す方法を聞きに行くためだ。

「そう簡単に冥界に行けるかな?」

 その時、魔物の群れが現れた。スライムの顔に白タイツ、スライムの顔に黒タイツ、これで舞台化もOK。

「お、おまえは!? ベリアル!?」

 魔物の群れを引き連れてきた美しい人がいた。

「綺麗な人。」

「アーサー、浮気したら殺すわよ。」

 絶対にアーサーは他の女性を見ることができないシステムであった。

「あんたたち何を言ってるのよ!? ベリアルは悪魔よ! 悪魔!」

「なんですって!?」

 天界の神不在は人間界に悪魔をもたらした。

 つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る