第4話 ルシファー

「嘘を言うな! 天界には、唯一無二の絶対神ルシファーがいるではないか!?」

 神ルシファーは、天界の唯一の神である。元神であるアテーナーたち10司教は、ルシファーに天界から追い出されて、人間になった経緯がある。

「そのルシファーが天界にいないので、神の睨みが効いていないから、魔物や悪魔が人間界に出没するようになったのだ。」

 冥界ハーデースの言うことは辻褄が合っている。

「それなら上級天使がいるではないか?」

 上級天使とは神ルシファーの使途である。

「上級天使が強かったのは、ルシファーから無尽蔵にエネルギー供給されていたからだ。神がいなくなれば、天使など只の人だ。弱い人間でしかない。」

 神の力は偉大であった。

「もし本当であれば、天界には誰もいないのと同じでないか!?」

 天界に神が不在である。

「だから、そう言っている。今、魔界と冥界の者たちは、神が天界にいない隙に、人間界、天界を占拠しようと動き出している。」

「なんだって!?」

 魔物が人間界に攻めて来るというのだ。

「私は伝えたぞ。人間界を守りたければ、自分たちで何とかするんだな。」

 ハーデースは、そういうと冥界に帰ろうとした時に、俺とセーラ姫が目に入った。

「ん? なんだ、おまえは? ファントムか?」

 どうやらハーデースには俺が幽霊であることが分かっているみたいだった。

「俺は人間だ!」

 幽霊の俺は思わず自分は人間だと言ってしまった。

「どうでもいい。」

 ハーデースは俺に関心はなかった。

「あの! 魂と肉体をくっつけることができるハリウッドを知りませんか?」

 勇気を出してセーラ姫がハーデースに尋ねた。

「私は知らない。」

 冥王ハーデースを持ってしても、アーサーの復活の方法は分からなかった。

「そうですか。」

 落ち込むセーラ。

「だが、もしかしたら死神リッパーなら知っているかもしれない。」

 親切な冥王はアーサーを元に戻すヒントをくれる。

「ありがとうございます。」

 セーラは満面の笑みで感謝を述べる。

「来るか? 冥界に。確実に死ぬぞ。」

「はい! それでもアーサーを元に戻すために、私たちは冥界へ行きます!」

 純粋な素直な瞳でセーラはハーデースの問いに答えることができるのが彼女の信念の強さである。

「これをやろう。」

「これは?」

「ファントムのハリウッドだ。それがあれば冥界まで来ることができるだろう。」

「ありがとうございます。ハーデースさん。」

「さらばだ。」

 俺とセーラ姫は、死神に会うために冥界に行くことを決めた。

 つづく。

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