>Ⅶ
「…あれ?そういえば」
「ん?」
問題なく渋谷に到着した僕たちは、どこに行こうかと相談しながらセンター街を歩いていた時に、
「
「CD?なんで」
「だって、好きなユニットなんだっけ、あれの新譜出てるじゃん」
「……おおう。せやった。けどなんで知ってんの!?」
「この前、そのメンバーさんとお仕事したからもらったんだー」
「ください」
「私の名前入りのサインだけどいい?」
「却下」
「でしょー」
「買うか。うん。買うけど。それは最後にちょろっと寄ればいいや」
「そか。なら公園通り行こう」
「はいはーい」
「でも女の子苦手なくせにアイドル好きとか変わってるよねー」
「偶像なので緊張しなくて済むからな」
「会いに行かないの?」
「行かないの」
「ふーん。あ、ここ右」
「ざっす」
茗の赴くままというか、案内の通りに進んでいたら、目当てのビルについたらしい。
「まずはここだにゃー」
「はいはーい」
僕は正直に言って渋谷に明るくない。言われるがままだ。
ビルに入り、メンズフロアに行くため上りのエスカレータに乗る。
「のーのちゃんの趣味がわかんないんだよなぁ。どんな感じ?」
「知らんよ!」
「…っちっ。ほんっと使えねえなお前」
「辛辣!!辛辣だよ!?心が痛い!」
「玲ちゃんはもっと痛めつけよう。それこそボロ雑巾のように….ふふふ」
「お前のそれは本気でくるからやめてー」
そんな話をしながら何度かエスカレータを乗り継ぐこと数回。どうやら目的らしい階層に到着する。そこはメンズフロアだった。まぁ、僕のアイテムを選びにきてくれているわけだから、それはそうなのだろうけれども、どうにもお洒落すぎて落ち着かない。
「んー。あ、玲ちゃん、普段大学で、のーのちゃんってどんな格好してる?」
「ええ?なんだろう。まぁ、当てはめるとしたら、ふつーの女子大生みたいな感じかなぁ」
「ちっ。本当無能だなお前」
「はぁー!また罵られましたですよ!」
「あ、でも誕生日も知らないなら好きなブランドとか知らないのもアッターリマーエーか」
「その口調はどこから輸入」
「細かいことは?」
「捨て置け」
「よろしい」
そんな話をしていたら、その瞬間は突然訪れた。
「ふーん。いろいろあんだなー。」
「そんなことは知ってるでしょうに。あ、これ…んー…」
茗が考えあぐねている、その瞬間である。
「それ悩むのか。ふーん……!?!?ちょっと、茗、一旦全部置いといてこっちきて」
「え?なに。なによ玲ちゃん!」
「しーっ!2、3分でいいからいうこと聞いて!」
「な…ったく。わかった。説明してよ」
「もち」
そう言って、僕は物色している茗を、店の外となる、店内からは見えない壁の反対側に連れ出す。
「ここでいいの?で、なに。なにから隠れてるの」
「相変わらず察しがいいのは感心するけど、ちょっとトーンダウンな」
「ん。わかったけど、説明は?」
「あー…しなくてもいい?」
「さっき約束した」
「え?あ、あー…そうか」
「観念しろ。で、なに?」
「茗師匠、お待ちかねもお待ちかねの、
「ええ!?!?!うそ!?うほ!!!うっほーい!!!」
「9割確実。一瞬見ただけだから確証までいかないけど98.25%そう」
「大好きな人の顔認証にかけては世界一の玲ちゃんの確率が99.99切ってるだと!?!?」
「なにその統計」
「いいから。どこにいるの?」
「……」
「玲ちゃん?」
「……」
「今ここで、遠藤玲の妹が本人と一緒にいるぞーって爆音で叫んでも」
「あダメそれだめ」
「なら早く教えて」
「あ…えーと、あの、店頭の、アクセサリーのところの前」
「……3人いるけど」
「真ん中」
「…へえー。ああいうのタイプなんだー」
「関係なくない?」
「本当お前は骨の髄からシスコンだな」
「
「…んー…いいよ。面白いから乗ってあげる」
「乗る?」
「このまま押し出すから、声かけなよ。私、奥で普通にシャツ選んでるから。チラチラ見ながらもしヤバそうなら合流するからさ」
「は!?なんでそんなめんどくさいことを?」
「後で合流した方が、彼女っぽいでしょ。私たち似てないし。玲ちゃんに彼女がいると誤解した時の、のーのちゃんの表情、ちゃんと見とけよ木偶の坊」
「え!?あ!?ちょっ…」
と、聞き返した途端に、僕は茗に背中を押されて壁の裏側からはじき出された途端、茗は何食わぬ顔で店内に入っていった。
…あの野郎やりやがった。
一つ、深呼吸。
よし。まぁ、せっかくだ。
視界に捉えている山﨑が、ショーケースに並んでいるブレスレットを手に取った時が、きっかけになった。
他のアイテムを物色している素振りをしながら、ゆっくりとアクセサリー棚に近づく。
程なくして、人を認識するには不自然でないであろう距離まで近づいて、内心ニヤニヤしてるであろう茗の顔を想像しながら、いよいよ意を決する。
「あれ?山﨑?」
大丈夫だよな?不自然じゃないよな?
と、思ったが、本人からリアクションはない。よくある名字だと高を括っていたのなら、呼ばれたのが自分でないと思っているのかもしれない。正直心が折れたけど、踏ん張ってもう一声行こうと思う。
これに答えてくれれば、後はいつもの大学で会うときのペースで行ける。
あと二歩近づいて再度声をかける。
「あ…えっと、山﨑、だよな?」
と声をかけたら途端、まにかにバシッと弾かれるように顔を上げて、ゆっくりとこちらを向いた。自然と目が合う。
その瞬間に、全身の血液が沸騰するような緊張感に襲われたけど、これ絶対視界に入っていないところで茗が見ているので、やせ我慢できる可能な限り最大限平静を装って、さらに話かける。
「なんだ。やっぱりじゃん。山﨑も買い物?」
何がなんだ、やっぱりじゃん、だ。内心猫に狙われたネズミレベルのメンタルしといて慣れてる風装うんじゃねぇ。
すると、山﨑が心底不思議そうに首を傾げながら発した。
「…えっと、遠藤くん?」
心底疑問、とでも言いたげに、コクリと首が横に倒れた。
……もうあかんてこれは。何この可愛い生き物。
「そうだよ。昨日も大学で会ったじゃんか」
あー平静装ってる自分クソムカつく!
「山﨑も買い物?」
「あ、ええっと、うん。遠藤くんも?」
白々しい。見ればわかるだろうよ自分。
でも、それが、誰か男の人に向けた何かを選んでいるのであろうことは、今いる場所が証明していた。それが、明らかに彼氏や恋人であるとはまだ言えないけれど、先ほどのように全身が、ぞわり、とする。
「うん。実は…」
「あー!ここにいたー!もう玲ちゃん、私大きい独り言かましちゃったじゃん!恥ずかしい…あれ?玲ちゃんナンパ?私放っておいてナンパしてたの!?」
クッソこのクソ妹め。山﨑が何か言いかけてくれてたのに聞けなかったじゃねーか帰ったらボコボコにしたい。けどきっとできないし、ボコボコにされるのは 僕の方だろう。
さらにあまつさえ、ものすごい勢いで腕を絡めてくる。なんだ茗。お前、手震えてんぞ。柄にもないことするんじゃないよまったく。
しかもナンパってなんだ。あれだけ応援してくれていながら、ただでさえ底辺な、山﨑の中の僕の株を下げるような言動と行動は慎みなさい。
全く面倒だなぁ今のこいつ!
と、思ってしまったモヤモヤが、思い切り語気に出てしまい、
「ちっげーよ!僕がナンパなんてできるわけないの知ってるだろ!?」
と、若干声を荒げてしまった。ごめん、山﨑。
だがお前は自業自得だ茗。意図がいまいち読めねーんだよ!山﨑の反応を伺っているのはわからなくもないけど、どんな角度から攻めてるんだそれ。
「大学の友達だよ」
面倒にも絡んだ茗の腕を引き剥がしながら、あからさまに、けど情報量は少なく説明する。ぎこちなくない?大丈夫?
「え?あ、そうなの?約束してたの?」
…こいつ。本当に帰ったら覚悟しとけよまじで。
「してないよ!偶然見かけたから声かけたの」
「ごめんごめん。気づいたらいなくて女の子といるから勘違いしちゃった」
人のナンパ属性のステータスを上げてもいるけど、それは自分のチャラさも同様に上がってるけどいいのか?
「まったく。見ろよ山﨑の顔。完全にぽかーんってしてるじゃんか」
逃げ道はもう、山﨑の話を繰り出すしかなかった。しかもいじり方面。ごめん山﨑。あとでなんか奢る。ってか勘弁してくれ。もう僕のお猪口みたいなメンタルは精一杯なんだよ。すげー好きな人とめちゃくちゃ扱いづらい妹に挟まれてさ。
「あ、あの、えっと」
山﨑が何か言いかけた。が、すぐに茗が僕に指摘してきた。
「ちょっと玲ちゃん。紹介もしないでそれは違うでしょ」
その呼び方、今はマジでやめろ。本当に山﨑にお前、僕の彼女だと思われたらどうすんだよ、今までの作戦台無しだろ馬鹿たれがぁ、と思うが、言われていることは最もだったし、それは僕の現状に対して最適な説明ができるようになるためのナイスパスであることに気づいた。
「あ、そうか、ごめん。えっと、こちら、大学の同級の友達で、山﨑乃々希さん。んでこっちが、妹の茗」
「初めまして!いつも兄がお世話になっております。遠藤玲の妹の茗です」
と、茗がまるっきりキャラを変えて自己紹介を終えたところで、山﨑の方を見やると、その顔はまるで猫騙すを食らった猫のようだった。
…あれ?
山﨑、固まってないか?
「……あれ?おーい?山﨑ー?」
と、声をかけてみる。なんか目線も動いてないし、声も聞こえてこない。どうしたのだろうと思って飛ばした声は、かろうじて山﨑の脳に届いたらしい。
「あ、ああ!ご、ごめん!ちょっとびっくりしちゃってた」
びっくり。
驚かせてしまってごめんと心の中で一旦謝りつつ、少しだけ茗の言動を恨んだ。おい貴様。僕の大切な山﨑になんてことをしてくれる。
「ごめんな、驚かせちゃって。今日妹がついてきてんだよ。茗は昔からモデルとかやってるからセンスあるせいか、僕が勝手に服買うと怒るんだよこいつ」
本当のことなので、この際の立ち回りとか設定は、かなぐり捨てて潔く状況説明する。
「いーじゃん別に!玲ちゃん顔は悪くないのにモテないんだから、見た目くらいちゃんとすれば彼女の一人や二人できるかなーと思ってさ!一肌脱いであげてるんじゃん!」
僕の直前の発言に食いついてくるのは茗、お前じゃなくて山﨑のはずだったんだが!?と思ってしまったので否定を返す。
「いいんだよ別にモテなくて。それに一人でいいよ彼女は」
「ろくに経験もない人に言われてもねぇ」
「うるさい。そういうことを山﨑の前で言うんじゃない!」
クッソ。妹であることがバレてしまった以上、その発言の信憑性は高いはずだ。きっと山﨑の中の僕の格が下がった。
「あははー」
笑ってんじゃないよもう!今夜は絶対にココアとか淹れてやらない。
「あ、電話だ、ちょっとごめん」
「うん」
僕ら兄妹にとっては通常のペースなのだが、山﨑にとってはどうなのだろう、と思う。置いてきぼりにしてしまって、いるよな?
「ごめんな、山﨑。テンション低い時のない妹なんだよ。ずっとあんなハイなんだ」
一応山﨑に対して初対面である茗のフォローを入れておく。この辺りの「いざという時の対応力」が、茗と歩いていて見知らぬ人に声をかけられた時に身につけた対人スキル、に該当する。
「…う、ううん!妹さん、可愛いね」
「まあ、じゃなきゃ今の仕事はできねないだろうしな。僕はスタイルの良し悪しとかよくわかんないけど、多分言い方仕事があるんだろうし」
一人前にポーカーフェイスかましてるけど、正直内心バックバクだ。いきなり二人にしやがってあいつ!
「うん。なんかわかる」
「そうか?さすが女子だなぁ」
「そんなことないよ。同性だからじゃない?」
「そう言うもん?あ、そんなことより、声かけて邪魔しちゃってごめん。買い物してたんだよな」
これに関しては嘘偽りはない。確かにここで会うことができたのは偶然だが、見かけてからは茗の作戦に乗じているわけで、今僕が話しかけている状況自体は偶然とは言い難いからな。
「ううん。偶然だね。女の子たちはよく渋谷行ってるって話聞くからもしかしたら会うかもって思ったけど、遠藤くんに会えるとは思ってなかった」
…ちょっと待って。
今、会える、って言ったよね?
言ったよね!?
えーっとその日本語の使い方はつまり…や早とちりはやめておこう。誤解の可能性も大いにあるぞ玲よ。第三者意見必須案件だ。
「こんなに色々あるのにまさか店が被るとは思わないよな。でも、山﨑なんでメンズフロア?もしかして、彼氏になんか買うとか?」
出たよ。
絶対に居て欲しくないのに彼氏、とかいうの言っちゃうやつ。言っちゃうやーつ!
でも別に山﨑にはそう言う人がいても不思議ではないから、不自然ではないはず。
もちろん死にたいくらい嫌だけど。
「ま、まさか!彼氏なんていないよう」
「じゃあ…」
本当に焦ったように否定する山﨑。その口調すらなんかもう。
でも、それならメンズフロアにはどう言う用件なのだろう。
「あ、あの、お、弟!そう、弟の誕生日が近いから、なんかあげようかなぁって思って…」
ああなるほど、家族か。時折茗の誕生日とかでプレゼント買う時の僕と一緒なのかな。と思い、心底胸をなでおろした。ここで、うん、って言われてたらその動揺は計り知れない。
「へぇ!山﨑って弟いるんだ。初めて知った」
これは正直なところだ。実際、僕に妹がいるのも、多分山﨑は初めて知ったようだった。知らなくても無理はない。そう言う話は仲のいいグループ内でもちゃんとした記憶が思い当たらない。
そんなことを話していたら、妹の茗が小走りでこちらに戻ってくる。
「玲ちゃんごめん、あたしちょっと事務所に行かなきゃいけなくなっちゃった」
山﨑から見たら、それは焦っているように見えたかもしれない。
しかし。
僕に言わせれば違う。
山﨑が一瞬でも合流している間に、僕をいじれないことを心底残念がっているか、もしくは芝居を打って何か企んでいるかの二択だ。
いずれにせよタチは悪いが、とりあえず突っ込むと色々山﨑にバレるため、この状況で、奴はその手を封じてきたのだ。不本意なことこの上ないが、致し方なくそのシナリオに乗ることにした。
「あ、そうなの?別にいいけど…」
「ごめんね、買い物できなくて」
「いやいや、いいよ」
「あたしがいないんだから勝手に買っちゃダメだからね。あ、でも山﨑さんに見てもらうならありかも。センスよさそう」
おい余計なことを言うんじゃない。これは絶対に後者だ!仕事なんて嘘だ!
「え?そ、そんなことないよ!」
「おいこら。山﨑一人で来てるんだから、これ以上邪魔しちゃ悪いだろ」
「えー?そうかなぁ。あ、山﨑さん、もし時間あったらちょっとだけ玲ちゃんに付き合ってあげてください。この人に選ばせるとほんとに壊滅的にダサいから。もし時間あったらでいいので」
余計なことを言うんじゃない!どれだけ僕で遊んだら気が済むのだ。あと壊滅的にダサいは言い過ぎだ!
「あ、時間は別にあるけど…」
…お、おいおい山﨑さん!?乗せられてるなんて思ってないでしょう?こんなところで、しかも初対面の妹に気を使わなくていいんですよ。二人きりとか無理ですよ。お願いですから。
「なら!お願いします!よかった。玲ちゃん、ちゃんと山﨑さんの女の子の意見を聞いて選ぶこと!いいね!じゃあね!帰りまた連絡する!」
いや待った。僕のはそっちのお願いじゃない。
「ちょっと、おい、茗!」
結局茗は嵐のように捲くし立て、呼び止めようとする僕を完全に無視して走り去っていった。
メッセージ送らなきゃ。何考えてんだろう。本当に仕事ならしょうがないけど。
姿が見えなくなるまで、その背中を呪うように凝視して、隣の山﨑に向き直る。帰ったら覚えておけ。
「元気な妹さんだね。可愛いし、羨ましいな」
「いや、あれはただ単に迷惑なやかましい妹ってだけだな」
断じて嘘は言っていない。
「ごめんな、山﨑。茗はああ言ってたけど、気にしなくていいから」
「…ん?」
と、僕の言葉に山﨑は、心底疑問そうに首を傾げた。もう、そういうの本当、勘弁。こっちが保たない。
と思うけれど、そんなことは可能な限りおくびにも出さない。
「ん?って。さっき服選んでやってくれとかって言い捨ててったじゃん。アレの話。気にしなくていいから。ほんと、邪魔してごめんな。じゃあ、また大学で」
茗のシナリオだとしたら、これで破綻するはずだ。実際これ以上山﨑の性格の休日の外出スケジュールに影響を与えるのは本意ではないし、何より二人きりで買い物とか、いきなりのビッグイベント過ぎて、僕が耐えられない。数年ぶりに恋心を抱いてしまった相手との突発買い物イベントとか、どんなご都合主義なのだと運に恨み言も言いたくなる。
そう思って、振り返って立ち去ろうとした時。
「……あ」
と、山﨑の戸惑いの混じった声が聞こえた。
と思ったら、僕のジャケットが少し重くなる。裾を、掴まれていた。
…なんだなんだ!?なんですか?!
「ん?どうした?」
振り返ると、少し気まずそうな表情をした山﨑が居た。
「え、あ、えっと、ちょっと待って…別に一人で、そこまで予定詰め込んでるわけでもないし…」
ん?どうしたんですの山﨑さん。そんな名に気を使わなくていいってさっきも思いましたけど?あれ?えーっと。これはその。
なんだろう。
「遠藤くんさえ良かったら、いいよ」
……ええー。
これはなんだ。この展開はなんだ。予想も想像も妄想もしてなかった。まさかこんなところで、こんなタイミングで。
自分が山﨑をより意識してしまうようになってから、昨日のテラスでさらにその意識を深めてしまったのだ。週末だから二日は顔を合わせることはないだろう、その間に沈静化するだろうと高を括っていたのに、いきなりのカウンターすぎやしないか。
そしてその表情たるや。今にも泣きそうな顔で言わんでもらえんかね。もう本当に。
全部が全部、僕の中の山﨑をアップデートしてしまって、それがより、僕の心に突き刺さってくる。
だけど。
それでも、
もし。。
その泣きそうな顔が、僕に気を使って嫌々そんなことをした結果でないのなら。
万が一。
が、頭をよぎってしまい。
どうせ対人スキルを発揮し続けて、この状況を乗りこなせるのであれば。
この偶然を、もしかして逃してしまったら。
「…え?まじ?本当に?」
期待してしまう意識が無意識に、僕の言葉を口走らせていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます