友の武器は……
さてさて、予定とは大分違うけど武器も決まったことだし、行動を始めないとね。
まずは、私をこのゲームに誘った、友人と合流かな。
「さて、名前は聞いてるし、メッセージを送るとしますか」
このゲームでは、フルネームさえわかればメッセージを送ることができるのだ。
あっちのフルネームはすでに聞いてるし、サクッと合流しちゃおう。
「……よし、メッセージ送信完了。……あとは、返信を待つだけ……って、もう返信きた」
普段はとろふわなくせに、ゲームでは行動早いからなアイツ。
メッセージ内容は……街の北門で待ち合わせか。
ガイドも表示されたし、ササッと行っちゃおう。
「……ここが街の北門だね。さーて、アイツはどこかなー?」
周囲を見渡してみると、私と同じように待ち合わせをしているのか、結構人が多い。
そういえば、北門って初心者向けの狩り場がすぐそばにあるんだっけ。
これだけ人が多いと、探すのに苦労しそう……。
「おーい、トキワちゃーん。こっちこっちー」
って思ってたら、後ろのほうから声をかけられた。
どうやら、あっちが先に見つけたみたい。
「やっほールー子。お待たせー」
「ようこそ、トキワちゃん、〈バディ・ウェポン・オンライン〉へ。この世界はどう?」
「うーん、まだ始めたばかりだし、よくわからないかな?」
私の待ち人、友人のルー子……ルカ=フレイズが合流した。
ルーこの見た目は、私の着ている初期装備服よりもなんだかカッコよくなってる。
おのれ、数日とはいえ、先に始めた差か。
「トキワちゃん、武器はなににしたの? いっぱいあって悩んだでしょ?」
「悩んだというか……ランダムにしたから、結果は運かな?」
「そうなんだー。トキワちゃん
「……『も』ってことは、ルー子もランダムなの?」
「うん。私はこれー」
ルー子が取り出したのは、なんだか長い銃。
私が選ばなかった【ブラストM82】みたいなスナイパーライフル、ってやつかな?
「私の武器は【銀玉スナイパーライフル】だよー。これでもウルトラレア武器なんだからね」
……おおう、ルー子もウルトラレアを当ててたのか。
しかし、ウルトラレア武器っていちいちネタを仕込まないといけないの?
「……ウルトラレア武器なんだ。それって強いの?」
「強いよー。うまく狙えば、50メートルくらいの距離を狙撃できるからねー。攻撃力も強いし、音もあまりしないし、MP効率も悪くないからとっても便利だよ」
「……そうなのね。ちなみに、ルー子の成長タイプって?」
「【ガンナー】だよー。MPと器用さが伸びやすいタイプ」
ルー子は完全に銃系統に絞って選択したらしい。
……ブラストM82を選んでなくてよかった。
もし選んでたら丸かぶりじゃない。
「そういうトキワちゃんの武器はー?」
「私の武器はこれよ……」
「火かき棒? ってことはウルトラレアだねー」
「……そうだけど、見ただけでわかるの?」
「ウルトラレアはネタ武器ばかりだって話だよー。だから、見た目がおかしい武器はたいていウルトラレアだねー」
「……そうなのね」
おのれ、運営。
もう少しまともな武器をウルトラレアに設定しろ。
「それから、ウルトラレア武器は他のプレイヤーとかぶることはないんだってー。トキワちゃんだけが火かき棒を使えるんだよー」
「……その情報はあまり嬉しくないわ……」
つまり、火かき棒=私ってことじゃない。
もう少し、優しい設定にしてよ……。
「ともかく、初期武器は決まっちゃったわけだし、準備をして早速狩りに行こー」
「……わかったわ。それで、準備って?」
「そうだねー? まずは回復アイテムを買い込んで、トキワちゃんの防具を購入かなー? さすがに、初期装備のままだと、大変だからねー」
「了解。でも、私、あまりお金ないわよ?」
「そこはわかってるよー。私が立て替えておくから、稼いだら返してねー?」
「おっけー。それじゃあ、買い物に行きましょうか」
「うん、いこーいこー」
私とルー子は街に戻って、ポーションや私の防具なんかを買いそろえる。
私が【魔法剣士】タイプだって教えたら、革鎧系の動きやすい装備を見繕ってくれた。
【魔法剣士】は中衛からヒット&アウェイ攻撃をしかけるタイプなんだって。
だから、防御力が高いものより、動きやすいものがいいそうな。
さって、準備もできたし、〈バディ・ウェポン・オンライン〉の初戦闘といきましょうか。
バディ・ウェポン・オンライン ~もらった武器は火かき棒~ あきさけ @akisake
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